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エンタテイメントの聖地・ラスベガスで活躍する3人の日本人パフォーマーに出会った。シルク・ドゥ・ソレイユに代表される巨大な特設ステージから、身体一つでチャレンジできる小劇場まで、パフォーマーの在り方は様々。彼らの意識やこれまでの軌跡、取り巻く環境をお伝えすることで、パフォーマンスや舞台作りのお役に立てればこれ幸い。
3人目は、青森大学を卒業後、男子新体操プロユニット BLUE TOKYOに所属しながら、2013年5月からシルク・ドゥ・ソレイユのレジデントショー(常設公演)「Michael Jackson ONE」に出演している柴田翔平。アクロバットのパフォーマーたちが一度は憧れるであろう舞台で、5年間跳び続けている。世界有数のショービジネスの街でパフォーマンスし続けている彼に、その秘訣と今の心境を語ってもらった。
- 柴田翔平
福島県出身。1989年生まれ。小学2年生から中学まで地元・福島で新体操に没頭し、全日本ジュニア新体操選手権で個人総合3位。青森山田高校に進学し、全国高校選抜大会で個人総合優勝、インターハイ個人総合3位、秋田国体総合優勝に輝く。青森大学に入学後、全日本新体操選手権で個人総合準優勝など、毎年全国大会で好成績を納める。
卒業後、男子新体操プロユニット BLUE TOKYOに所属しながらシルク・ドゥ・ソレイユに入団。カナダ・モントリオールにあるシルク・ドゥ・ソレイユ本社で約半年間トレーニングをし、現在は、ラスベガスにて「Michael Jackson ONE」のパフォーマーとして活動中。
手具(競技で使う道具)の操作、タンブリングを得意とし、タンブリング中の手具操作は彼の大きな武器となっている。
■大学卒業時に感じた成長と伸びしろ。「まだ新体操はできる。」
TDM:
現在、ラスベガスのホテル、マンダレイ・ベイにて「Michael Jackson ONE」にご出演中ですが、出演することになった経緯を教えて頂けますか?
柴田翔平:
青森大学で新体操をやっていた時、卒業後も新体操を続けるのは体力的に難しいだろうと感じていました。そのため、普通に大学4年生で引退すると考えていたので、卒業時の就職先も決まっていました。
だけど、実際に大学4年生になり、引退試合の後、自分の体が前の年よりも元気だったんです。「まだ新体操はできる。」と自分の成長と伸びしろを感じました。ただ、明確にやってみたいことがありませんでした。
そんな風に悩んでいた時に、タイミング良く、このオーディションのお話を頂き、合格することができました。
▲「Michael Jackson ONE」トレーラー
■自分の演目の役割、同じクオリティを保つ使命。
TDM;
ラスベガスに渡った当初、苦労した点はありましたか?
柴田翔平:
それまで競技しかやっていなかったので、振付師の方が求める動きがなかなかできず、最初は苦労しました。
TDM:
それから約5年、ラスベガスでパフォーマーとして活躍されていますが、現在の感覚は?
柴田翔平:
演じているのは同じ演目ではありますが、少しずつ演出やメンバーが変わるので、5年たった今でも新鮮な気持ちです。また、この仕事で自分の演目にちゃんと役割があり、同じクオリティを保つ使命があるので、飽きることなく楽しくやっています。
やはり5年も続けられているのは、この世界に魅力があって、楽しい気持ちが続いているから。でも、たくさん同じ演目をやるので、毎回モチベーションをキープするよう意識していますね。
TDM :
ラスベガスというエンタテイメントの街をどう感じていますか?
柴田翔平:
老若男女、どの世代が見ても楽しめるエンタテインメントの街だと思います。
また、演者が生きるという点では、ショーだけに集中しなくても、自由時間が確保されているので、やりたいことをやりながら過ごすことができます。
■アクロバットに専念できる恵まれた環境。
TDM:
ラスベガスで生きていく上で大変なことは?
柴田翔平:
生活面では、日本と違う気候に慣れるのに大変でした。
パフォーマンス面では、モチベーションを一定に保つことですね。やりたい技ができなくても落ち込まないようにします。とにかく、できない時はやるしかなくて、だんだんできるようになれば、またモチベーションがアップします。
シルク・ドゥ・ソレイユでは、アクロバットとダンサーとが、きっちり分けられていて、僕らはアクロバットに専念できる環境にあります。心置きなく何でも挑戦できるので、こんなに恵まれた環境はないと思います。
TDM:
ラスベガスで好きな作品は?
柴田翔平:
僕はシルク・ドゥ・ソレイユのMystere(ミスティア)が好きです。昔ながらのサーカスという感じなのと、アクロバット色が強いので。
▲「Mystere(ミスティア)」トレーラー
TDM:
アクロバットの魅力は?
柴田翔平:
僕の持論ですが、身体表現は本当にいろいろありますが、アクロバットに関しては、例えば、宙返りを回っている最中に特別なことをしなくても、表現として成立します。単純に人が空中を回っているだけで感動できる。アクロバットの技をすることが、1つの表現になっていると思います。
さらに新体操で培った手具を使った技ができることは、今の自分の武器にもなっていて、ラスベガスでは見慣れていない方が多いようで、喜んで頂けます。
■シルク・ドゥ・ソレイユにしかできない見せ方をお楽しみに。
TDM:
シルク・ドゥ・ソレイユの特徴を教えてください。
柴田翔平:
これも僕個人の意見ですが、シルク・ドゥ・ソレイユのショーをいろいろ見てきて、視点が1か所に定まらないものが多いと思いました。ステージ中央だけではなく、いろんなところで何かが起きている。なかなか1回で見切るのは難しくて、座席によっても見え方が違いますし、だから、2回、3回観ても驚きと発見がある。僕はそういうのが好きで、楽しいし、だから、何度でも見たくなるんだと思います。
TDM :
最後に「Michael Jackson ONE」の魅力は何だと思いますか?
柴田翔平 :
最後まで1つのストーリーになっている所ですね。演目では、やっぱりアクロバットが好きなので、トランポリンが好きです。
まだ観ていない方からは、僕らはマイケルの曲の振付を混ぜてアクロバットをしているように思われがちなんですが、他の演目で同じ振付が出てくることはありますが、実際に僕がマイケルの動きをすることはありません。そこにシルク・ドゥ・ソレイユなりの見せ方があるんですが、どんな風にアクロバットとして「Michael Jackson ONE」でパフォーマンスしているか、それは見て頂いてのお楽しみですね。
TDM:
今日はありがとうございました!
→関連リンク:ラスベガス特集第2弾 Yasu Yoshikawa
interview & photo by AKIKO
Edit by imu
’18/05/14 UPDATE
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