

Editor: CHITO Update:2016/06/08
「MAIN TENT」の店主が、舞台作品を創作する上で核となる「演出」のヒントを、蔵書5,000冊の絵本や児童書からご紹介。絵描きでもある店主直筆のラフスケッチによって、ステージのイメージや、シーンのイメージなど、インスピレーションのきっかけを提供。アイデアの源、わかりやすい起承転結から、予想外のひねりの効いた作品まで、創作に興味のあるダンサーの心をくすぐるコーナー☆
***
「LITTLE NEMO」
WINSOR MCCAY
hip-hopやhouseであればALIVE TVか
jazzであればBOB FOSSEなのか
とにかく
これだけは知っておかないと
というものが
どの世界にもきっとある
演出
特に非現実の世界を表現する方には
このウィンザーマッケイの「リトルニモ」は
是非とも抑えておいて頂きたい
というより
見たら圧倒され
虜になること間違いなしの作品
「誰でもないもの」という意味の
名前をもつ
少年ニモは
毎晩眠りにつく度に
スランバーランド
という夢の国へ行く
そこはまさに夢の国で
時間が伸び縮みし
空間が伸び縮みし
ベッドの足もラクダのように伸び
美しい色彩に溢れ
巨大なキノコの森や象の群れ
山が生えてきたり
サーカスのピエロに
飛び交う花火
そして
月面に浮かぶ顔
およそ思いつくことの全てを
先にやられてしまっている
自由自在
奇想天外
奇天烈怪奇でユーモアに溢れた世界
毎晩毎晩
目覚めるまでの束の間の旅
例えば
昨日の夢の続きをみたいな
と思ったことはありませんか?
安心して下さい
ちゃんと続きますよ
あくる日の夢はまた
昨日の夢の世界の続きから
このたった1ページで完結する一晩の物語が
無数のアイデアで何百話と繰り広げられる
まるで「ダンボ」のピンクの象の行進
まるでティムウォーカーの写真
(VOGUEの表紙など、
まるでティムバートンや
テリーギリアムの映画
(あのモンティーパイソンの1人。映画監督。「バロン」「Dr.
そう
きっとそれらみんなの永遠のバイブル
19世紀の始めに
ニューヨークヘラルド紙の日曜版に毎週掲載されたこのコミック
絵本の世界では
モーリスセンダックはオマージュとして
「まよなかのだいどころ」を生み
(「かいじゅうたちのいるところ」の作者)
佐々木マキは「やっぱりおおかみ」を
生み出し
(雑誌「ガロ」などに連載していた漫画家。
僕の絵本屋MAIN TENTも
構想段階で幾度となく読み返し
現実の店舗に再現しようと試みた
アイデアの宝庫
インスピレーションの源
衣装を考えているとき
セットを考えているとき
ストーリーを考えているとき
煮詰まったとき
ふと開けば
必ず脳みそをくすぐってくれる
読むたびに新たな発見と出会う
リアル脳内パラダイス
2016年の今でも尚色褪せない傑作
ウィンザーマッケイ
リトルニモ
名指しするなら
垣根のないダンサー
CRAZY SHIZUKAに
是非注入してみたいエキスです
写真はドイツ版です
【CHITO】
冨樫チト。本名である。フランス童話「みどりのゆび」のチト少年にちなんで両親から命名される。富士の裾野の大自然の中、植物画と読書と空想の幼少期を過ごす。
早稲田大学在学時よりプロダンサーとしての活動を開始。
舞台演出、振付け、インストラクター、バックダンサーなど、踊りに関わる全てに携わる傍ら、持ち前の遊び心で、空間演出、デザイナー、リゾートホテルのライブラリーの選書、壁画の製作、ライブペイントによる3Dトリックアートの製作など、無数のわらじを履く。
2015年2月、フランソワ・バチスト氏として、住まいのある吉祥寺に絵本児童書専門古書店、「MAIN TENT」をオープン。
氏の部屋をそのまま移動させた小さな絵本屋から、エンターテインメントを発信している。
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