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TSUN

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ストリートダンサーとして90年代からアンダーグラウンドシーンで活躍する傍ら、遊助ツアーダンサーなど幅広く第一線で活躍してきたTSUN。現在は、一般社団法人スポーツリズムトレーニング協会の理事を務め、教育やスポーツといった広い視点からダンスの普及を目指している。人との出会いがターニングポイントとなり、運命に導かれるように現在の地位まで歩んできた彼の足跡を辿りながら、協会の事や今後の目標などを聞いた。


 

 

  • TSUN(角田義昭)

高校生よりダンスを始め、ダンスチーム「POLY-3」「FULCRUM」を結成し都内を中心に活動する傍ら、ダンスインストラクターとしても活躍。2003年より地元である横須賀にてDANCEイベント「FULCRUM SQUAD」、「SPREAD GATE」を主催。2010年よりEXILE PROFESSIONAL GYMの特別カリキュラム講師として全国のEXPGでレッスンを行い、2011年から遊助ツアーダンサーとしても活動。「韓国麗水国際博覧会ジャパンデー文化公演」のダンス総合振付等のプロデュース業も行い、2014年に横須賀市内で「UP GROUND DANCE STUDIO」を立ち上げる。2015年、一般社団法人リズムトレーニング協会を立ち上げ副代表に就任。また、adidasらとスポーツにおけるリズム感と敏捷性をダンスを通して研究をし、adidas専属契約トレーナーとして将来のアスリートに向けてスポーツをする上で必要なリズム感を養うトレーニングの開発、普及を行っている。
現在は、遊助ツアーの他、木梨憲武のライブ出演、振付、構成も手掛けている。

instagram:@tsunfulcrum


■クラブで好き放題やっていた20代

 

TDM:ダンスを始めたきっかけを教えてください。

TSUN高校3年頃に、友達が「モテる事を見つけた」といってダンススタジオに行き始めたんです。最初は「バカな事言ってんな~」と思ってたのに、そいつが休み時間に教室の後ろで練習してるとクラスの女の子の食いつきが良くて…それで俺も始めました(笑)。その時にMO’PARADISE(以下MO’PARA)のビデオを見せてもらって「凄い人達がいるな」と思っていたんです。それから、当時雑誌にMO’PARAのHI-GUCCIさんのレッスン情報が載っていたので友達と行ってみたのが本気で踊り始めたきっかけですね。

 

TDM:そこからはずっと踊り続けてるんですか?

TSUN一度、22歳のときに1年間くらい踊りを辞めた時期がありました。バイトしてパチンコ行って女の子と飲み行く日々を送っていた時に、ポッパーのたっちゃん(TATSU)が外でレッスンしてる所にたまたま通りかかったんです。

実はたっちゃんとは地元が一緒で、たっちゃんはあのおっかない顔で地元・横須賀を牛耳ってたギャングのような存在だったのに(笑)、しゃべると優しくて、仲良くしてもらってたんです。そこで「お前今何やってんの?」と聞かれ「バイトしながら遊んでまーす」と言ったら「え?じゃあ暇なの?それならコイツと一緒に横須賀のイベント出てくれない?」と、たっちゃんの生徒を紹介されて、一緒にイベントに出たら凄く楽しくて、それ以来そのメンバーで一緒に活動するようになりました。

その後、高校時代から友達の上地雄輔の紹介で仲良くなった地元のダンサーたちとPOLY-3というチームを組んで、都内のクラブのショーに出るようになりました。その当時から35歳くらいまでU-GEさんに思いっきりシゴいてもらいました(笑)

その頃は、クラブで好き放題やって「東京で一発当てるんだ!モテダンサーになってやる!」くらいの勢いで踊ってましたね。

そしてある日、ショーを見た先輩たちが僕らの事を褒めてくれて「一緒にやろうぜ」って言ってくれました。それからFULCRUMというチームを組み、ミュージカルの仕事などいろいろ声かけてもらって活動してましたね。

2004年 チームメイトと(上・下共に)

 

■米軍基地の潜水士から上地雄輔のツアーダンサーへ

 

TDM:いつまでFULCRUMの活動を続けていたんですか?

TSUN25歳くらいまでです。その頃に子供が出来て地元に帰り、地元でレッスンとアルバイトをしながら就職先を探す生活になりました。横須賀の米軍基地で働けば将来安泰だと思って、時給800円くらいの便所掃除のバイトから潜り込んで、そこから米軍基地内で時給が高い仕事にどんどん転職していきました。3年後くらいに、無資格でも訓練生として社員になれるという潜水士の仕事を見つけて、体力試験と学力テストを受ける為に必死で勉強しました。

受ける段階では資格はなくても良かったんですが、テストの前に強引に潜水士の資格取ってから受けて社員になれました。

でも、「これで好きなダンスも夕方から出来るし最高だ!」と思っていたら、潜水士ってめっちゃ身体鍛えるので、俺は小さいからサイコロステーキみたいな身体になって(笑)、腕が後ろに回らなくなっちゃったんですよ。これじゃ踊れないと思って転職してダンスを緩く続けていました。

TDM:緩く続けてたダンスがお仕事になったきっかけは?

TSUNその頃、すでに売れっ子になっていた上地雄輔から電話が来たんです。昔の彼はオリンピックの周期くらいでダンスをやりたくなる時期が来てたんですよ(笑)。その度に教えたり、MO’ PARAのビデオを見せたりしてたので、「俺歌を歌う事になりそうだからダンスのレッスン受けたいんだけど、あのビデオのダンサー達はレッスンやってる?」と。それがきっかけでTAKUYAさんを紹介したんです。

そして、その1~2年後、雄輔から「ツアーダンサーを集めてるんだけどやらない?」と電話が来たんですけど、リハが1~2カ月間、週5で昼間毎日あると言われて「それ仕事やれないじゃん」と難色を示したら、「お前ちょっと来い!」と彼の家に呼ばれました。

そこで、「俺やっと就職決まったのに、ツアー回ったらその後の仕事って何か貰えるの?」と聞いたら「こんな話は滅多にないんだぞ!ダンサーとして生きていきたいなら仕事は自分で探すしかないだろ!」と強い口調で、でも情熱的に説得してくれて、1時間くらい悩んで、最終的には「いいよ、やるよ」と言って、仕事を辞めました。

今から考えると、その時ツアーを回りながら〝どうやって食っていくか〟をいろいろ考えていたのが今の形になるきっかけですね。

 

■スポーツリズムトレーニング協会について

 

TDM:一般社団法人スポーツリズムトレーニング協会を始めたきっかけを教えてください。

TSUN協会を始めてからは5、6年ですが、トレーニングを作り始めたのは8年前です。きっかけは、岡山県のダンススタジオでワークショップを行った時に、岡山の美作大学のバイオメカニクスの先生が見学に来ていて、ワークショップ後に「明日うちの大学に来てくれないか?」と言われたんです。その先生は、スポーツにおけるリズム感というのを研究していて、ダンサーからリズムを吸収したかったらしく、僕がやってたステップがかなり有効なんじゃないかと思ったらしいんです。

そして、次の日大学に行ったら、白い線が引いてあって「この線を自由にダンスのステップで飛び越えてくれ」と言われて、いろんなステップで飛び越えてたら、先生の弟子のような何人かが横で何かをメモしていて、「これはいいぞ!」みたいな反応でした。

そして「実は、スポーツにはリズム感が大事だと言われていて、コーチや監督がリズムよくやれ、とか、テンポよくいけ、とかいうけど〝じゃあそのテンポって何?〟と言われるとスポーツ界の人達は誰も説明出来ない。だから、それを分かりやすい形で表したいから協力して欲しい」と言われました。「面白そうだな」と思ったし役に立てるならと一緒に作ってみる事にしたんです。

TDM:リズムトレーニングを作るにあたって大変だった事は何ですか?

TSUNダンスの振りを一般の人達が受け入れられるような状態にするのに苦労しました。ダンサー的な感覚にこだわると一般の人が受け入れる形にはならない。最初は「これで本当にいいのかな…」と葛藤してたんですけど、そんな時、中学校時代の先生から声をかけてもらったのがきっかけで中学校にダンスを教えに行ったんです。

そしたら、いろんなタイプの子がいて全員があまり踊ってくれなかったんですよ。そこでめっちゃ悩んで、今まではダンスをしたい子に教えてたから簡単だったんだって事に気付いたんです。

では、ダンスをしたくない子をその気にさせるにはどうしたらいいんだろうと考えて、試しにリズムトレーニングのメソッドをやってみようと、その先生に「もう一回やらせて欲しい」と頼んでやってみた結果、皆ちゃんと踊ってくれたんです。

TDM:その違いは何だったんでしょうか?

TSUN日本人が大好きな〝トレーニングの要素〟を入れてあげると、ダンスをしたくない人にとっては入りやすいんです。ダンサー的にはあんまり型にはめたくないという思いがあるんですけど、体育の授業などは恥ずかしがる子もいるので、トレーニングの形にした方が取組みやすい。それに、反復練習は覚えやすいし「線の終わりまでいけばOK」と、どこがゴールかが分かる。終わりが見えてる練習は、その場でずっと教えられてるよりやりやすいと感じる子が多いと思います。

リズムトレーニングの風景(上・下共に2019年 adidasのイベントにて)

 

TDM:成果はどうですか?

TSUNその場では出来なくても、トレーニングのベースになっているジャンプ運動はバネを鍛えるので運動能力は上がりますね。事前に反覆横跳び、立ち幅跳び、50m走の記録を録っておいて、リズムトレーニングを一定期間した後、また記録を録ると明らかに数字がよくなる。特に一番差が出るのは幼稚園の年長さんですね。並ぶ、待つ、先生の動きを真似するなどが理解出来るし、面白いとハマってくれるから成果が出やすい。実年齢+2歳くらいの運動能力に引き上げる事が可能です。

TDM:検証から裏付けられたトレーニングという事ですよね。

TSUNはい。例えば、曲を聴きながら3km走るのと、無音で3km走るのとどっちの方が速いかとか、疲れ度がどうかなど、全部データで出しました。秘密は音楽のビートと、床に引いた白いラインの厚みと幅にあって、その動きを最後に振付に落とし込めばダンスになります。出来栄えを気にするならちょっと大変ですが、ダンスにならなくてもやってればトレーニングになります。

体育の授業項目で「体つくり運動」というのがあるんですが、必修の時間がダンスの時間の倍くらいあるんです。そういう意味では、リズムトレーニングは「体つくり運動」のカテゴリーを埋める事も出来るんです。

TDM:EXPG()のプログラムにも取り入れられているんですよね?

TSUNはい。月間EXILEでも特集を組んでくれました。EXPGのインストラクターが資格を取ってくれて、E.P.IというEXPGのレッスンプログラムに取り入れてくれています。

()EXPG…EXILEの事務所LDHのグループ会社が運営するダンススクール。

 

■踊っていてもちゃんと社会人としていられる姿を見せてあげたい

 

TDM:ご自身のダンサーライフを振り返っていかがですか?

TSUN第一のダンサーライフはチームで踊っていた20代前半、そして地元に帰ってからのセカンドチャンスは雄輔がくれた感じですね。彼が強引に吹っ掛けてくれなかったら俺はずっと地元で適当にダンスやって公務員になってたんだろうなと思います。

会社などいろいろやったりしていますが、社長願望なども一切なくて、イベントを続けていたら、会社にしないと上手く回っていかなくなったので会社を作りました。協会も、このトレーニングを普及していくにはどうしたらいいだろうと思ってた時に、お世話になってる人に「協会とか公的なものにした方が皆がやりやすいんじゃないか」とアドバイスを貰って作ったんです。

だから、「こうなりたい」と思ってなったというよりは、流れでこうなっていった感が強くて、迷ってる時に誰かがアドバイスしてくれたり、手を差し伸べてくれて形になっていったものが多いです。

TDM:今後の目標などはありますか?

TSUNダンサーがこのリズムトレーニングの資格をいっぱい取ってくれたらいいなと思っています。ダンサーの人達はそれぞれの考え方が個々にあるけど、自分の経験だけで「こうだよ」と言うのと、身体を動かす専門の人達のデータや理論を持って話が出来るのとは幅が違ってくるし、個人の意見じゃなくなるので説得力が違います。

僕みたいに大御所ダンサーじゃなくても、体育の授業や、一般の人向けのレッスンでも「この動きはこういいんです」というのを元に言えるというのは親御さん達にとっても安心感に繋がると思うんです。リズムに合わせて動くスペシャリストがデータと理論を持ったら無敵だと思います!

そして個人的には、好きな事しかハマれない性格なので、これからも何か好きな事が仕事になっていったらいいなと思ってます。

俺はたまたまダンスが好きでこのスタイルになったけど、今一生懸命踊ってる子達に〝思いっきり踊っていても、ちゃんと社会人としていられるんだ〟という姿を見せてあげたいんです。そうしないとこの先ダンサーが増えていかない。今はいろんな出口がちょっとずつ増えているので、俺も何か仕事を作って、若い子達に渡せればいいなと思っています。

TDM:最後に若いダンサーにメッセージをお願いします!

TSUN今の子達は、昔の俺らのスキルに比べたら全然上手い。でも、そのスキルをもっともっと遊んで欲しいなと思います。見ている人を楽しくさせるには、その人自身が楽しんでないと伝わらないので、見てるこっちの心も踊らせてくれるような遊び心があるダンサーになってくれたらいいなと思います。

TDM:これからの活動も楽しみにしています!本日はありがとうございました!

 

interview &edit by Yuri Aoyagi
photo by AKIKO
’20/10/01 UPDATE

 

 

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公式HP:https://srt.or.jp/

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