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ミュージカル「REizeNT ~霊前って…~」特集 林希×大村俊介(SHUN)×JuNGLE

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今年結成12年目を迎えるjunkie sista x junkie bros.が2年ぶりに届けてくれるのは、ダンスコメディ“お葬式”ミュージカル「REizeNT ~霊前って…~」。junkie~はストリートダンサーもプロの役者と共にハイレベルな芝居と歌で魅せる芝居ユニット。再演となる今作だが、新たな楽曲や、個性的なメンバーが加わり、新鮮な作品に生まれ変わっているようだ。junkieリーダーの林希と、メンバーで振付としても参加している大村俊介(SHUN)とJuNGLEの3人に今回の意気込みを語ってもらった!


 

  • junkie sista x junkie bros.

結成12年目になるjunkiesista×junkiebros.(ジャンキーシスタ×ジャンキーブロス)。実力派集団として暴走族ミュージカル、花魁ミュージカル、ゾンビミュージカルと個性的な演目を上演し続け、2010年には池袋シアターグリーン芸術演劇大賞も受賞する。他とは一味違う”ダンスコメディミュージカル”をお届けする彼らが、新たなキャストを迎え、2014年の話題作、伝説のお葬式ミュージカルを上演!!

 

  • 林 希

和歌山県出身。リコモーション所属。junkie作品の演出・プロデュースを務める。劇団SETを経て、数々の舞台、映画、ドラマで活躍する。近年では舞台の演出や、東京パフォーマンスドールの振付/ライブ演出、JUNNA、wacciなどアーティストの振付、また事務所の若手の育成も手掛ける。 独創的な発想と企画力でエンターテイメント性の高い作品創りに定評がある。

【テレビ】連続テレビ小説「ふたりっこ」、ドラマ「ブザー・ビート」他
【舞台】「ガールズタイム」、「ウエディング・シンガー」、地球ゴージャス作品  他多数
【演出】農業系ROCKミュージカル「いただきます!~歌舞伎町伝説~」、「泥沼リリー」、「HARADA」、「デストロイヤー花」他
【振付】映画「ボクはボク、クジラはクジラで泳いでいる」他
【振付/監修】ドラマ「いつかこの雨がやむ日まで」(東海テレビ/CX系)  他多数

 

  • 大村俊介(SHUN)

SMAP、安室奈美恵、倖田來未、BENIなどのアーティスト、また宝塚劇団の振付も手掛け、ダンサーとしても数々のステージ・映像に出演し、舞台俳優としても活躍する。 圧倒的なパフォーマンス・振付に定評がある。
【主な舞台出演作品】地球ゴージャス作品、ミュージカル「ラディアント・ベイビー」、「カルメン」スニガ警部役、「プリシラ」 他多数

 

  • JuNGLE

古くからjazzダンサーとして様々なキャリアを積む。卓越された技術、裏付けされた繊細なディテール、そして何よりもインパクト大大大なビジュアル!!存在感!!
彼女のパフォーマンスからはダンサーが持つべき本来の姿「表現者」である事の意を感じさせてくれる。形にとらわれず喜怒哀楽をダンスというフィルターを通じ描写する事ができる唯一無二の表現者中指姫。インディビジュアルjazzダンサー。(Written by. TAKUYA from SYMBOL-ISM)
【振付】倖田來未、安室奈美恵、MICHICO
【TVshow、Live】倖田來未、郷ひろみ、MICHICO、スーパーチャンプルetc

 


 

■ダンスメインの面白い芝居ユニットを作りたい

 

TDM:junkiesistaが結成されたきっかけは?

 

もともと、ダンサーって芝居をやるきっかけが少ないと感じていて、やる為には自分たちでそういう場を作るしかないから、何か出来たらいいね~と知り合いの何人かで話していました。また、当時、原田薫さんのダンスを何度か見ていて「この人、芝居に興味ないかなぁ。コメディが出来るんじゃないかなぁ。やったら面白そうやなぁ。」と思っていたので、薫さんと初めて一緒に飲んだ時に「薫さんって芝居に興味ないんですか?」と聞いたら「え…、うん…、あるよ。」と(笑)。「じゃあ、ダンスメインの面白い芝居ユニットを作りましょう!」となり、2007年に結成されたのがjunkiesistaです。最初は女性7人でした。

 

TDM:その初演を拝見したのを覚えていますが、「あの原田薫さんがしゃべった!しかも、いつもかっこいいのに、コメディでボケまくっている!」という衝撃がありましたね。
林さんはもともとダンスをされていたんですか?

 

:いえ、私はもともと演劇畑の出身で、ミュージカルに出る時にダンスもやっていました。ダンサーの人たちと触れ合うのは刺激的だし、SHUNくんやJuNGLEみたいなダンサーの中でもカリスマ性のある人とふざけた事が出来て、本当に楽しいですね。

 

TDM:SHUNさんやJuNGLEさんの芝居歴は?

 

SHUN

俺は、昔、ある芝居ユニットに誘われて、ずっと芝居には興味があったから「やったー、勉強になる!」と思ってやっていたら、それをたまたま見に来ていた岸谷五朗さんにスカウトされて、岸谷五朗さんと寺脇康文さんが主催する演劇ユニット「地球ゴージャス」に呼んで頂けるようになりました。他にも芝居メインの舞台にお誘い頂いたりしています。だけど、芝居は目下勉強中です。

 

JuNGLE

私は19歳くらいの時からミュージカルに出たりしていたんですが、つまらなくなって一度ダンスに戻りました。ただ、Studio FACEというダンススタジオでの発表会や、ビートニックスタジオの川崎悦子さん主宰のダンスパフォーマンス「タラ・レバ」では、セリフはないけどふざけた事をやっていて、「タラ・レバ」を見に来ていた芸能事務所のアトリエ・ダンカンの社長にスカウトされて、2006年にミュージカル「OUR HOUSE」に出ました。それから、ミュージカルのオーディションを受けるようになりましたね。

 

:私が原田薫さんを見つけたのも、悦ちゃん先生(川崎悦子)演出の「スイートチャリティ」でした。悦ちゃん先生は面白いダンサーを集めてましたね。それと「すっごく希に似てるJuNGLEっていうダンサーがいるから今度紹介する」と言われていました(笑)。会った時に横に並んでたら、みんなゲラゲラ笑ってました。初めて会った日はお互い人見知り発動してましたけどね(笑)。

個性豊かなキャスト紹介!

 

TDM:junkiesistaの男性版、junkiebros.はどういったきっかけで結成されたんですか?

 

:junkiesista結成の翌年に、初演の作品を男性バージョンで再演したいな~と思いました。ただ、男性はなかなかメンバーが安定しなくて、今ではオリジナルメンバーはSHUN君だけですけどね(笑)。

 

 

SHUN:junkiebros.での重要な役は、役者経験の高いプロの方にお願いするんだけど、そういう方は他の舞台や、自分たちの劇団の活動もあって、なかなか同じメンバーが何回も揃うっていうのは難しいんですよね。

 

:ここ数年はjunkiesista & junkiebros.という男女合同の形でやっています。

 

TDM:junkiesistaの活動スパンは?

 

:1年半~2年に一回やる感じですね。

 

SHUN:メンバーがみんな忙しい人たちだから、そのスケジュールの隙間をぬってやってますよね。

 

今回も2年ぶりの公演で、junkiesistaメンバーの原田薫さんとただこが出れないんですけど、メンバー全員が合うスケジュールを待ってたら一生出来ないんじゃないかと思って、初めてメンバー2人が抜けた形でやる事になりました。だから、junkieメンバーよりもゲストの方が多くなっていて、それは初めてです。でも、いろんなジャンルの方たちなので、毎日がとても新鮮で楽しいです。

 

TDM:今回のキャストの皆さんを紹介して頂けますか?

 

:そうですね、じゃ、まず【空ゆきこ】からいきますか。彼女は…

 

SHUN:持って生まれた天才女優!そこにいるだけで面白い。素晴らしいもん。立ってるだけで笑っちゃう (笑)。

 

:10歳から大人の劇団に入ってお芝居やってきてますからね。芝居に安定感はありますよ。続いて、【柳橋さやか】は、出会った頃はこんなんじゃなかったよね?

 

 

SHUN:うん、もっと痩せてシュッとしてたよね(笑)。僕が初めてさやかと出会ったのは、BDCというダンススタジオの発表会でお互いにまだ生徒の時でした。今では、ある意味、名コンテンポラリーダンサーになって、今回の舞台でもあれが飛び出すかどうか…(笑)。

 

:そうやね~(笑)。さやかはメンバーの最年少でしたが、もうすぐ40歳 (笑)。

 

SHUN:皆からいじられキャラでもありますが、junkieには無くてはならない、元気の源ですね。

 

:続いて【HONEY】くん。H5という韓流グループのリーダーで、日本でミュージカルの舞台に立つのが初めてなんです。彼は前半ずっと出ずっぱりで、セリフも一番多いんですけど、まず、日本語を読むだけでも精いっぱいだろうし、最初の本読みの時はものすごく緊張していました。でも、2回目の稽古では全然変わっていましたね。

 

SHUN:あの変わり様はすごかったね。「嘘だろ!」って思った。

 

:耳がいいし、感覚がすごくいい人なので、とても楽しみですね。韓国ユニットなんで、イケメンだし歌も踊りも出来ますし、三拍子揃った人ですよ。

次は【かちゃ】。私は彼女の歌にすごく惚れて、今回のロックミュージカルに、彼女の声が欲しいなと思いました。キャラクターもいいしね。普通、こんなメンバーに囲まれて萎縮しちゃうだろうに、思い切りやっていて、根性座ってますよ。

 

SHUN:若いのに、勝手に自分のやるべき事をやるしね。それぐらいじゃないと表現は出来ないよね。

 

:【橘二葉】ちゃんは、私が和歌山で子供たちにダンスを教えていたんですが、彼女は8歳の時から私の生徒なんです。今は東京パフォーマンスドールというガールズグループに所属しています。まぁ、彼女が20歳になって、共演出来る日が来るなんて、感慨深いものがありますね。

続いて、【石倉良信】さんは、私が劇団SETにいた時の同期なんです。初演時に、同じくSETの同期の西海健二郎がやっていた役をやってもらうので、この役は同期枠ですね(笑)。

 

劇団SET:劇団スーパー・エキセントリック・シアター(Super Eccentric Theater)の通称。1979年、三宅裕司を中心に旗揚げされた劇団。

 

SHUN:この役は、劇団の方がやるからこそ生きる感じですからね。ちょっとした言い方でも芝居を生業にした方がやると、安定感が全然違いますからね。

そして、Blue Printから【ATSUSHI】くんという、毛むくじゃらの南国男子が出てくれます(笑)。外国人顔の役なので、見た目は濃いですね。彼も芝居が好きで、活動してきているし、人もいいし真面目だし、出てくれる事はすごく心強いです。

そして、最後は【シルビア・クラブ】さん…は、もう説明する必要はないかもしれませんね。

 

帝国劇場や数々の大舞台のメインキャストもやられている人ですが、中身は酒飲みのただのオッサンです(笑)。junkie公演には今まで歌唱指導で入っていただいていたんですが、出てもらうのは初めてなので、どういう風にみんなと絡んでいくのかすごく楽しみですね。歌に関しては、かちゃとシルビアが入ってくれた事によって、一気に厚みが増して、ちゃんとしたミュージカルになります!(笑)。

 

■嫌な奴しか出てこない!?進化したお葬式ミュージカル!

 

 

TDM:そう考えると、再演とはいえ、人も内容もすごく進化していますね。

 

:そうですね。同じ事をやっているはずなのに、新しい楽曲が加わったり、演じる人が変わった事によって、すごく新鮮な作品になっていて、毎日が楽しいです。

 

TDM:junkieの作品はいつも笑えるので本当に楽しいです。

 

:笑いしかないんです(笑)。真面目なシーンもあるんですけど、流しちゃうんですよね(笑)。

 

SHUN:誤魔化しちゃうんだよね(笑)。サラッと真面目な事はやってるから、拾える人だけ拾ってくれればいいかな~。

 

TDM:簡単に今回のあらすじを教えていただけますか?

 

お葬式ミュージカルになっていまして、私が大会社の女社長の役で、彼女が亡くなるところから始まって、最後までお葬式のシーンだけです。みんな喪服で、衣装は地味ですが顔は派手ですよ(笑)。SHUN君はお坊さん役で、こんなお坊さんは絶対に嫌だなっていう坊主です。JuNGLEは葬儀屋さんです。こんな葬儀屋も嫌でしょ(笑)。

 

全員:(笑)。

 

:嫌な奴しか集まってこない中で、いろんな事件が起きて、女社長を誰が殺したのか、犯人探しがあったりして、最後は…ただ、笑って終わります!難しい話は全然ありません!とにかく、今回はわかりやすいミュージカルになっていますし、もし元ネタになっている「R●●T」を知っている人は、最高に楽しめると思います。

 

JuNGLE:元ネタを知らなくても、歌詞の言葉選びも面白いですしね。

 

:歌詞が面白いのも、素晴らしい脚本家の方がいるおかげですね。私たちの事をよくわかってくれてて、楽しんで本も書いてくれてるから、ずっと稽古場でも笑ってるよね(笑)。いろいろ準備もあって大変ですが、辛いと思った事はないですね。それこそ、回を重ねる度にプレッシャーは感じてはいますけど、基本は‟楽しい“しかないので、必然的にいい作品が出来ると思います。

 

 

■それぞれの可能性・引き出しを出し切るプロ集団

 

 

TDM:SHUNさんとJuNGLEさんは、役者という表現者になった時に何か変わる事はありますか?

 

SHUN:いや、一緒かも。踊る時、振付の時、演じる時、歌ってる時、どれも自分が「こうしたい」「こうしていきたい」をやってるだけかな。作品や演出によっては、その役になりきらなきゃいけないから、演出家が望む役に近づく努力はするけれど、junkieは、演出はあるんだけど役は自分たちで作るようなもの。自分の持ってる可能性や引き出しを全部出して創り上げていく感じ。そう考えると、一番素でいられる現場かもしれない。

 

JuNGLE:私の本業はアンダーグラウンドのダンサーなので、ダンサーだけが出演する舞台や、生徒がノルマチケットを買うような舞台に出るのは大嫌い。原田薫さんにjunkieに誘われた時に、ダンサーではなく、ミュージカル女優さん、個性派舞台女優さんがいるから、YESというお返事をしました。身内ネタで「先生やばーい!」ではないですし、本気で私はこれに命を懸けて臨んでいるので、ダンサーも‟ミュージカルだから見ない“のではなく、是非見に来て欲しいです。

 

:私は、演出を一応やってますが、最終的なまとめ役というか、中身や芝居はみんなで作っていきます。お2人には振付をお願いしていたり、それぞれの専門分野があって、それをここに持ってきてくれるので、プロの集まりだなと感じます。それがやっぱり面白い。

稽古中、役者に勝手に役を作られたり、脚本からはみ出過ぎるのは嫌いなタイプなんですが、junkieは脚本から脱線しないで、ちゃんとセリフの中で勝手にやってくれるから嫌じゃないんですよね。みんな分かった上ではみ出てくれるから楽しいし、どんどんやって欲しい。ガチャガチャしてるけど、みんな真面目でええ子たちなんです(笑)。

 

 

■洗練されたプロフェッショナルが集まると、楽になる。

 

 

TDM:今後のjunkieの目標は?

 

:やっぱり続けたいですね。今回junkieのメンバーが2人抜けても成立するなら、今後もこういうバランスの公演は出来るかなと思います。今までいろんな壁はありましたけど、薄っぺらいというか、そんなに高い壁ではなくて、意外とふっと越えられてきたから。

 

SHUN:壁って自分で作っちゃってる部分もあるしね。ここのメンバーは集まればなんとか出来る。

 

:俯瞰した立場から見てると、自分も含めて、みんな進化というよりも、余計なものが取れて洗練されていってる気がする。それぞれがいろんな経験をして、人としてすごく大きくなっている感じ。もちろん、12年前の結成当初はみんな「頑張んなきゃ!」が強すぎて、すごく尖ってました。でも、今はみんなそういうものが省かれて、ただ「いいものを作りましょう!」と思える。丸くなったのかな?(笑)。

 

SHUN:いろんな経験を経て、その余裕が持てる力が身についたからかもしれないね。

 

JuNGLE:私は途中から加入してまだ数年ですが、本当にプロフェッショナルが揃っている場所で、それはすごく楽だなと思いました。本来はそうでなくちゃいけないんですが、なかなか難しい。プロフェッショナルの人たちが集まるとこんなに楽しくて、一緒にいて本当に楽なんだなと知りました。

 

TDM:では、最後にお客様にメッセージをお願いします!

 

:ダンスしか知らない人、ミュージカルしか見た事のない人でも、楽しめる作品となっておりますので、是非吸収しに来てください!お待ちしてます!

 

SHUN:是非いろんな可能性を自分に感じて、見に来て、「自分も出来るかも!」なんて思う人がいたらいつか一緒にやりましょう!バイバーイ!(笑)

 

JuNGLE:あのJuNGLEがミュージカルに出るよ。歌も歌いますし、ダンス・コメディ・お葬式ミュージカルなので、萎縮せずに是非見に来てください!待ってまーす!

 

 

TDM:本日はありがとうございました!

 

Interview by AKIKO
photo by imu
’19/5/21 UPDATE

 

★ミュージカル「REizeNT ~霊前って…~」の詳細はコチラ!

 

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tokyodancemagazine

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