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ミュージカル「1789」特集 sho-ta.

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ミュージカルの世界でもストリートダンサーが輝き始めている。sho-ta.はBUZZER BEATERとしてストリートダンスシーンで活躍し、その柔軟なダンススタイルと感覚が活かされ、7月末まで福岡にて上演中の「1789 -バスティーユの恋人たち-」など、ロングラン公演のミュージカルに出演。素敵な舞台人としても活動の場を広げながら、新たなストリートダンサーの居場所を築いている彼に語ってもらった。

 

■関連リンク:ミュージカル「1789」特集 篠﨑勇己


 

  • sho-ta.
    sho-ta.
    チームBUZZER BEATERでZERO CONTEST GLAND FINALにて優勝し、クラブシーンで活躍しながら、数多くのアーティストのダンサー、振付の経験を持つ。ミュージカルでは『ロミオ&ジュリエット』『オーシャンズ11』『1789』などに参加。

     


 

ダンス、そして、BUZZAR BEATERのはじまり

 

TDM:

ダンスを始めたきっかけは?

 

 

sho-ta. :

テレビ番組「RAVE2001」を中学3年生の時に見て「わ!面白そう!」と思ったのが最初です。当時、同じサッカー部の友達を誘って始めました。高校に上がり、1年くらいはダンスをやらず、バスケ部に入っていたんですが、中学のサッカー部の友達に「また一緒にやろう」と誘われて、再開しました。その高校にダンスをやっている先輩がたまたまいて、ちゃんと習うというよりも、スケボーを習うみたいに、遊びの延長で習っていました。ジャンルはブレイクとロックでした。

 

ダンススタジオに通うという習慣はなかったので、たくさんダンスを練習したいやつらとは、午後は部活があるので朝練をしていましたね(笑)。ダンス部のブームは、2~3年後の代からはやってきたので、僕の年にはまだなかったんです。

 

その後、大学進学してからダンスサークルに入りました。大学3年生までは、個人で活動してたんですが、周りが就活を始める大学4年生になったときに、「あー、まだ踊っていたいな」と思って、それから初めてダンススタジオに通うようになり、ずっとMITTANさんに習ってました。

 

 

TDM:

MITTANさんはジャズもヒップホップも踊れる実力派のダンサーですよね。バレエも習ってたんですか?

 

 

sho-ta. :

いや、習ってないです。ただ、サークルが元々ジャズのサークルで、そこにストリートダンスが入ってきたところだったので、ジャズの基礎を厳しく学びました。

 

結局、就職活動は一切しませんでした。両親にはメールで「もっとダンスがしたいから就活はしない。」と伝えまして、「大学卒業までは面倒見るけど、そのあとは好きにしなさい。」と言ってくれました。

 

 

TDM:

寛大なご両親ですね!BUZZER BEATER(以下、ブザビ)結成のいきさつは?

 

 

sho-ta. :

sho-ta.大学4年生になって、ダンススタジオに通い始めてから、知り合いに「HIGEさんという人が10人くらいのユニットを組むからsho-ta.も一緒に入らない?」と言われて、川崎クラブチッタのダンスイベントに出ました。それが、HIGEさんとの出会いです。ぺら君との出会いは、そのユニットをやった後、HIGEさんが男4人のチームをやりたいってことで集められたのに自分とぺら君がいました。それがブザビの始まりであり、ぺら君との出会いでした。

チーム名はみんなで話し合って、「ブラッドピッドをブラピ、みたいに省略できるのがいい」ということで、意味というよりも響きでブザビを採用しました。

 

2007年くらいから活動を始めて、2009年にZERO CONTEST GLAND FINALで優勝することができ、そこから、それぞれダンスの仕事が急に入るようになりました。僕はアーティストのバックダンスや舞台のお仕事を頂くようになりました。

 

TDM :

ミュージカルとバックダンスのお仕事は両立できているんですか?

 

sho-ta. :

ミュージカルは一定期間をガボッと取られてしまうので、両立はなかなか難しいですね。でも、ミュージカルをやっていると「sho-ta.はミュージカルのダンサーになったんだ」という印象を持たれるようで、他の仕事の連絡が来なくなるんです。僕の中ではどちらも続けている感覚なので、是非連絡待ってます(笑)。

 

■そして、ミュージカルの世界へ。楽しさを覚え、抵抗がなくなっていく。

TDM :

ミュージカルに出るようになったきっかけは?

 

sho-ta. :

TETSUHARUさんが、2013年上演のミュージカル「ロミオ&ジュリエット」の振付をするときに、声をかけてもらったのがきっかけです。それまでに、1週間ほどの本番のミュージカルには出たことがあったんですが、60回以上のロングラン公演に出始めたのはそれからですね。

 

TDM :

それまでストリートダンサーとして活動を続けていて、ミュージカル出演には抵抗はなかったですか?

 

sho-ta. :

sho-ta.抵抗はありました(笑)。歌や演技をやったことがないし、むしろ苦手意識が強かったので、未知でした。でも、そこに挑もうと思えたのは、ご自身もダンサーとしてミュージカルで活躍されていたTETSUHARUさんに誘ってもらったからでした。

 

その時期に、細々と続けていたコールセンターのバイトを辞めることができました (笑)。ただ、自分のやりたいダンスとは違うスタイルを長期間やることになるので、ミュージカルの世界一色になってしまうのが怖いと感じて、公演時期に、ユニットを組んで、深夜に練習したり、クラブのショーに出たりしました。昼間の稽古と両立できたのは、若かったからですね(笑)。あの時期は無理しても、体が痛くても動けてました。今なら体が痛いと思ったらなるべく控えますからね(笑)。

 

TDM:

2016年初演、今年4月から東京で始まり、7月の福岡公演まで行われているミュージカル「1789 -バスティーユの恋人たち-」(以下、「1789」) にも出演されていますが、出演することになったきっかけは?

 

sho-ta. :

2013年の「ロミオ&ジュリエット」の翌年、演出家の小池修一郎さんのつながりで、「オーシャンズ11」というミュージカルに呼んで頂き、ロミオ&ジュリエットの演出助手で1789のプロデューサーの篠崎さんから「こういうミュージカルがあるんだけど出てみない?」と連絡を頂いて出させてもらえることになりました。

 

TDM :

これまで大規模なミュージカル4作品に出演されてきて、抵抗を感じていた初期と比べて、心境の変化はありますか?

 

sho-ta. :

まず、ミュージカルに出ることが単純に楽しくなりました。歌いながら踊ることなど技術的に大変なことはありますが、ダンスをやるにしても、演技をやるにしても、互いにそんなに違いはなくて、それに気づいてからは、結構気が楽になりました。その世界に入ってしまえば、どちらも表現なんです。

演技がわからなかったときに、「こういう気持ちで立ってても、傍から見たらそれはこう見えるよ」とか先輩方にいろいろ教わりました。立ち姿ひとつでも、全然表現が違うんです。猫背になってたり、偉そうに見えたり、無意識にやってしまっていることを、舞台上では気を付けるようになりました。踊っているときは気持ちが出しやすいんですけど、止まったときに気持ちを出すのが難しいですね。

 

TDM :

本番に向き合う姿勢として、ブザビの活動との違いはありますか?

 

sho-ta. :

ブザビはとりあえず振りが難しくて、毎回本番の前に振りを確認しないと出られない感じでした。また、見せる対象がダンサーや目の肥えた人たちなので、ダンサー目線で楽しませるためのプレッシャーや緊張感はいつもありました。

 

ミュージカルに出るときは、対象がミュージカルの好きな方なので、その皆さんに楽しんでもらえるような表現を意識しますね。ただ、技術の高いダンスをやっても喜んでもらえるわけではなくて、ちゃんと作品のシーンに合った表現をしなくてはいけないので、また違った追及があります。

 

TDM :

「1789」ではKAORIaliveさんや、Twiggzさんなど、ストリートダンスシーンで活躍している方が振付されていますね。正直、初演でクランプのシーンを見たときは、「ミュージカルだとこうなるよな〜」と思っていました。でも今回は全体が一致団結した絵になっていて、その変化に感動しました。クランプのカッコよさも出ていたし、ミュージカルでストリートダンスのカッコよさが打ち出せていけるのは、ストリートダンサーの新しい生き方として、素敵なことですね。

 

sho-ta. :

ダンサーの中にはバレエダンサーもいるので、KAORIaliveさんやTwiggzさんの振付を覚えるのは、教える側も教わる側も大変だったと思います。振付師の皆さんも各ダンサーの素質を引き出すように配列を考えていてすごいなと思いました。

 

 

■足りないことをみんなで補い合いながら作ってくのが楽しい

 

TDM :

アーティストの現場と、ミュージカルの現場の違いはありますか?

 

sho-ta. :

sho-ta.
ミュージカルの方が、先輩・後輩がきちんとある感じがします。

以前、リハーサルの時に飲みかけの缶を床に置いておいたら、先輩がそれを蹴っちゃったんです。僕はてっきり先輩が謝るかなと思ったら「誰だよ!ここに蓋のない飲み物置いておいた奴は!」と怒られてしまいました。アーティストの現場では缶の飲み物も普通に持ち込んでいたので、それから、稽古場には蓋つきの飲み物しか持ち込まないようになりましたね(笑)。ミュージカルの方が、独自のルールが多いかなと感じますね。たくさん勉強させてもらっています。

 

 

あとは、歌は歌が得意な人、演技は演技が得意な人、ダンスはダンスが得意な人がアドバイスしてくれるのでアーティストの現場に比べて、みんなで作っている感じがします。みんなで補い合って作る感覚がミュージカルに出ていて、すごく好きだなと思うところですね。

 

演技、歌、ダンスが全部できるアンサンブルの方もいれば、何かに特化している方もいて、自分も全部ができるわけではないので、それをみんなで補い合いながら作っている感じがして、とっても楽しいです。

 

 

 

TDM :

「1789」での役どころは?

 

 

sho-ta. :

僕は5役ほどあります。衣裳も5パターンあって、メイクも自分で変えなきゃいけないので、結構常にバタバタしています。間違えたことはないですが、少し別の役の口紅が残っちゃってしまったことはあります(笑)。初演と同じとはいえ、前回よりもより良くしようという気持ちでやっています。

 

 

特におすすめは、乞食のシーンで、顔も手も足も乞食になりきって踊っている僕を見てほしいです。振り入れの時は淡々と踊ってたんですが、徐々に乞食の要素をいれていって、最終的に舞台上で役に入り込んで踊っていると、超楽しいんです!(笑)。

 

 

あとは、三部会という、貴族と聖職者と平民との会議のシーンは面白いですね。がっつりダンスシーンではないんですが、桜木涼介さんの振付で、役者が人形になったり人間になったりしながら展開される演出が面白いですね。

 

 

TDM :

演出家の小池修一郎さんの魅力は何だと思いますか?

 

 

sho-ta. :

経験を重ねても凝り固まることなく、ストリートダンスを起用するなど、新しい視点で物事を見られている方なんだなと思いました。

 

 

TDM :

「1789」はダンスやアクロバットシーンが特徴と言われていますが、どのくらいの割合ですか?

 

sho-ta. :

全部で40曲くらいあるんですが、そのうち踊ってるのは…3分の1くらいですかね。ミュージカルの中でも多い方だと思います。

 

■ひとつの理想を多い求めすぎず、柔軟に。

TDM :

今後の展望はありますか?

 

sho-ta. :

sho-ta.もっと僕みたいにストリートダンス寄りの人がミュージカル界にも、もっといてほしいなと感じます。僕以外に「1789」で共演している松永一哉もストリートで活躍しながらミュージカルに出演しています。一般的にはオーディションですが、事務所に所属しているダンサーも多いですね。

最近のミュージカルは、ストリートダンサーの人たちも活躍できる場所だと思います。ただ、それをまだ認知していないダンサーも多いと思います。声をかけられたときにびっくりしたので。ストリートダンサーも演技して舞台を作っている人も増えてきているので、きっと興味のある人はいると思うんですが、その糸口がないのかもしれませんね。

 

TDM :

憧れている人や、手本にしている生き方はありますか?

 

 

sho-ta. :

良くないことなのかもしれないんですが、あまり理想がないんです。自分が変われば周りの環境が変わっていく。例えば、自分のダンスがうまくなれば、周りにダンスのうまい人が増えて、もっとうまくなれば、仕事をしているダンサーが増えて、仕事を頂く機会も増えていく。だから、あまり「仕事ほしい!」と思って活動をしたことがなくて、ダンスがうまくなることで自然に環境が変わってきた感じです。

昔は自分がミュージカルに出るなんて、全然思ってませんでしたが、実際は、自分が評価をしてもらって、次のミュージカルに呼んでもらっていることはすごく嬉しい。でも、ミュージカルをやりたくて生きてきたわけではないので、「絶対こうなってやる!」と思って頑張るより、柔軟でいたいと思っています。理想を一個持つと、そこにだけ向かっていくことになるのですが、上にいけば、もっと広くいろいろ見えてくるから。何かと向き合っているというよりも、自分と向き合っているという感覚ですね。

 

 

TDM:

どんなダンスライフにしていきたいですか?

 

 

sho-ta. :

できるだけ長く人前に立っていたいです。振付もレッスンも好きで、やっていきたいですけど、一番好きなのはステージに立っていることなので。

 

 

TDM:

ミュージカルのステージに興味を持っているダンサーにメッセージをお願いします!

 

 

sho-ta. :

sho-ta.僕は今まで、ひとつのジャンルに偏ることなく、一通り幅広くダンスをやってきました。そういう自分の能力が活きて、ミュージカルに出させてもらえていると思っています。

 

どこで何が役に立つかわからないから、考えを狭めずに、広く浅くやってみてもいいんじゃないかなと思います。そうすると、仕事の幅も広がるし、生徒にも「いろいろやったほうがいいよ」と伝えています。

 

 

水泳のバタフライの選手がバタフライのタイムが伸びなくても、平泳ぎのタイムが伸びていれば精神的に楽になれるという話を聞いたことがあります。ヒップホップだけの練習をやって行き詰まったときに、「うまくならないから辞める」ではなくて、他ジャンルのダンスをやってみて、少しでも上達すると嬉しくなります。そういう気持ちになるだけでも、ダンスを楽しく続けられる。自分でモチベーションを上げながら、楽しむことを忘れないでほしいです。

 

 

TDM:

今日はありがとうございました!

interview by AKIKO
photo by 大場陽介
edit by imu
’18/07/12 UPDATE

 

■関連リンク:「1789 -バスティーユの恋人たち-」公式サイト
■関連リンク:ミュージカル「1789」特集 篠﨑勇己

 


☆sho-ta. ワークショップ in 福岡 開催!!

日程:2018年7月22日(日)

内容:
初級 HIPHOP 19:00~20:15
中級 R&B       20:30~21:45

場所:CREA〔クレア〕福岡県福岡市中央区大名1丁目5-4

料金 :1lesson 3000円 2lesson 5500円

〈問い合わせ・申込〉akiratakeishi1989@gmail.com

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