ヒップホップ・アクティビスト Zeebra がオーガナイズする真夏のヒップホップ・フェスSUMMER BOMBが8月18日に新木場Studio Coastで開催される。今年は「ラッパーとダンサーが自然に共存し、繋がり合える空間を創りたい」との想いを込めて、初のダンスバトルを開催。今回、ダンスバトル審査員の一人CHINOとZeebraとの濃厚な対談が実現。HIP HOPに人格形成された“HIP HOP歴35年”の2人から熱い言葉の数々が届いた。
→[BREAKIN / HIP HOPバトルエントリー受付中] ヒップホップ・アクティビスト”Zeebra”がオーガナイズする 真夏のヒップホップ・フェス「SUMMER BOMB 2018」
- Zeebra
東京を代表するヒップホップ・アクティビスト。ヒップホップレーベル「GRAND MASTER」代表。早くからその才能を開花させ、日本語におけるラップを新たな次元へと引き上げ、ヒップホップ・シーンの拡大に貢献した立役者。97年のソロ・デビューから常にトップの座に君臨し続け、常に上のレベルを追求する姿勢に共感を覚えるリスナーも数知れず、その音楽性の高さや技術(スキル)、スマートなスタイルと存在感により、男女を問わずリスナーの間でカリスマ的存在となっている。その波動は国内に収まらず、DJ PREMIEやSwizz Beatz、Scott Storch、Tony TouchなどUSのアーティストとの楽曲も制作する。また、アーティストからの信頼やリスペクトも厚く、自身の作品に加え世代やジャンルの垣根を超え、安室奈美恵、Dreams Come True、長渕剛、EXILE、小室哲哉などのメジャーアーティストから、TOKUや日野賢二(JINO)といったJAZZミュージシャンとの共演もこなすなど、その幅広い客演作品は総数100をも超えている。さらにTOKUとは「ホテルオークラ東京」や「椿山荘」でのディナーショーをはじめ、TOKU名義でのフランク・シナトラ生誕100周年トリビュート・アルバムでは、名曲「MY WAY」にラップで客演するなどし話題を呼んだ。2013年、より良いクラブとクラブカルチャーの創造を目標と風営法の問題点に正面から向き合うため『クラブとクラブカルチャーを守る会』を設立。会長として昼夜問わずメッセージを投げかけ続けた結果、改正風営法(2016年6月23日)の施行へとつながり、報道番組や新聞などでも大きく取り上げられた。また、その活動が認められ東京・渋谷区から「渋谷区観光大使ナイトアンバサダー」に任命され、オランダ・アムステルダムで開催された国際会議「Night Mayor Summit 2016」への参加や、続くドイツ、イスラエルでの開催時にも参加し、ナイトエコノミー、ナイトカルチャーの推進にも取り掛かるなど、その活動は多岐にわたる。近年、ZeebraがオーガナイズするMCバトル番組『フリースタイルダンジョン』が、テレビ朝日とインターネットテレビ「AbemaTV」にて放送され、若い世代を中心に空前のMCバトル人気を起こし、遂には2017年4月1日にZeebraの長年の夢でもあった24時間体制のHIPHOP専門ラジオ局「WREP」をインターネットラジオ局を立ち上げた。
・CHINO
1984 年、日本の HIP-HOP 創成期から活動を開始、多数のダンスコンテストで受賞し、世界 No1 HIP HOP TEAM『Rock Steady Crew』のメンバーとして世界の舞台で活動。その後日本に帰国し、日本の芸能界、音楽業界に HIP HOP カルチャーを根付かせる。
■HIP HOPとは、盗んで学ぶ!あるもので済ます!うまく流用する!
CHINO:
こうしてZeebraと対談するのって初めてかもね(笑)。
Zeebra:
うん。CHINOくんとはかれこれ30年近くの付き合いになるのにね。人格形成が、あの時代のHIP HOPと共に行われた世代。当時は、パンク、ヘビメタの時代でもあったから、もしかしたらそっちを選ぶ可能性もあったけど、そこはHIP HOPだったんだよね。
CHINO:
そうそう。俺たちは若いときから変わり者で、人と同じが嫌いなんだよ。性格のベースがそれで、HIP HOPの映画とか映像を見たら、そりゃ食いつくよね。
TDM:
お2人の出会いは?
CHINO :
1980年代初めは、原宿のホコ天、洋服屋の東京堂とか、A STORE ROBOT、DEPT、レコードショップのCISCOに行くと、たまたま会うとかだったかな。クラブに集まり始めるのは1980年代後半だからね。
Zeebra:
レコードショップと言えば、最初は“HIP HOP”というジャンルがなくて、「ブラック」「ソウル」「R&B」みたいなカテゴリだった。ジャケ写でラッパーっぽい格好をしてるのを買って、聞いたら全然HIP HOPじゃないこともよくあった(笑)。映画「ワイルドスタイル」の中に出てくる不良たちを見て、「お、アメリカの不良、かっこいい!」って思う連中が、HIP HOPに反応していったんだよね。
CHINO :
当時HIP HOPに反応するのは悪いやつばかりで、まじめな人はいなかったよね。俺は中学2年からHIP HOPを始めたんだけど、それまではパンチパーマで不良をやってた。とんがったエナメルの靴を履いてたのが、急に映画「ワイルドスタイル」の時期から、サイドを刈り上げて、スーパースターを履いたり、LeeのGジャンを着たりするようになった。「なんだそれ」って言われても「ニューヨークでは今これが流行ってるんだよ」って周りに話すと、納得してたよ(笑)。
そのあとに映画「ブレイクダンス」が公開されて、「ロサンゼルスでは、カラフルな服が流行ってるのか!」と知ると、またすぐに真似した (笑)。チャリのかごに、小さいラジカセを斜めに積みこんで、みんなカラフルなパンツ履いてた(笑)。ほんとにたった1年で一気にガラッと変わったね。変化にはみんな驚いたし、それほどHIP HOPは衝撃的だった。
TDM:
今もHIP HOPというフィールドで、それぞれのセンスを常に発信していますが、35年やり続けて、今のスタンスを築いていらっしゃるんですね。
Zeebra:
スタンスで言えば、CHINOくんのFacebookで上がる美味しそうな料理の数々!(笑) あれはセンスそのものだよね~。
CHINO:
ありがとう(笑)。もともと、ワインを好きになったら極めて、ワインを極めたら、ワインのお供に美味しい料理とマリアージュしたくなるじゃん?(笑)。普通に2人で高級フレンチとかに行くと10万円くらいかかっちゃうところ、「待てよ。これ、自分で作れないか!?」という、まさにドHIP HOPな考えになるわけよ。月に1回はフレンチに行ってプロの味を勉強しながら、毎月少しずつ自分の料理の知識を増やして1万円でフルコースが作れるようになる。それから10年以上作ってるから、投資した元は十分取ったかな(笑)。
料理以外にも、ダンスはもちろん映像、デザイン、音も作るし、頼まれればラップもやるし、DJもやる。エンタテイメント関係でやってないのはヘアメイクだけかな。自分をプレゼンするときに「こんなこともできますが、どうですか?」と30年以上いろいろくっつけてたら、結局それぞれがお仕事になっちゃってた。「なんで?」と言われても、もう生き様なんだよね。HIP HOPからすべてを教わってるから。
Zeebra:
間違いない(笑)。盗んで学ぶ、まさにHIP HOPだね!俺も、ラップする前はDJをしてて、その前に、目の前でDJ YUTAKA君がくるくる回ってトリックを決めているのを見て覚えて、家に帰ってから練習したりもしてた(笑)。
今の45歳前後以上の人って、若いときにHIP HOPの先生がいなかったと思うから、自分が持ってる情報だけで、それを形にしようとしてた。見よう見真似で人から盗む、それが俺らにとってのHIP HOPだったね。
だからCHINOくんの料理の話は俺ら世代が感じるHIP HOP。その時代に応じて、いろんな感じ方があると思うから、今のHIP HOPの世代の人に、これを伝えるのはなかなか難しいんだけど、でもそれは、いつの時代にも思っていてほしい。
俺たちの時代は“わからなくても人に聞くのが癪だし、かっこ悪い。聞くより先にできていたい。”みたいなスタンスがあった(笑)。あとは、“あるもので済ます!うまく流用する!”という意識もあったね。
CHINO:
うん。しかも、センス良くね(笑)。
■人と違うことに感じるステータス
Zeebra:
1980年代後半のHIP HOPでは、「まじめ=かっこいい」という時代があった。 “知識”、“ピース” 、“ユニティ”とかがテーマのメッセージ性高いラップになっていて、アメリカの黒人でイスラム教になったり、コーランを読んで肉を食べなくなったり、薬物反対を訴えるやつらが出てきてたから。
HIP HOPはそもそも不良がやりたくてやってたし、そこに憧れて始めたのが、どんどん社会性が高まっていった。それをきっかけに、日本に住む俺も何かにまじめに取り組むことを覚えた。そういうところもひっくるめてHIP HOPにまともにしてもらったところがデカい。
CHINO:
俺もHIP HOPに中学2年生で出会えたから、学校に行ってダンスを練習するようになったし、HIP HOPがなかったらひどい人生だったな。でも、それに気づくのって、10~20年後くらいなんだよね。
Zeebra:
そうそう、やってるうちは楽しいし、夢中だからね。気づけば、HIP HOPに来なかったやつと自分に差が出きていて、そこで「あ、自分はHIP HOPに救われたんだな」と気づいた。
CHINO:
HIP HOPの魅力はすごく好きなんだけど、今となってはみんなやってるから、今、俺が若者だったら、HIP HOPをやってないかもしれない。
Zeebra:
今なら何をしたいと思う?
CHINO:
うーん。HIP HOPは素晴らしいものだから存在してていいと思うけど、俺が今の若者だったら、芸術家や料理人とかIT関係とかクリエイティブな感じかな…。昔、ハービー・ハンコックのライブに世界中の人がぶっ飛んで自分も飛びついたのは、あの時の若いエネルギーに必要な発散方法だったから。HIP HOPにハマらなければ犯罪に走っちゃう奴もいまだにいると思うし、今は、ラップができる人は多いし、3歳から初めてめちゃくちゃ上手な人だって世界にいるしね。
Zeebra:
確かに。もし自分が今中学生でラップを始めようと思ったときに、昔からやっててうまいやつを知ったら、やりたくなくなっちゃうな。負けるの嫌だもん(笑)。
ここ最近、ラップが日本で市民権を得た感じはするし、不良だけのものじゃなくなったし、普通な子でもすごくラップがうまかったりする。その中で、もし、自分が今若かったら、紫とかレインボーのドレッドになって、ド派手な格好をしてると思う(笑)。やるんだったらとことんやって、道を歩いてて「誰やねん!」と思われるくらいじゃないとやらないだろうな(笑)。
当時も、トラックスーツを着たり、ラジカセを持って学校に行くとか街を歩いたりするのも、相当キチガイのように見られてたし、当時、大きなヘッドホンをして道を歩いたのは、俺が初めてなんじゃないかなと思うくらい、そういうことをやっている人がいなかった。
TDM:
若いときはそれくらい自分の個性のエネルギーを発散しないと、バランスが取れなかったのかもしれませんね。今もそういう若者はいると思いますが・・・
Zeebra:
いるだろうね。当時は、「右向け右」と言えばみんな右を向くような、みんなが同じに見えた時代だったから、俺は「そこと違う」ってすごく見せたかった。当時から、人と違うことをすることにステータスを感じてた。
CHINO:
うん、俺も今でも、その考えは変わってないから、料理もやるし何でもありのエンタメ界など、とにかく人と違うことをやっていきたいと思ってる。ただ、結局HIP HOPが軸にあるから、そこにいろんな要素を粘土みたいにくっつけていってる作業をずっとやってるんだよね。
Zeebra:
そう考えると、俺がまじめなことをやるのも、最近のHIP HOPのやつらがまじめなことをやらないからやってるし、社会的責任を持ってるラッパーというポジションがいないから、俺がやってるのかもしれないな。
■日本のHIP HOP史35年の時代が一つになれるSUMMER BOMB
TDM:
今回のSUMMER BOMBのラインナップを見ると、30年以上のHIP HOP歴の持つお2人と、今の若者たちとが共存できそうですね。
Zeebra:
そうそう、今回のライブのラインナップは20代中心で、みんな若いやつらばっかり。そういう連中と、打ち合わせやラジオ番組で話す機会が多くなっているんだけど、最近思うのは、上の世代が下の世代をもっと素直にほめてあげた方がいいと思う。もちろん、こっちに対していい意味で越える山と思ってもらいたいけれど、変な上下関係だけじゃなくて、「お前、かっこいいじゃん!」って伝えてあげると、自信にもつながるはず。英語って敬語がないでしょ?年齢関係なく同じ言葉で話し合えるのは、上下関係の壁をそこまで作らないから、ちょっと羨ましい。だからと言って、日本語の敬語をなくしてタメ口で話そうというわけじゃなくて、気持ちの上での壁を取っ払うこと。上も下を敬うことで、下も素直になって、一緒に何かを作っていけたらいいと思う。
上の世代はレジェンドとして見せるときはしっかり見せなきゃいけないし、下から「やっぱりすごい」と思われるようにやるけど、上でどんと構えて「若いやつらなんて知らない」って言ってるのはすごくつまらない。
何よりHIP HOPは基本10~20代の子たちが一番輝けるものだと思うから、彼らが中心にあるべきだなと思う。若い子たちからしか出てこないものはこちらの刺激として受け取って、こちらが培ってきたまじめに取り組む大切さ、人と違うことの重要性を伝えていきたい。
だから、今年のSUMMER BOMBは若手のラップがありつつ、ダンスバトルではHIP HOPとBREAKIN CREW BATTLEの両方があるのは、とても健全だと思う。ここ30~35年の時代が一つになれる気がするね。
CHINO:
SUMMER BOMBでその一体感を生むために、各個人が発見してもらいたいね。それが俺の中でのHIP HOP。うちらが日本の中で広めたかもしれないけど、結局はアメリカからのコピー。今となっては、その取っ掛かりを作るのがうちらなのかもしれないけど、その手段としてHIP HOPがあって、そこから見繕ってその人がいろんな表現をしていく、HIP HOPじゃないところに行ってもいいと思う。ただ、そういう人たちが集まったSUMMER BOMBなんだから、ピースでいい表現の見られるイベントになってほしい。
■アンテナを張って、DIGって自分のものにできるかどうかはその人次第
CHINO:
ま、俺の言いたいことはざっくりなんだけど、こういうものだと決めちゃうとHIP HOPじゃないから(笑)。
Zeebra:
そう、提示しすぎると面白くないもんね。知りたいことにヒントを与えてあげるのはいいと思うんだけど、全部は教えられない。
去年、慶応義塾大学でHIP HOPの講義をやった時に、現代芸術の授業の一環で、学問として、ラップ、BBOY、グラフィティ、DJの各カテゴリのスピーカーを招いて、残りはHIP HOPの歴史を話したんだけど、学生には、「この講義を全部聞いたからと言ってHIP HOPの全部はわからないと思う。」という前提も伝えた。
ただ、伝えないと廃れるものはたくさんあるはずだから、意味のある講義だったと思う。俺の話した内容から、学生がとあるアーティスト名を調べることで、HIP HOPの面白さに気づけることもあるだろうし、そういう入り口になるようなヒントを与えることは続けていきたいね。
「ジブラの日本語ラップメソッド」っていうラップのハウツー本も出したけど、あれを読めばラップができるようにはなると思うけど、HIP HOPになるかどうかはその人次第。「HIP HOPとは・・・」というヒントは散りばめてあるから、そこにアンテナを張って、ディグ(DIG=掘る。情報を探すこと。)って自分のものにできるかどうかは人それぞれだと思う。
ディグるのは、HIP HOPにおいてすごく大事な行為。我々の時は、ディグるしかなかった。ネットもない時代だから、ビデオテープをダビングして借りたり、「スニーカーのあの太いひものはファットレースって言うらしいよ」「へ~!そうなんだ!」と誰かが掴んできた情報がシェアされてきて、知ったり。自分の目と耳と足で見つけることの連続だったね。
CHINO:
うん、それがすべての始まりだもんね。
■日本人としての良さ・誇りを大切に、オリジネーターたちへの恩返し
CHINO:
これは、俺が25年前くらいから思ってることなんだけど、HIP HOPをアメリカのコピーから初めて、今や日本人のスキルがすごくなっていて、それをアメリカが見たときに、アメリカのオリジネーターたちにとっては嬉しいと思うけど、それって彼らを越えられてないでしょ。だから、本当の意味での恩返しになっていないし、どうにかしたいなと思ってるんだけど、まだまだたどり着けてないんだよね。
オリジネーターたちが考えたもので僕らがいろんな知識をもらった。それらを使ってまた新しい面白いものを作ることが、彼らへの一番の恩返しじゃないかと思ってる。HIP HOPが知れ渡ったのは、今までバレエとか民族舞踊とか立って踊っていたものから、床にはいつくばって踊るものが生まれたり、音楽の途中を使ったり、メロディラインやコード進行がラップになったり、落書きだったものが芸術になっている。それくらい正反対のものになるくらいのことをしないといけないと、20年以上考えてるんだけどなかなか見つからないんだよね。自分が死ぬまでには実現したいと思ってる。だから、SUMMER BOMBが、そのきっかけになったら嬉しいな。
Zeebra:
今、ナイトメイヤー※を日本にも作ろうとしていて、今度ヨーロッパでのサミットに日本代表で行くことになってる。欧米はクラブカルチャーが大きいから、大体ナイトメイヤーのほとんどがクラバーなんだけど、ヒップホッパーが一人もいないんだよね。なぜかというと、現地のヒップホッパーはマナーが悪くて、ナイトメイヤーのルールに適応できる人がほとんどいない状態。俺が初めて行ったときに「え?ラッパー?」って驚かれたよ。日本はラッパーが代表をやっていることが、あちらではショッキングだったらしい。
日本にHIP HOPが入ってきて、時間を経た結果、ここまでの社会性を持ったということは、俺なりのオリジネーターたちへの恩返しになってるのかなと思う。
※ナイトメイヤー:クラブやバー、レストランなど、夜の文化・経済の増進を図る象徴的な人物・組織のこと。ヨーロッパ各国の都市に存在し、最近ではニューヨークでも設立の動きがある。
CHINO:
うん、そうだね。日本は日本でいいと思うんだよね。日本の歴史や文化を培った状態でHIP HOPを定義した方が、海外の人は喜ぶんじゃないかなと思う。
Zeebra:
俺がKGDR(キングギドラ)を始めたときは、まさにそういう意識だった。当時、アメリカは「Back to Africa」と言ってた時期で、俺らはルーツがアフリカではないから、そこには戻れない。俺らが戻るのは侍か!って気づいた。それから、日本人として誇りに持てること、日本人としての良さは何だろうかって考えた。
CHINO:
かといって、侍、相撲、芸者とかをそのまんまやっちゃうとそれはセンスがないんだよね。その辺のわびさびをどう出すか。
Zeebra:
日本人としてのメンタリティとしてだけ持って、それをもう一つひねった違う形にするのがいいんだろうな。日本の文化は本当に素晴らしいからね。
CHINO:
自分が生きてる間に、俺たちがHIP HOPを得たときの感動を誰かに与えたいね。
Zeebra:
俺が最近嬉しいなと思ったのは、日本がアメリカのHIP HOPに少し影響を与えられるようになってきたこと。これは日本のファッション界のおかげなんだけど、今原宿に自分のブランドの店が出せるとなると、ラッパーたちはライブ会場が小規模でも、必ず来日するんだよね。
あとは、最近、アメリカのラップの中に日本語の歌詞が良く出てくる。Famous Dexの「Japan」って曲とか、KYLE『Ikuyo feat. 2 Chainz & Sophia Black』とか、日本をイケてる国だとポジティブに取り上げてて、すごく嬉しい。
俺らは彼らから影響を受けたけど、俺らも彼らに影響を与えたい。そのためには、各々が一歩外れたことをやっていって、何かを変えていかなきゃいけない。
CHINO:
そういうこと。若い世代はまず、何かに没頭できるものを見つけて思い切りやってほしい。うちらみたいな世代は、明日、1年後とか、近い未来のことだけを考えるんじゃなくて、自分が生きている間には、やりたいことができないかもしれないけれど、やらないよりはやった方がいい。自分が死んだ後に「なんかあの人やばいことやってたね」って言われるくらいのことをイメージしながら動いていけばいいと思う。
Zeebra:
人は死んだときにその評価が決まると思う。人生の折り返しを過ぎた我々は、もうそういうことを考えてしまうんですけどね(笑)。
CHINO:
けど、そういうことを考えていかないと、恩返しはそこしかないと思うから。
TDM :
その考えていく背中は、日本ではまだお2人の世代しかいないという事実があると思います。そして、今回のインタビューから何か気が付く人もいると信じています。今年のSUMMER BOMBを、楽しみにしています!本日はありがとうございました。
interview by AKIKO
edit&photo by imu
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