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DAISAKU

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90年代ストリートダンスシーンにおいて一世を風靡したカリスマチーム「DIGITAL JUNKEEZ」のメンバーで、アンダーグラウンドだけでなくメジャーシーンでも活躍する傍ら、カメラマンとしても活躍するDAISAKU。今年2月に開かれた彼の写真展「one loop」では、彼ならではのユニークな作品展示で訪れた人たちを楽しませていた。
一線で活躍しながらも、ダンサーとカメラマンという二足の草鞋を履く彼に、今回の写真展についてや今の想いなどを聞いた。


 

 

  • DAISAKU

15歳よりダンスを始め、90年代HIP HOP STYLEをベースに今なおオリジナルスタイルを追求し、メジャーシーンとアンダーグラウンドの両ステージで活動するダンサー。ニュースクール世代にムーブメントを巻き起こした「DIGITAL JUNKEEZ」として活躍。
遊助 PV バックダンサー、童子-T バックダンサー、小室哲哉 PVなど、数多くのステージやPVに出演。現在は、ダンサー活動と並行し、写真家としても活躍中。

 

 


■10代はダンスしか見てなくて、本当に黒人になりたかった

 

TDM:ダンスを始めたきっかけを教えてください。

DAISAKUお姉ちゃんの影響で、中学の時にテレビでCLUB DADAやダンス甲子園などを見ていて、カッコいいと思ってたら、近所に住んでいるお兄さんがたまたまウィンドミルが回れたので、教えてもらってたんです。それからその人の師匠たちとも一緒に川崎でやってたダンスコンテストに出たんですよ。そこには、TAKUYAさんとU-GEちゃんがチームで出てて、MATSUやUSAなど皆出てたんです。

俺は16ビートで踊ってたんですけど、そうじゃないダンスをTAKUYAさんとU-GEちゃんが踊っていて、今まで見たことない8ビートのダンスに「何だこれは!?」となったんです。そしたら、これはBOBBY君たちがやってる、マライヤ・キャリー等のバックで踊るLINK(ELITE FORCE)達の最新のダンスだと教えてもらって、そこから情報を仕入れて、その人たちと連むようになった。
10代はダンスしか見てなくて、本当に黒人になりたかった(笑)。20代前半はより黒人に近づけて(笑)、20代後半からはエンタメシーンにも出るようになって仕事になってきました。クラブでもテレビでも踊ってましたね。そして30歳が見えてきたくらいで「これからどうしよう」という葛藤が出てきた。仕事を失っていくタイミングで、違う仕事をした方がいいのかなと思った時もあったけど出来なくて、一発当てるしかないのかなとか。

実は、18歳~23歳までアイドルをやってたんです。B☆KOOLというグループで億をかけてデビューしたのにコケて、アンダーグラウンドシーンに戻ったんですけど、あの時のマイクを持った感覚が忘れられなくて、その後もデビューの話が来てKRUDとしてデビューしたんだけど、それもまた違って、sinarioというチームでラッパーとしてデビューしたりもしました。

僕らの時代はワークショップで稼ぐとかはなくて、レッスンをやるか、バイトしながら踊るか、デビューするかしか選択肢がなかったんです。それ以降は、メジャーシーンとアンダーグラウンドの両方で踊ってきました。

 

■写真にハマっていったのは〝人が喜んでくれた〟から

 

TDM:そんな、ダンサーとして長く活躍しているDAISAKUさんが写真を始めたきっかけは何だったんですか?

DAISAKU最初はダンスの動画を撮りたかったんです。当時YouTubeが世に出てきて僕もカッコいいダンス動画を撮りたくてビデオカメラを買ったけど、上手くイメージ通りに撮れなくて、いろいろ調べていったら、僕がカッコいいなと思って見ていたPVや、映画「マトリックス」の映像等は一眼レフを使って撮っているという事が分かったんです。

そこで、CANONの60Dというカメラを買って、動画を撮ってたんですけど、動画は誰かダンサーを呼んで撮らなきゃいけないから面倒くさいんですよ(笑)。しかも動画編集ソフトも買って編集しても、例えば、いい画が撮れても音楽が良くなかったり、逆に音楽がカッコいいのに画が上手く撮れてなかったり、どうも思ったものが作れなかったんです。

その内、「どうせ一眼レフがあるから…」と、発表会での生徒の思い出用の写真や、当時、上地雄輔君のツアーダンサーをしていたので、オフィシャルのカメラマンとは別の角度で、ダンサーを中心にした写真を撮ってたんです。それを毎年ツアーごとに雄輔君の曲に合わせて面白可笑しくスライドショーにまとめたDVDをダンサーの子たちにプレゼントしてたら、皆すごく喜んでくれたんですよ。そんなに喜んでくれるならもっとカッコよく撮りたいなと思い始めて、Photoshopとか触っていたら、なんかそっちの方がしっくりきたんです。写真は、音もなければ動かないので情報が少ない。フレームの中だけで完結していて、フレームの外は見る人が想像出来たりして面白いなと。自分がコントロールしやすかったんです。

TDM:それから写真にハマっていったんですか?

DAISAKUそうですね。〝人が喜んでくれた〟というのが一番の理由ですね。でも、撮り続けていたら、やっぱり撮れないものが出てきたんです。簡単にいうとブレちゃうとか、暗過ぎちゃうとか、その色がその色であるように撮れないとか。それは写真の学校に行けば基本として習う事だと思うんですけど、僕は周りのプロのカメラマンたちに聞いて、独学と実践で学んでいきました。

ダンスもそうなんですよ。実はレッスンに行った事がないんです。こうやったらうまく見えるとか理論で構築していって、分からない事は、レッスンに行ってる子に聞いて「BOBBYさんはこう言ってたよ」みたいな情報を仕入れていました(笑)。

だから、写真もそうやっていけば絶対出来るようになるし、よく言われている〝10年で一人前〟だとしたら、1年間で2年分の時間を写真に費やせば、5年で一人前になれる。それをやってやろうと思いました。

 

 

TDM:ダンスもやりながら…ですよね?

DAISAKUダンスはそんなにやってないですね(笑)。ダンスは時間的に言えば、1時間もフルで踊ったらけっこうハードで、それ以上は長くやれないですからね。だから、その後ビール飲んで寝ちゃう所を、ビールを飲まないで、写真を撮ったり編集したりしていました。常にカメラを持ち歩いて、あらゆる場所で撮っていましたね。

TDM:本格的に写真家になろうと思ったのはいつ頃ですか?

DAISAKU本気でやろうと決めてからは7~8年ですかね。正直、ダンスじゃない何かを探してたんです。先程も言いましたが、山を登るだけ上った20代後半くらいで、限界があるなと思い始めて、ダンスで飯を食おうと思わなくなっていきました。

何か違うものを探していましたが、ラップも音楽も上手くコントロール出来なかったんですよね。仲間とやってるからずっと続けてたけど、「どこかで区切りをつけなきゃ」と考えている時に、写真が喜ばれて、自分も楽しかったんですよね。それからずっとダンサーとして活動しながら写真をやっていましたが、今年、何年も継続してやらせてもらっていた上地雄輔さんのバックダンサーを、「僕写真やるので辞めます。みんな頑張ってね!」と卒業しました。

TDM:なぜ今年だったのでしょう?

DAISAKU本当はもっと前から辞めようという思いはありましたが、やっぱり現場は楽しいし、お金も頂けるので「あと1年、あと1年」と思ってやってきてしまった。でも、そこに頼って、例えばあと5年いたら50歳になってしまうなと。そう思ったらもう動かなきゃと思ったんです。自分のカメラマンとしてのコンディションが整ってきたというのもありました。

TDM:どういう所が整ってきたんですか?

DAISAKU最初は自分が何を撮りたいか分かりませんでした。子供や女の子を撮ってもかわいいし、男をパキっと撮ってもカッコいいし、自然を撮っても気持ちいいし、とにかく何でもよかった。でも、いろんな事にチャレンジしていくと、だんだんこれを撮りたいっていうのがなんとなく出てきて、〝表現〟とはこうなのかなというのを感じ始めたんです。
得意不得意もあるけど、出来れば僕は表現をしていきたい。表現するものはその都度でいいんですけど、写真で何かを表現したいんです。

その想いが今回の個展「one loop(ワンループ)」にも繋がりました。

 

 

■写真展「one loop」について

 

TDM:「one loop」を開催したきっかけを教えてください。

DAISAKU去年の5月にYARIが主催するイベントから、「HIP HOPというものを表現した写真を展示してください」というオファーがあったんです。HIP HOPという事は、僕は〝逃げられない〟と思ったんです。だから今回は、今の俺なりにHIP HOPを人と違う方法でで表現したらどうなるかなと考えて、僕がHIPHOPやダンス、音楽に対して考えてる事を写真で並べてみようと思いました。

TDM:どういう点にこだわりましたか?

DAISAKU例えば、今のHIP HOPと昔のHIP HOPの比較になった場合、「やっぱり昔のHIPHOPが一番だよね」という風潮はあるじゃないですか。あの時代がリアルHIP HOP!みたいなね。僕はもちろん昔のHIP HOPも好きだけど、今のHIP HOPもカッコいい曲はあると思ってる。「じゃあ何で皆昔のHIP HOPが好きと言うんだろう?」と疑問に思ったんです。「本当にそうかな?」と。

もしかしたら、昔のHIP HOPがどうこうじゃなくて、その当時16、7歳の多感で情報に対して敏感な時期に、刺激の強いHIP HOPというものに出会ったから覚醒したというか、その脳裏や身体に焼き付いたものを今でも一番カッコいいと思っちゃってるのかな、とか、もしかしたらその曲が凄いんじゃなくて、その時の多感な俺らの感覚が凄いのかもしれないな、と思ったんです。

正解はどっちかは分からないですけど、そう思った時に、その多感な時期の若者を写真で切り取って、僕のHIP HOPに対する考え方を並べようと思ったんです。

TDM:それが、少女をモデルにしたこれらの写真なんですね。

DAISAKU今回はたまたま女の子でしたが、男の子でもよかったんです。このモデルの子は、仕事で知り合ったアイドルの子なんですけど、ちょうど16、7歳。ただ女の子の写真をそのまま飾っても伝わらないので、どう並べようかと思った時に、当時僕の好きなHIP HOPの音楽たちが、同じ音楽が繰り返されるワンループで出来ているんですよ。そこにラップや歌が乗ってるだけ。それを気持ちいいと感じて一晩中でも頭を振り続けていられた。そのワンループの魅力に取りつかれていたので、それを写真の並べ方で表現したいと思ったんです。

Image:理想には届かない。でも明日はまた来る。

この手を伸ばしてる写真は、僕は30年近く踊ってるんだけど、理想に届かない。だから写真でも届かなくて掴めない。でも、また明日が来て…みたいな事を表現しました。この女の子はリズという名前で、リズムのリズらしいんですよ。だから、ワンループにぴったりだなと思ってモデルをお願いしました(笑)。

TDM:ワンループを表現とは、具体的にはどうしたんでしょうか?

DAISAKU小さい部屋にぐるっとループするように写真を展示したんです。1つ1つの写真をビートに見立てて、8ビートで全部で8枚。ドラムでビートを作った場合、キックの音が「ドン」、スネアの音が「カッ」だとすると、「ドン、ドン、カッ、ドン、ドン、ドン、カッ」となり、「カッ」のスネアの位置に、その女の子の写真を配置しました。「ドン、ドン」のキックの部分はダンスや音楽に対して思うことを表現した写真、「カッ」のスネア部分はそれとは違う写真というように額装しました。写真の8ビートがループしてるイメージですね。

 

TDM:この写真にはどういった意味があるのでしょう?

Image:自由

DAISAKUこの空にはばたく鳥の写真は「自由」という意味なんです。どの鳥も違う飛び方をしてる。「自由に飛びたいように、踊りたいように踊ればいいよ」というメッセージを表現した写真です。

Image:〝波に乗る〟と〝音楽に乗る〟

そして、僕は水と音楽って感覚的に一緒だと思っているんです。〝波に乗る〟のと〝音楽に乗る〟のは同じ事。音に合わせにいくのではなく、音に乗るように踊るという事を重要視していて、それが気持ちいいんです。
海の外から音を取りに行くんじゃなくて、水の中(音に中)に入りなさいというイメージ。

Image:音に身を委ねる

この雲の写真も、音に身を任せる、ステップに委ねるというイメージです。それには雲が一番いいかなと思ったんですよね。僕の好きな漫画「バカボンド」で宮本武蔵が「水になれ!」と言うんです。水は、丸い器に入ったら丸くなる、四角い器に入ったら四角くなる。その感覚が好きで、そのステップに対して体重を乗せて委ねていく。それに反発しちゃうとステップが崩れたり重心がおかしくなったりするので、委ねていくというのがすごく大事だと思ってるんです。

Image:飼育されてない強さ

この壁から生えた植物の写真は、飼育されてない強さがストリートだなと思って。大人たちが流行らせようとか、世の中をコントロールしようと思っても、子供たちが遊びの中で作り出していくものの強さ、何もない所から出る生命力にストリートを感じたんです。

Image:ダンサーの旬/一瞬の輝き

この写真は、桜は1週間しか咲かないけど、だからこそ綺麗なのかもしれない。そして、ダンサーの旬も短い。僕もシーンの中で旬があったけど、それが本当に短くて、また違う旬のダンサーが出てきてどんどん移り変わっていく。でも、その一瞬の注目度と輝き方がとても美しくて…。それが桜みたいだなと思ったんです。
結局、散るという事にフォーカスが当たってるんだと思います。日本人には弱いものや儚いものに美しさを感じる美学がある。僕も、イキイキと咲いてる桜より散っている桜にしっくりきたのかなと思います。

Image:時の流れや音楽の流行りの儚さ

このラジカセってたぶん当時は最新だったのに、今は多摩川に捨てられていたんです。だから、ニュースクールだと思ってたものがすぐにオールドスクールになるという周期の速さを表現しました。桜はダンサー個人、ラジカセは時の流れや音楽の流行り廃れの儚さを表しています。

Image:感覚のズレ

時間の経過でいえば、この白線の写真も、白い白線に対して、この影の線が合ってた時間帯があると思うんです。感覚的な事なんですが、この白い線がHIP HOPとするならば、僕の感覚は少しズレてきているんですよ。例えば、僕の感覚と当時一緒に踊ってたやつの感覚も時間の経過によって当然ズレる。その〝感覚のズレ〟を表現した写真です。

僕が18歳の時にHIP HOPにガッチリはまっていたら、たぶんフードを被ってくわえタバコをして暗い部屋でカッコつけて写真を撮ったと思うんですけど、今の感覚ではそれを良しとしない。成長すると好みも変わってくるから、カッコいいと思っていたものを今は思わなくなったり、もっとカッコいいものに気付いたりして、カッコいいと思うものが変わっていくんですよね。

それぞれ時間によって感覚がズレていくのは当然の事で、それを成長として捉えていますが、成長でもあるし、もしかしたら無くなった部分もあるのかなって思います。削られていったというのかな。「丸くなったな」とかよく言うじゃないですか。でも、それはどっちがいいとかじゃなくて、今の自分は今の自分でいいと思うし、まだ当時と同じ感覚でHIP HOPやってる人たちも美しいと思う。感覚はズレても僕はHIP HOPと出会った事によって、写真を撮って人と違う表現をしていこうとしている。これも根本はHIP HOPだと思います。それは僕にしか出来ないと思うので。

ダンスを表現するのにダンサーを撮って表現する事ももちろん考えたんですけど、そうじゃなかった。単純にダンスを撮るよりは、「僕はこう考えてるんだよ」というのを言葉じゃなくて写真で表現するのが写真家だと思うので。

 

■その時の自分の感覚を信じてシャッターを切る

 

TDM:ダンスで大事にしている事と、写真で大事にしている事は何ですか?

DAISAKUダンスで大事にしてた事はグルーヴですね。やっぱりカッコよくなきゃダメだと思って。凄さよりカッコいい事が大事。写真で大事にしている事は、構図もですけど、例えば、僕はその音に対してこう身体が動いた、みたいな、感覚的な事かな。他人それぞれ違うと思うけど、〝僕はこれをこの瞬間美しいと思った〟という事を疑う事なくシャッターを切る。その時の自分の感覚を信じる事を大事にしていますね。

 

 

TDM:今後の目標を教えてください!

DAISAKUやっぱり〝喜んでもらう事〟を繰り返す事かなと思っています。クライアントの写真を撮りに行って、思いのほか喜んでもらえる事があるんです。「こんな風に撮ってもらって嬉しい」とか、そういう声を聞くと嬉しいし、次にも繋がります。

仲間がメジャーシーンで売れていったりして、「僕の方が先に頑張ってたのに」とか悔しいと思った事もありますが、今は良かったなと思ってます。お金はないけど楽しいんです。「お金なくてどうしよ、どうしよ」ってなってる感じも楽しい。もうちょっと稼ぎたいですけどね(笑)。そして、儲けはないけど、展示会も続けていきたいですね。表現が楽しいので、表現しながら人に喜んでもらえるような写真を撮っていきたいですね。

TDM:今後の写真家としての活躍も期待しています!今日はありがとうございました!

 

interview &edit by Yuri Aoyagi
photo by AKIKO
’20/4/13 UPDATE

 

 

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tokyodancemagazine

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