ママダンサー特集第3弾に登場するのは、東方神起やBoAなど数々のアーティストのバックダンサーなどで活躍する傍ら、同じくダンサーとして活躍する50と結婚し、現在4歳の男の子と2歳の女の子を育てるママダンサーLINA。2児のママながら昨年はなんと東方神起のツアーダンサーも務めたLINAに、ママになってもトップダンサーとしてステージに立つ心境や、現在の想いを聞いた!
- LINA
3歳からダンスを始め、19歳からCrystal KayやBoA等のlive、tourに出演。その後、武富士のCMオーディションに受かり、数々のCMや映画「どろろ」等にも出演。KREVA、平井堅、EXILE ATSUSHI等のツアーダンサーを務め、西野カナ、JASMINEの振付師として長く携わる傍ら、ラテンダンスカンパニーJIL entertainment galleryの初代メンバーとして、自主公演の他、「*ASTERISK」等数々の舞台に出演。
第一子出産後、JUJUのバックダンサーとして復帰。第二子出産後に東方神起のツアーダンサーとして、再び現役復帰する。現在は、地元の子供たちにダンスを教え、イベント等を通して地域の活性に携わる活動も広めている。
■妊娠で感じた、やり過ぎていたダンスからの解放感
TDM:現役時代は、結婚や出産についてはどう思ってましたか?
LINA:昔から、早く家族を持ちたいと思う方でした。ダンサーとしては、20代は勢いがあり、とにかく踊ることが楽しくて、仕事にも全然余裕がありました。30代からは仕事も増えてがむしゃらにこなしていく日々で、毎日必死でしたね。妊娠は33歳だったかと思うんですが、当時所属していたJIL Entertainment galleryというラテンダンスのカンパニーに、妊娠したいことを正直に伝えて、離れることを決意しました。他にも自分なりに責任、覚悟を持って仕事をしていたので、その頃は本当に悩みまくってましたね。その結果、突発性難聴になって、全てを望むのは不可能なんだなと、本当に一番求めていることは何だろうと考えて、全てのダンスから離れる覚悟も決まった気がします。
そんな状況だったので、妊娠がわかった時は「やったー!」と、正直解放感を感じました。もう悩まなくていい!と。覚悟は出来ていたので不安より新しい生活へのワクワク感の方が強かったですね。ハードなダンス生活でよく身体を壊していたので、「もう1人の身体ではないんだから」と心配してくれた両親から休むように諭されたこともあり、妊娠初期の段階で、先のお仕事については相談させてもらい、全てキャンセルしました。
TDM:一気に辞めた生活はどうでしたか?
LINA:実はあまり憶えてないんですけど(笑)、ストレスはなかったですね。妊娠中はつわりがあったくらいで、大きなトラブルはなく穏やかに過ごしてました。これを機に今までダンス漬けでやってこれなかった趣味を持ちたい!と思って、いきなりミシンを2台と本を買って勉強しながらベビー服を作ってみたんです。他にも編み物とか、料理とかしてました。けっこう趣味はインドアなので(笑)結局手芸にどハマりし、作品をInstagramに載せてたらオーダーまで頂いたりして、かなり楽しんでました(笑)。今でも息抜きでやっています。
TDM:出産の時のエピソードを教えてください!
LINA:ちょうど旦那でダンサーの50※1 がアーティストのツアーダンサーの仕事が入っている時期だったんですよ。だからずっと家にいないし、1人目で不安だったので、実家に戻っていたんですけど、たまたま1日だけ50が帰ってこれて、実家に泊まりにきてくれた夜になんと破水したんです。すぐ病院に行って、とにかく安静にして陣痛をひたすら待っていました。陣痛がきてから9時間半かかったんですが、痛すぎて叫んでて、50もテニスボールで手がつるくらいおしりを押さえてくれたり(笑)、助産師さんのように声をかけながら擦ってくれました! そして、1分間隔の陣痛になった時に、「トイレ済ませてから歩いて分娩室に来てください」と言われて、それがもう地獄で、「無理!無理!絶対トイレに赤ちゃん出ちゃう!ウソでしょ?痛すぎて歩くとか絶対無理!!」と半狂乱でした(笑)。結局分娩台に乗ってからは30分で生まれたんですけど、あまりの壮絶さに私が死んでしまうんじゃないかと思ったらしい50の方が安堵と感動で泣いてました。私の方は、やっと終わった…と、しばし放心状態で泣けませんでした(笑)。
※1 50(フィフティ):東方神起、ドリカム、BoA、三浦大知、AAA、w-inds.など、数多くのアーティストのバックアップダンサーや振付、演出を担当するメジャーシーンで欠かせないダンサーの1人。
TDM:仕事復帰されたのはいつですか?
LINA:長男が5カ月の時に、昔からお世話になってる師匠から、東京ガールズコレクションでのJUJUさんのライブのバックダンサーとして呼んでもらったのが最初です。
でも、完全母乳で育ててたので、何かあった時でもすぐ赤ちゃんに母乳をあげれる状況じゃないとダメだったんですが、リハにも本番にも連れて来ていいよと、言っていただき、リハの時は、私の生徒にお願いしてずっと見ててもらって、休憩中におっぱいあげて、という感じで乗り切り、本番は母が来てくれました。
身体的にも、出産後少しずつ筋トレはやっていましたけど、出産の傷の治りが遅くて、なかなか思うようには戻らなかったので、自信はないままでしたが、それでも声をかけていただいた期待を裏切りたくない一心で頑張りました。
■両家総出で乗り切った夫婦での東方神起ツアー
TDM:それからは、完全に復帰されたんですか?
LINA:それからJUJUさんのテレビのお仕事なども何度かやらせてもらったり、アーティストのプライベートレッスン等をしていた時に、2人目の娘の妊娠が発覚しました。妊娠中はつわりも酷かったし、産まれてからは、長男の赤ちゃん返りやイヤイヤ期と重なり、想像を絶する大変さで「これは私が仕事するなんて無理だな」と自分が踊る仕事は諦めて、長男を産んでから始めていた近所でのキッズダンススクールだけ頑張って続けていました。
そうこうして娘がちょうど1歳になる頃に、東方神起のツアーダンサーのお話がきたんです。リハ期間が20日間ほど、本番は約3カ月間34公演あって、「ぎょえー!どうする!?」ってなって、「そんなに子供と離れるなんて不可能だよね…」と最初はお断りしようと思ったんですけど、2児の母となっても誘っていただける事が本当にありがたかったし、これまで一途に踊ってきた人生だったので、やはりステージに立てる感動をまた体験したい!やりたい!とすごく気持ちが動いたんです。そこで50に相談したら、彼も大賛成で応援したいと言ってくれました。
でも、50もそのツアーで出演が決まっていて、出演するには絶対に親の助けが必要だったので、両家の親に相談し、お姑さんから「LINAさんがやりたいのなら、絶対にやるべき。全面的に協力します」と言ってもらったことは今でも忘れられません。
TDM:具体的にはどんな協力を?
LINA:終日のリハーサルがある期間は、お姑さんにずっとこちらに泊まってもらいました。お姑さんはお仕事をされてるので、昼間はうちの母が通いで毎日来てくれたり、週末はパワーありまくりの長男と父が遊んでくれたりしていました。
長男の幼稚園があったので、その生活を崩さないように、私の家で見てくれるようにそうしたんですが、下の子は本当にやんちゃな子で目が離せないタイプだったので、食事の用意が全然出来ないという最大の問題がありました。
そこで、私が夜遅くににリハが終わってから、スーパーに寄って買い物し、家に帰ってから、次の日の自分たちと母たちと長男、計5人分の食事と、娘の離乳食を作り置きしてから寝て、朝は、幼稚園はお弁当なので、自分達のも合わせて3つお弁当を作ってからリハに行っていました。
デリバリーなども考えたんですけど、親世代にとっては抵抗もあるみたいだし、お惣菜やお弁当も買いに行ってもらえる暇もなかったんです。だから、リハ期間はあまり寝てなかったですね(笑)。
TDM:壮絶ですね…。子供たちにとっても大きな変化だと思いますが…。
LINA:長男は幼稚園に行くのを嫌がったり少し不安定にもなりましたね。でも、頑張ってもらうしかなかったから、理解出来てるかは分からなくても、「こういう状況だから」と言い続けるしかないし、送迎バスにはどんなに泣いてもわめいても乗せていました。
でも、私の方も、その割り切りがそれまではなかなか出来なくて、母子分離をほとんどやらずに来て、泣かれると甘えさせちゃってた所もあるので、そこでけっこう自分も成長出来ました。
TDM:そこまでして受けた理由はなんですか?
LINA:理由には‟自分の時間が持てる“というのもありました。2人目を産んでから、1年間ワンオペも多くて本当にキツかったから、神様がやれと言っていると思いました(笑)。だから本番の時、ゆっくりメイクする時間や、ケイタリングが出ることとか本当に幸せで、新幹線にただ座ってるだけで「ただ座れてる!」って感動してました(笑)。体力的にはキツかったけど、気持ち的にはリフレッシュになりましたね。
もう1つは、身体の衰えを感じていた事もストレスだったので、身体を戻したかった事もあります。2人目を産んでさらに体力が衰えてきてるのに、自分の事は一切何も出来なかったので、しっかり身体を動かせるという事もよかったですね。
復帰後の東方神起 LIVE TOUR 2018 ~TOMORROW~のとき
TDM:身体が戻るのにどれくらいかかりましたか?
LINA:リハに入る前に知り合いに何回かプライベートでワークアウトのレッスンをしてもらったりしたんですが、全然戻らなくて…っていうか踊る感覚を忘れかけていて、まず振付が全然入らないんですよ。「どうやって覚えるんだっけ!?」ぐらいの感覚まで落ちてました(笑)。
リハの合間にも筋トレして、自分でも「筋力が戻ってきたかな」と思っても、ビデオを撮って見ると音にヒット出来てなくて、ちょっと遅れて見えたりする。周りは気づいてなくても自分では分かるんです。一番動けていた当時の感覚がずっと残ってるんですよね。だから映像見てガーンと落ち込むし、でも落ち込んでる時間はないしで「とにかく戻すしかない!」という感じで頑張って、ほんと、20日間のリハの最後の方でやっと自分的にも「戻ってきたぞ!」と思えたんです。
TDM:ツアーを終えてどう思いましたか?
LINA:家族の絆はとてつもなく深まりました!母たちの育児や、家事のこなしかたを見て、すごく勉強になったし、何より親たちがものすごい愛情を持って支えてくれたからこそ、成し遂げられたんだと思います。
■「自分を超えなきゃ」という自分との闘い
TDM:子供を産む前と後との仕事の取組み方は違いますか?
LINA:全然違いますね。以前は体力とかは考えず、‟表現をする“という事や、どのように素敵に魅せようかという事だけを思っていればよかったし、アーティストやスタッフの方たちへのリスペクトや、一緒にいる仲間との時間を大事にする事しか考えてなかった。
でも、出産を経て、当時の自分が踊ってる姿のイメージより落ちたくないけど、その時とは体力も見た目も変わってるから、また違う表現が出来ないと自分がやってる意味がないし、昔の自分を知ってて呼んでくれてるわけだから、やっぱりこんなもんだよねってがっかりさせたくないと思うようになりました。ステージで自分が踊るからには、進化したものを見せたいので、「自分を超えなきゃ」という自分との闘いですね。
TDM:50君や周りの反応はどうですか?
LINA:周りからは「見た目も踊り方も女性らしくなった」と言われました。もともと筋肉質だったから、外側の筋肉が落ちて丸みが出たのかもしれませんが、「昔よりセクシーになったね」と言われて、かなりびっくりしました。
50は、私の気持ちを一番知ってるから、逆にいろいろ言わないです。「落ちてるよ」とも「落ちてないよ」とも言わない。口を出せないんだと思います(笑)。とにかく見守って支えてくれていました。
旦那様と子供たちと
■今の私のスタイルに合った仕事をしていきたい
TDM:今はどのようなお仕事をされていますか?
LINA:今は、地域の区民センターのような場所で週1回、小さい子クラスと小学校低学年クラスの2クラスだけレッスンを持っています。小さい子クラスは長男も受けてますが、下の子はまだ早いので、2クラスの間ずっと待ってなきゃいけないから、最初は大変でしたけど、ありがたい事にレッスンを受けに来てくれる子供のママたちが見ててくれるので、今ではすっかり慣れてくれました。
TDM:そのレッスンを始めたきっかけは?
LINA:最初キッズレッスンをやるなんて考えてもいなかったんですけど、長男が2歳の時に出会ったママ友が、もともとダンスをやっていて私の事を知っていて、「子供にダンスをやらせたいからLINAさんこの辺で教えてください」と説得されたのがきっかけです。安く借りられる近所の公共施設でやっていて、最初は彼女が集めてくれた5~6人で始めたんですけど、徐々に増えてきて、今は、長男の幼稚園のお友達とかも入会してくれたりして35、6人くらいになりました。地域のお祭りにも出たり、とっても楽しいですね。
主宰のLKIDSの子供たちと
TDM:新しいレッスンの持ち方ですね!
LINA:子供の教えに関しては、以前は苦手意識がありました。でも、産後初めてキッズレッスンをやってみて、子供たちへの感覚も昔とは変わってて、「なんてかわいいんだろう!」と(笑)。「この子たちにダンスの楽しさを伝えたい!」と思いましたね。
TDM:子育てと仕事を両立していくのは難しいと思いますか?
LINA:子供を預けられる場所はいろいろ増えていますが、ダンスの仕事は不定期だったり、時間も読めないことが多いので、親御さんや協力者がいないとなかなか難しいかなとは思いますね。仕事の内容にもよると思いますが、自分が絶対に譲れないものというのが子育てでも仕事でもあると思うので、そこがクリア出来る状況にならないと、難しいですよね。
TDM:今後はママとダンサーとの両立はどうしていきたいですか?
LINA:ダンスは自分の一部なので、踊る事はやめないつもりでいます。ただ今は、ありがたいことに‟子供が小さいうちは出来るだけ側にいて、子育てを楽しみたい!“という私の願いを叶えさせてもらえている状況なので、それを第一に考えています。その中で家族の支えがある間は、仕事もいろいろ挑戦していきたいなと思っていて、ゆくゆくはキッズクラスの他にもママたちや、中高生に向けたレッスンもやっていきたいですね。それらを地域密着型でやることで、コミュニティが広がって、子供にとっても、もちろん自分にとってもたくさんの人に囲まれた楽しい生活をしていきたいです。
TDM:ナチュラルに子育てされながらも活躍する姿は素敵ですね!今日はありがとうございました!
interview &edit by Yuri Aoyagi
photo by AKIKO
’19/09/10 UPDATE
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二子玉川にある貸切りの美容室なんですが、2つに分かれたフロアの1つがキッズスペースになっていて、オーナーが男性の方なんですけど、ママが髪を切っている間、子供とずっと遊んでてくれるんです!子供のカットも、ママが常に近い距離にいるから安心だし、子供のペースに合わせて切ってくれます。貸切りだから家族やママ友同士でも行けるし、しかも、遊んでくれている間にサービスで子供の写真を撮ってくれるんですが、そのクオリティも高くて、ホント子育てママにはおススメです!
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