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D.LEAGUE特集  株式会社Dリーグ代表取締役CEO 平野岳史

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2020年に発足された日本発のダンスのプロリーグ「D.LEAGUE」は、この人なしでは実現しなかっただろう。「D.LEAGUE」発足のアイディアを手に、カリスマカンタローとEXILE HIROがDリーグの代表就任を懇願した、平野岳史氏。人材サービス最大手の株式会社フルキャストホールディングスの創業者という経済界の重鎮でありながら、なんと自身もストリートダンサーという異色の〝踊れる経営者〟である平野氏に「D.LEAGUE」を引き受けた理由や今後の展望などを語ってもらった。

 


 

・平野岳史

1961年8月神奈川県横浜市生まれ。 株式会社フルキャストホールディングス取締役会長。神奈川大学経済学部経済学科を卒業後、金融業界に就職。“会社員を3年間で辞める”と宣言して、予定通り退職。87年に家庭教師派遣サービスを開始、92年10月に株式会社フルキャストを設立。2001年6月にはJASDAQ上場、2004年9月には東証一部上場を果たす。現在は、取締役会長を務める。また、2020年に株式会社Dリーグを設立し、日本のダンスの発展と普及、ダンスのプロフェッショナルの輩出を目的とする日本発世界初のプロダンスリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)」を展開している。持論は「すべての人には輝く場がある」。

 

 

娘との会話を増やすために始めたダンス

 

TDM:今日は「D.LEAGUE」(以下:Dリーグ)のことをお話いただく前に、平野さんはご自身もダンスをしているとお聞きしたのですが、まずそのお話を聞かせいただけますか?

平野:踊っているといっても上手いわけではないのですが、一応ダンスをやっていたので、Dリーグの立ち上げの際にお声をかけていただいたんです。当初はチームの参画ということでLDHのEXILE HIROさんから連絡が来たんですけど、 その後すぐに「実は社長をやって欲しい」と言われて、最初は断ったんですよ。でも、その後1週間後に「上場会社の社長さんで、ゴルフやテニスをやっている方はいっぱいいるんですけど、ストリートダンスを踊っているのは平野さんしかいないんです」 と再度お願いされたので(笑)引き受けることになりました。

 

 

TDM:ダンスを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

平野:娘が小学校5年生ぐらいからダンスを始めたんですが、中学校に上がる反抗期に差し掛かった時期に、なかなか共通の話題がなくて困っていたんです。そんなときに、お兄ちゃんである息子に、「ダンスを一緒に踊れるようになったらきっと喜ぶから、ダンスやったらいいんじゃない?」というアドバイスをもらって始めました。娘は中学生になってEXPG STUDIOに入ったのですが、「俺も一緒に行こうかな」と言ったら「絶対来ないで」と言われたので(笑)、EXPGは諦めてavex artist academy に通い始めたんですよ。

TDM:え!娘さんとは別にお1人でですか!?

平野:そうです。うちの会社がa-nationのスポンサーをやっていたり、avex会長の松浦さんとも知り合いだったこともあって、「ちょっとダンスやりたいんだけど…」とお願いしたら、「どこでも好きなところ入ってください!」と言ってくれて(笑)、実際に原宿のスタジオに見学に行きましたが、どのクラスもほとんどが10代の若い女の子ばっかりなんですよ。

TDM: そうなりますよね(笑)。

平野:僕が入ったら皆さん辞めちゃうんじゃないかと心配になりましたし(笑)、そもそもレッスンのレベルについていけないので、スタジオが空いている昼の時間帯に週に1回、完全マンツーマンでLOCKYさんに教えていただくことにしました。それが12年前くらいです。

そこから半年程レッスンを受けて、ダウンのリズム取りやアイソレーションなどが少しできるようになってきた頃に、久しぶりに娘とダンスの話をして、「実はさ、ダンスやってるんだよね」と打ち明けたら、「マジ!?」と驚いていたので、内心「お。ノってきた♪」と喜んだのも束の間、「ほんとにやってんの!?まじキモい!」と言われて撃沈でしたね(泣)。

TDM:(爆笑)。でも、その残念な反応からも、心折れずにモチベーションを保って続けたと?

平野:カッコいいと言われたかったのにキモいと言われちゃったので(笑)もう辞めようかなとも思いましたが、半年ぐらいやっていたらダンスが楽しくなってきっちゃったんですよね。上手くはないけど、当時のヒット曲のコピーを少し踊れるくらいにはなったので、例えば、カラオケで、EXILEの『Rising Sun』の本人映像に合わせて、僕が一緒に踊ると皆喜ぶんですよ。あまりにウケがよくて「もしかしたら女の子にもモテるかも!?」と思ったら(笑)楽しくなって続けられました。何よりも音楽に合わせて踊ること自体が楽しいですしね。

TDM:それは間違いなく盛り上がりますね! 他に何か変化はありましたか? 

平野:もちろん健康面でもよくなりましたよ。ダンスは柔軟性も必要なので、一生懸命ストレッチをやっていたら、硬かった身体が柔らかくなりつつあります。

そして、起こった出来事としては、「どうせだったら皆で一緒に練習して発表会に出ましょう」という話になり、LOCKYさんの生徒さんたちと一緒に数人のチームを作って、avexのイベント、DANCE NATIONに出ました。

TDM:DANCE NATIONに出演されたんですか!?

平野:はい。17~23歳くらいの子たちと幕張メッセのステージで踊りました。もちろん僕のパートは30秒ほど皆と一緒に踊るだけのチョイ役でしたけどね。でも、「皆忙しいので深夜練します。集合は24時で」とか言われて、そんな遅い時間から練習するの!?と驚きましたが、しょうがないからやりましたよ。17歳の子に「立ち位置間違えてる!もっとそっち!」と怒られながらね(笑)。


avexのDANCE NATIONにてLOCKYの生徒さんたちと

 

TDM:深夜練まで経験されたんですか?(笑)もうダンサーですね!

平野:他にも、郷ひろみのバックダンサーもやりましたよ。

TDM:本当ですか!?それはいったいどういう経緯で?

平野:僕の後輩が化粧品会社の社長で、毎年、代々木第一体育館で開催される『Girls Award』で、「化粧品の新商品発表を兼ねて郷ひろみさんに出演してもらうので、そこでバックダンサーお願いします」 と言われたんです。「えー!?できないよ~」とか言いながらも、ノリノリで行きました(笑)。元々ひろみさんとはよく知っている仲だったので、「平野さん踊れるの!?大丈夫!?」と言われながら、そのときはステージのランウェイをひろみさんが歌いながら歩いていく後ろで、LOCKYと僕を含めた男女4人のチームで踊りました。

 

『Girls Award』にて郷ひろみバックダンサーのとき(左がLOCKY)

 

TDM:本当に驚きの連続です!平野さんにとってそこまでのめり込んだ〝ダンスの魅力〟とはなんですか?

平野:カッコよくいうと、言葉がいらない非言語で、仲間と一緒に自己アピールできること。あとは、例えばショーケースでは、自分たちが頑張ってピシっと揃えたものをお客様の前で披露して、拍手喝采を浴びたときの達成感というか快感はやめられないですよね。

 

■ダンス界を理解してもらうことの難しさに直面

 

TDM:では、 Dリーグの運営を引き受けたのは、ご自身がダンスをしていたからでしょうか?

平野:そうですね。それもありましたが、一番の理由は、夢がある道をダンサーにも作ってあげたいと思ったからです。娘は、EXPGでずっと頑張って、EXILEなどのステージにバックダンサーとして同行できるまでになっていて、本当はダンスを続けたかったみたいだけど、高校卒業時に、やはりダンスで食べていくということは難しいと判断して、断念してしまいました。サッカーならJリーグがあるし、野球ならプロ野球があるけど、当時はダンスで食べていくなら、日本には、バックダンサーか、教える側に回るか、しか道がなく、自分がプレーヤーとして主人公で生きていく道はほとんどない状況でした。それなら、プロダンスリーグ構想というものがあるなら話を聞いてみようと思い、実際に「これだったらいけるかも」と感じたので、お引き受けしました。

TDM:夢があることへの投資といっても、経営者のお立場として利益の可能性を感じないと難しいですよね?

平野:僕は今までは〝好きなこと〟よりも、確実に収益性が見えて、事業として成り立つものばかりをしてきましたが、年齢的にもいい年だし、今回初めて〝好きなこと〟〝夢のあること〟をやろうと思ったのが、このDリーグなんです。娘もダンスをしていて、自分もこれだけ好きになった〝ダンス〟というもので生きていきたい若い人がたくさんいる中で、そういう場を作ってあげたいと思いました。僕の今の夢は、小学生の〝将来なりたい夢〟のランキング上位の中に、Dリーガーが入ってくることですね。

TDM:具体的にはどのように進めていったのでしょうか?

平野:このプロジェクトを組むにあたっては、LDHさんや電通さんなどいろいろなところに協力していただきました。大きく分けると、スポンサー集めは電通主体、ダンサー招集や制作に関してはLDH主体で、僕はチーム集めを担当しました。今、参画していただいているチームの多くは私が声をかけた企業です。

TDM:実際進めていくにあたって、苦労したことなどはありますか?

平野:苦労した点は、ダンスはなかなか社会の中で受け入れられにくいことに直面したことですね。経済界の中で、いわゆる上場企業やそれに準ずる企業の社長さんに「こういう構想があるのでチームを出して欲しい」とお願いしても、若い社長さんやトレンドを知っている方だと、今はダンスの需要がZ世代中心に急激に伸びてきていることを理解していますが、我々世代の方だと、ダンスといえばアンダーグラウンドというイメージが強くて、「ダンスのプロリーグなんてうまくいくの!?」と、プロリーグ化に懐疑的な意見が多かったですね。

だから、いろいろな部活動がどんどんなくなっている中で、唯一増えている部活動がダンスだということや、ダンス人口は、今は数百万人いて、野球・サッカーの次に多くて、テニスやバスケよりも多いことなどの具体的なデータをお見せしてお話すると皆さんびっくりしていました。そして、チームを持つことが、今後いかに企業にメリットがあるかを説明するなど、説得するのはすごく大変でしたね。

TDM:以前、カリスマカンタローさんがインタビューで、ほとんど平野さんの人徳でチームを集めたものだと言っていました。

平野:いや、そんなことないけど、「なんだかよく分かりませんが、とりあえずやっておきます」という後輩はいましたね(笑)。一番の難しかったことは、ダンスそのものやダンス界を理解してもらうことでした。私も最初は〝ダンス界〟と〝芸能界〟は全く別物ということをよく分かっていなかったです。バトルやコンテストで名を馳せるダンス界の大御所たちと、一般の人がダンスを上手いと思っている芸能界の人たちが全く違うので、そこを理解していただく必要がありました。

TDM:やはりダンス界の感覚と、一般の方の感覚はかけ離れていると感じますか?

平野:そう思います。結局ダンスの大会やコンテストが一般化しなかった1番の理由は、 一般の人が見てもよく分からなかったからです。一般の人に〝グルーヴ〟と言ってもよく分からない。よく分からないから面白くないのは当然です。象徴的なのはアライブ(※1)ですね。僕は毎年見に行っていましたが、審査員のジャッジと一般投票の結果はだいたい逆でした。

Dリーグの立ち上げ時によく議論になった点もそこでした。ダンサー寄りの人は、バトルで皆に広く知らしめるようなものを作りたがっていましたが、僕は、絶対ショーケースじゃなきゃダメだと言い張りました。日本人の気質としても、シンクロ率が高いものやユニゾンなど、皆で揃っていること自体が分かりやすくて見ていて楽しいので、エンターテイメント性を盛り込んだダンスコンテストにしないと一般の人はついてこないと思ったからです。

素晴らしいバトルやコンテストはもうたくさんあるから、そこで勝負したい人はそこにいてもらうと割り切らないと、また〝ダンサーたちの中で評価が高い、ダンサーたちが喜ぶダンスバトル〟にしかならないと思いました。

エンターテインメント性と、ダンスの本当のスキルとのバランスの取れたギリギリの線で上手くやっていかないと結局広がらない。ダンサーたちからは「違うんすよ!グルーヴのあるチームの方がかっこいいじゃないですか!」と散々言われましたが(笑)経営目線としてここは譲れなかったので、僕がある程度押し切りました。

(※1) マイナビDANCEALIVE・・・2005年にスタートした世界最大規模の1on1形式ストリートダンスバトル。FINALは毎年両国国技館で開催。

TDM:バランス感覚を持ったカンタローさんとですら、その感覚は擦り合わせが必要だったんですね。

平野:やはり彼もダンサー出身なので、あまりにもエンターテインメント寄りにすると、本当のダンサーが参画しないかもしれないと懸念していましたが、「まずは共感してくれるダンサーたちだけで立ち上げよう」ということで、スタートしました。

でも、彼はダンス界に非常に精通していながらも経営的な感覚やセンスも持っている稀なタイプ。 Dリーグに出たい人はたくさんいるけど、Dリーグを作りたいという人はカンタローぐらい(笑)。

だから、僕は〝ダンスを一生懸命やっていた経営者〟カンタローは〝経営もちょっと分かっているダンサー〟なので、一般の人から見て楽しめるものを作るために、どのぐらいまでだったらギリギリ大衆化していいかなど、いいバランス感覚を保つ2人で作り上げられている気はしますね。

TDM:その方向性にすれば広がっていくということが平野さんには見えてらっしゃったということですよね。

平野:いや、賭けでしたよ。やはり初めての取り組みなので、僕も自分で言っておきながら、それが本当に正しいかどうかはやってみなきゃ分からなかった。でも、経営というのは、常に正しいと思ったことをやって、失敗したらすぐ修正して調整することなんです。だから、やってみた結果「ちょっと違うな」と思ったら、朝と夜とで言っていることが全く違ってもいいと思っていますが、その代わり、変える理由が明確なことや、変えて次に何を目指し、どうしたいのかということをきちんと伝えること、それを常に繰り返していくこと、が経営者として重要なことなので、その都度きちんと説得しながら進めています。

 

 

TDM:ダンサー集めに関してはいかがでしたか?当時は、プロ契約をするにあたって、スタジオの教えなどを辞めなければいけないことが辛いというダンサーたちからの声も聞きました。

平野:それはあったかもしれないですね。でも、シーズンがあるので、1年間でいうと、半分のシーズンオフは自由だし、半分は年俸制で生活保障をしているので、安心して参画してくれたダンサーも数多くいました。もちろん迷われる方もいましたし、最初のうちは、特に40代以降のダンサーは「Dリーグなんてチャラい」と、批判的な人も結構いましたね。

ただ、現状は、ほとんどの方がDリーグを認めてくれるようになり、「教え子をなんとかDリーガーにしたい」という声も聞きますし、大御所ダンサーの中にも「自分がDリーガーになりたいくらい!」なんていう方もいます(笑)。

TDM:いろいろなご苦労を乗り越えてスタートを切った一年目はいかがでしたか?

平野:一番の誤算はコロナでした。本当は大きな会場を満員にしてスタートさせるつもりだったのが、無観客開催で配信だけのスタートになってしまったんです。

誰もいないのに本気で踊らなければいけなかったダンサーも大変でしたし、お客さんには生で観ていただいて迫力を感じてもらうことが大事なのに、配信だとその一部しか伝わらないですからね。

2年目は、観客を50%入れられるようになりましたが、声を出してはダメで、お客さんはシーンとして観なきゃいけなかった。だから、昨年の第4シーズンで初めて普通のレギュレーションに戻ったので、今は会場に来ていただければ、いかに盛り上がっているか分かっていただけると思いますが、この正常の姿に戻るのに4年かかったわけです。お金もたくさん使いましたよ(笑)。

 

■最終的にはダンスのワールドカップを開催したい

 

TDM:Dリーガーの活動内容や、課されているルールや制限は、各チーム各企業によって違うのですか?

平野:そうですね。Dリーグに対してどういう取り組み方かは企業によってさまざまです。一例ですが、カドカワさん(株式会社KADOKAWA)は、ダンススタジオを作ってダンサーを育成したり、Dリーガーをいろいろなスタジオに特別講師として派遣したり、ダンスを1つの題材として収益に繋げています。

カドカワさんのように、これを1つのビジネスとして捉えて、オーナー自ら本気で取り組んでいただいて既に黒字化してる企業もあるし、広告宣伝としてチームを持っているという企業もあるし、これはプロ野球やJリーグやBリーグなどもそうですが、各企業の考え方によって温度差はどうしてもありますね。

TDM:年俸も企業によってそれぞれなのでしょうか?

平野:はい。でも、生活できないようではプロとはいえないので最低年俸は決めています。地方から出てきた場合でも、住むところを企業側で用意しているところもあります。野球やサッカーの選手と同じで、実力によって年俸が違うので、振付ができたり、チームの中心選手になったりすると、中には年俸1000万円を超えるDリーガーもいます。逆にいうと、ダメな選手は契約が切られるケースもありますね。

TDM:Dリーグは〝ダンサーがダンサーのまま有名になれる〟ということが重要なポイントですが、さらなるダンサーの可能性やエンターテイメントとして、どのように展開していくことが考えられますか?

平野:このDリーグの場自体が1つのエンターテインメントだと思っていますが、そういう面でいうと、LDHさんと一緒に協業できていることで、例えばCyberAgent LegitのTAKUMI君や、SEGA SAMMY LUXのTAIK君などは、LDHのTJBB(THE JET BOY BANGERS)というダンスボーカルユニットのメンバーに入って、パフォーマーとして活躍しています。

TDM:なるほど。では、Dリーグの今後のビジョンを教えてください。

平野:4年経って基盤ができ始めたので、国内では地方展開を考えています。今は関東圏のチームが主体なのですが、大阪や福岡など、関東以外でもダンスが盛んな地域がたくさんあるので、そういった場所での展開を進めるために戦略を練っています。

そして、その先はアジア進出ですね。日韓バトルや、新日国であるインドネシアやタイなどからチームを出していただくことも考えています。そのさらに先は、アメリカやヨーロッパなどへの世界展開です。

最近では、アジアや、ヨーロッパ、アメリカにも「Dリーグってなんぞや?」というのが広がりつつあります。今までこういった本格的なダンスリーグはどこの国にもなかったんですよ。バトルを中心としたコンテストはジャンルごとにたくさん開催されていますが、リーグ戦の競技で、しかもオールジャンルで、というのは世界で初めてですので、特にダンスのレベルが高いフランスなどからもどんどんチームを出して、最終的にはダンスのワールドカップを開催できればいいですね。

 

 

TDM:日本はダンス大国ではある一方で、一般の人が舞台に観に行くカルチャーがないなど、ヨーロッパなどに比べるとエンターテイメントに対する意識が低いですが、その差はどのように感じていますか?

平野:ダンスには、カルチャーの側面とスポーツの側面と両方あると思いますが、世界展開を念頭にやっていくには、どちらかといえばスポーツ性が強い方がいいと思っています。カルチャーの部分は「何を持ってカルチャーなのか」という定義がなかなか難しい。ただ、いわゆる庶民性といいますか、広く普遍的に一般の人たちにも楽しんでいただくことが、カルチャーの1つの機軸になると思っているので、そういう意味でも、今年の夏に、全国のダンススタジオ単位で競う「SD.LEAGUE(以下SDリーグ)」をスタートさせました。

 

■ダンススタジオ対抗「SD.LEAGUE」を発足

 

TDM:そうなんですね!そのSDリーグについて詳しく教えてください。

平野:全国のダンススタジオ単位で競う「SDリーグ」というのを、Dリーグの登竜門としてスタートすることにしました。イメージは、野球でいうとリトルリーグのような感じですね。ダンススタジオは野球でいうとクラブチームなので、そのクラブチームのナンバーワンを決める大会です。今回は全国を6地域に分けて予選を行い、上位チームが決勝戦で優勝を競うのですが、これはまさしくカルチャーになっていく1つの通過点になると思っています。

TDM: SDリーグを始めようと思ったきっかけは何でしょうか?

平野:結局、今のDリーガーたちを紐解くと、ほぼ全員といっても過言ではないぐらい、どこかのスタジオに通っていた経験を持っているのです。本当にダンスが好きでスキルの高い人は皆ダンススタジオに通うということです。サッカーでは、J2やJ3のチームを、1番上のJリーグが束ねて、育成も含めた中長期の戦略を練っているわけで、ダンス界もSDリーグが底辺を広げて、Dリーグが早い段階から将来のDリーガーの育成に関わり、場合によっては支援なども含めて取り組むべきだと思っています。 将来的には、才能あるDリーガーを目指す若者を、中学校卒業と同時に東京に呼んで、Dリーグアカデミーのような場所で育成することも考えています。

TDM:今は部活もクラブチーム化の方向性になっていますが、そういった世の中の動きと連動していますね。

平野:学校でダンスの授業を行うこともすごくいいことだとは思いますが、教えている人が体育の先生となると、なかなかスキルは伸びづらいし、学校の大会などは大体ダンススタジオに通っている上手い子が中心になって振付を作ったり皆に教えたりしているので、学校の部活動対抗よりは、スタジオ対抗の方が幅としては広がると思っています。

TDM:平野さんが人生で大事にしていることはありますか?

平野:僕が好きな言葉は「初心忘るべからず」という言葉です。何事にも、最初にどう思っていたか、どんな気持ちで経営者を目指したか、など思い出すようにしています。 例えば、Dリーグであれば〝最初にどんな気持ちでDリーグを作ろうと思ったのか〟が大事だと思っていて、だんだんステージが上がってきて、周りから脚光を浴びてくると、最初はもっと謙虚な気持ちだったはずなのに、どこかおごり高ぶりが出てきてしまうので、「調子に乗ってないかな?」と、自問自答しながら、最初にどういう気持ちでこの事業に臨んだか、を今でもすごく大事にしてますね。

TDM:最後にDリーグを目指すダンサーにメッセージをお願いします。

平野:Dリーグには夢と希望と未来と全て詰まってますので、皆さんぜひDリーグ目指して頑張ってください!

 

 

TDM:今後のDリーグの展開が楽しみです!今日はありがとうございました!

 

interview & text by Yuri Aoyagi

interview & photo by AKIKO

’24/08/10 UPDATE

 

 

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放送:フジテレビ(関東ローカル)毎週月曜24:55~(全12回予定)

配信:FOD、TVer

(FOD Premiumでは、限定のオリジナルエピソードも多数配信中!)

出演:レップ:中務裕太(GENERATIONS)、宮近海斗(Travis Japan)、谷口太一(DXTEEN)、RAN(MAZZEL)

Dリーガー:calin(LIFULL ALT-RHYTHM)、JUMPEI(avex ROYALBRATS)、TAKI(SEGA SAMMY LUX)、TAKUMI(CyberAgent Legit) ほか計20名

MC:堤礼実(フジテレビアナウンサー)

天の声・ナレーション:TAIGA

公式X(旧Twitter):@r4sd_fujitv

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公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/b_hp/R4_STREET_DANCE/index.html

 

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開催日時:8月17日(土)14:30〜

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配信:Dリーグアプリ・Sportsnavi
https://sports.yahoo.co.jp/livestream/dleague/dance/240803001

 

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