ママダンサー特集第2回目に登場するのは、90年代からGIRLS HIPHOPの先駆けチームCHOCOBALLで活躍し、現在も一線のステージに立ち続けるダンサーRIKA。2010年、まだ現役の女性ダンサーが子供を産むことが珍しかった時代に、ママになることを選び出産した。現在は8歳になった女の子のママとして、そしてトップダンサーとしても活躍し続けるRIKAに話を聞いた!
- RIKA
90 年代始め ガールズHIP HOPチーム”Choco-Ball” を結成。黒いヴァイヴスと華やかな存在感で、海外アーティストのフロントアクトや、有名ダンスイベントに多数出演するなど、メジャーシーン・アンダーグラウンドシーン問わず活躍。 東方神起、安室奈美恵、EXILE ATSUSHI、平井堅、2PM、Crystal Kay、ZEBRRAなど、数々のアーティストのMV、TV、Live、Tourダンサー・振付けを務めるなど幅広く活躍中。
■子育てに集中していて復帰のタイミングは意識していなかった
TDM:まずご自身がダンスを始めたきっかけを教えてください。
RIKA:もともと母親がダンスをやっていて、子供たちに教えていたので、私も3歳からモダンバレエをやっていたんです。それからMadonnaやJanet・Jacksonなどを聴くようになって、ブラックミュージックやHIPHOPの音楽にハマりだして、中学、高校と6年間同じ学校のダンス部だった3人でCHOCOBALLというチームを組みました。
いっぱいいた部員の中で、自然と3人で組んでて、自然とイベントに出てたという感じで、当時は時代的に未成年でもクラブに入れちゃったから、中学生で既にイベントに出たり、高校生の時は、ダンスイベントに23時から入って終電で帰るとかもしてました。でも、クラブにいても3人とも真面目で(笑)ただ音楽とダンスの空間に居たくて、カルチャーを勉強したい一心でしたね。よくNYにも3人で行っていました。
TDM:出産前はどんなお仕事をされていたんですか?
RIKA:ショーの仕事はしていましたが、実はバックダンサーの仕事は全然興味がなかったんです。でも、安室奈美恵さんとZEEBRAさんたちのプロジェクトSUITE CHICのバックダンサーの話をいただいて、楽曲を聴いたときに「これは踊りたい」と思って受けたのがバックダンサーとしての最初の仕事です。その現場で同じくバックダンサーとして入っていたSHIGEとも知り合って結婚しました。
TDM:もともと早くに子供を産みたいと思ってたんですか?
RIKA:欲しい気持ちはあったけど、私は計画が立てれないタイプだから、出来たときが産む時だと思っていて自然にまかせていましたね。
中学校からHIPHOP漬けで、ダンスでやりたいこともやらせてもらったから、全然悔いもなく、妊娠3か月で全て辞めて、静かに過ごしていました。
出産は丸2日間かかって辛かったんですけど、騒いだって痛みがなくなるわけじゃないと思って、声も出さず、ひたすら腹式呼吸をしてたら、先生が「凄いですね。あなたくらい耐える人あまりいませんよ」って言われました(笑)。
TDM:出産後はどのように復帰したんですか?
RIKA:私が産んだ頃は、周りでは誰も産んでるダンサーがいなかったけど、この子を産んだのは自分だし、この時間は今しかないと思ってたから、全然焦りはなかったですね。復帰のタイミングは特に意識してなかったです。
出産して8カ月くらい経ったときに、たまたまEXILEのATSUSHI君のソロドームツアーの話をいただいて、SHIGEにも双方の親にも相談したら、協力すると言ってくれたので決断し、「私で良かったら」と引き受けました。
その時は母乳も出ていたり、体力も落ちていたりとかなりのプレッシャーもあったけど、決めた瞬間に気持ちを切り替えて、まず体幹から鍛え直しました。引き受けた以上は、周りは私の事情なんて関係ないですからね。
その後すぐ、娘が1歳半くらいの頃、韓国のアーティストのツアーで2週間くらい韓国に行く仕事の話がきたんです。離れるのはすごく寂しかったけど、ちょうどSHIGEとも仕事が重ならず、親たちも「安心していってらっしゃい」と送り出してくれたから行くことができました。
TDM:ご両親やSHIGEさんはとても協力的なんですね!
RIKA:双方の親の協力があるから仕事ができています。SHIGEも、いつも家族のことを一番に考えてサポート体制でいてくれますね。先日終わった東方神起のツアーの仕事で私が不在のときも、娘の髪の毛を結んで、制服を着させて、お弁当持たせて、朝送り出してくれたりとか、たくさんやってくれました。娘ともとても仲良しなんです!
■娘に背中を見てもらえるような母親になりたい
TDM:子育てとお仕事の両立で大変だと思うことはありますか?
RIKA:う~ん…。私、大変だったこととか忘れちゃうんです(笑)。私以上に大変な人なんていっぱいいるじゃん!て思うと、大変と思うのがバカバカしくなってくる。
それに、大変だと言ってサボったら絶対自分に嘘をついちゃう。それが嫌だから、例えば“週3でトレーニングする”と自分で決めたら絶対サボらない!と決めています。そうじゃないと私すぐなまけるから(笑)、自分で律してないとダメなんです。
ちゃんと自信を持って、子育ても仕事もどっちも頑張ってるよって言える自分でいたいし、娘にも示していきたい。娘に背中を見てもらえるような母親になりたいんです。
TDM:娘さんはママのお仕事についてどう思っていますか?
RIKA:実は、ついこの間までやっていた東方神起のツアーが決まったとき、もう小学生だから彼女の生活もあって、親がしっかり付いて勉強を見てあげないといけないようなスクールなのですぐに家族ミーティングをしました。
35公演のロングランだったし、SHIGEもたまたまツアーの仕事が被っちゃって、さすがに出来ないかもと不安がよぎって、娘に「ママ、今回こういう仕事がきたんだけど、どう思う?もしかしてパパもママもいない日は留守番も初めてするかもしれない。だから、もしあなたが嫌だっていったら断るし、あなたに任せる。」って言ったら、すごく軽く「え?ママやってきなよ!大丈夫だよ私。応援してるからね。東方神起がんばれ!」って。「ほんとに!?寂しい気持ちになるんだったら、ママはあなたのそばにいるから」って言ったんですけど、「うん。だってママが踊ってるの好きだもん」と言ってくれて、本当に感動しました。
私、娘が2歳のときから毎日どんなときもお弁当は作ってて、それが彼女とのコミュニケーションでもあるから、冷凍食品も使わないし、私が不在でも自分で作ったものを冷凍ストックして、SHIGEや母にそれを詰めてもらってるんですけど、「今回初めてそれができない日が続くかもしれないよ」と言っても「いいよ」って。
実際、勉強も自分で全部やっていたり、テストもいつもよりも頑張っていて、そういう彼女の姿勢にすごく助けられました。
平井堅 20th anniversary SPECIAL LIVE TOUR 2016の楽屋にて
東方神起 LIVE TOUR 2018 ~TOMORROW~のとき
TDM:娘さんにダンスはやらせたりしていますか?
RIKA:今バレエをやっていて、こないだ発表会で初めてソロを踊ったんですけど、自分がステージに立つより緊張しました。でも、舞台袖から、堂々と踊っているのを見て「成長したなぁ」って、めちゃくちゃ感動しましたね。
小さいときから両親のステージも見てきてるし、私たちも、ステージの上に立つ上での考え方などを教えたり、「地道なトレーニングが上手くさせるからね」とか「適当に練習した中途半端な状態でステージに立たないでね」とか、大人のように伝えてます(笑)。
■将来何をしでかしてくれるんだろう!と、楽しみでしかない
TDM:子育てのポリシーはありますか?
RIKA:一言でいうのは難しいけど、発想とかも含めて面白い子でいて欲しいと思ってますね。
そして、小学生の今はとにかく勉強。今から培っていかないと、遊びや友達といる方が楽しくなって勉強が嫌になってくると思うんですよね。子供のうちは真面目でいて欲しくて、勉強は当たり前に楽しくやるものと思えるように仕向けてます。
だから、学校選びもこだわりました。いろいろ考えて、幼稚園から教育方針や雰囲気がすごく気に入ったインターナショナルスクールに通わせています。娘はフランス語を選択してるので、英語とフランス語を話せます。学校にいろんな国の子がいるから、自然と宗教のことやいろんな文化を学んでいるし、本当に楽しそうです。
そんな環境だからか、娘は感受性が豊かで、ほんとにしっかりしてて、将来何をしでかしてくれるんだろう!と、楽しみでしかないですね。
これから彼女がチョイスしていく道に応えていけるように、家族で頑張らなきゃと思ってます。
TDM:教育の他にこだわっているものはありますか?
RIKA:食にはこだわっています。食材はオーガニックのものや、産地にこだわって選ぶようにしています。
実は東日本大震災がすごく大きなきっかけになっていて、当時産後3か月くらいのときで、私も母親になったばっかりでまだ精神的に揺れているときだったので、「守らなきゃ!」という気持ちが強くなったんです。
私はファーストフードとかジャンクなものばかり気にもせず食べて育ってきたけど、娘にはちゃんとしたものをと私なりに色々食育について勉強しました。私こだわり始めたら、とことんこだわっちゃうので。自分でもメンドクサイんですけどね(笑)。
まだ親がコントロールできるうちはなるべく身体にいいものを食べさせたいんです。
あとは、コミュニケーションをたくさん取るようにしています。私もしゃべるし、娘も止まらないから、2人でずっとしゃべってます。小さい頃からスタバで勉強したり、休日もすぐ「お茶する?」ってカフェにいったり、常にそういう感じ。家族で出掛けていてもいつもそうだから、SHIGEは退屈だと思うので「パパはどっか見てきていいよ」って(笑)。
■身体は自分が奮い立たせればどうにでもなるから、後はメンタル
TDM:今後やりたいお仕事や、ダンサーとしての目標などはありますか?
RIKA:自分は母親というチョイスをしてるから、子供を犠牲にしてまで自分が何かをやりたいっていう気持ちよりは、上手に共存できたらいいなって思っています。‟子供が一番“ということは変わらない。若かったらまた違うかもしれないけど、時代と共に必要とされるものは変わると思うので、常にアンテナを張ってすぐに対応出来るように日々考えトレーニングをしています。そういう事も含めSHIGE とは高め合える関係で本当に感謝しています。仕事をやるからには責任を持たないといけないし、求められるものにそれ以上に対応できる自分でいたいと思ってます。
TDM:では、今後、子育てと仕事を両立していきたい女性ダンサーにメッセージをお願いします!
RIKA:旦那さんや親の協力などがないなら気安くGOとは言えないけど、“私がいない時間にもこの子をちゃんと守ってくれる存在がいる”という確約があって、状況さえ揃えば、産む前と変わらずにいけると思います。
身体は自分が奮い立たせて練習やトレーニングすればどうにでもなるから、後はメンタルですね。
私は自分でこの道を選んで母親になってるから、ちゃんと子供のこともやりながら仕事したいという気持ちが強いけど、「私が、私が」ってなるならまだ産まないほうがいいんじゃないかなって思う。仕事と両立できるかな…って不安に思ってても、しっかり子供のこともケアする覚悟と、環境さえ整っていれば「やれるから!」と思いますね。
TDM:心強いメッセージです!多くの女性ダンサーの励みになったと思います。今日はありがとうございました!
interview &edit by Yuri Aoyagi
photo by AKIKO
’19/03/25 UPDATE
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