01.interview, People

舞台「DOOODLIN’」特集 WRECKING CREW ORCHESTRA

Off 8266

■身体に音楽を憑依させる。

 

TDM
WCOの舞台を作っている上で振付はYOKOI君が仕切ることが多いと思うんですが、舞台を作っていく上で大事にしていることは何でしょうか?

 

 

YOKOI
バランスですね。ダンスに強烈に偏る瞬間と、お客さんに向けて伝えるっていうことにこだわる瞬間と、あともう自分の強烈なエゴで踊る瞬間。そのいろんな要素が、いいバランスを保っているのがWCOの舞台だと思います。自分たちも未だにストリートダンサーとしてのかっこ良さの部分と、舞台に立つ表現者としての部分というのを、常に試行錯誤と葛藤の中で戦い続けてる部分がWCOの良さだなと。ただ、これはバランスを間違えると、何がやりたいのかまったくわからなくなってしまう。それこそ今までも、僕たちみたいにダンサーで舞台に挑戦してきた人たちが、あまりにもお客さんに伝えることだったり、あまりにも自分たちのやりたいことばかりを詰め込み過ぎてお客さんに伝わらないことをたくさん観てきました。僕たちもそういう時もありましたし。もちろん結局、それに明確な答えはないんですが、でも、それを考えることや、追求することを辞めてしまったらもうそこでお終いだと思います。

 

僕たちはその部分を常に考えながら、追求し続けながらやっています。そこのギリギリの部分、いろんな物を削っていくところで、何か新しいものが生まれたり、ダンサーとしての生き様がでてきたりします。言葉では伝えられない、心にダイレクトに響いてくるものがそういうところに生まれてくると思っています。それをずっとやり続けていきたいなと思いますね。

 

「ああやって、こうやって、こうなったらこうなる」という数学的なテンプレートを作り上げてしまわないこと。続けていれば、その方程式はある程度できるんでしょうけど、それって、おごりだと思う。その時点で自分たちの成長を止めてしまうわけだから。やっぱり、常にその時、その時代のお客さんと、そして、自分たちのダンスと音楽と向き合っていきたいから。

 

逆に、そういう意欲が無くなったらもう、続ける意味はないと思う。何のために僕たちこれやってるかと言えば、そういうことだと思うんだよね。規模を大きくしたいとか、世界中でやりたいとか、いろんな夢はあるけど、それが別にゴールじゃないから。

 

僕たちが「こう伝えたい!こうやりたい!こう見せたい!こんな驚きを与えたい!こんな感動を与えたい!」っていうクリエイション、創作意欲がすべて。

 

ダンスも同じで、20年以上やっててもね、「ダンスが好きで好きで仕方がない。踊りたい!」って思ってるから自分たちの表現がある。もう、それがなくなったら辞めるくらいの想いで皆やってると思う。

 

TDM
YOKOI君はどうやって振付をされていますか?

 

 

YOKOI 曲を聞いて、大体5秒くらいしたら、空から全部降りてきます。

 

DOMINIQUE
ほら出た!天才発言!

 

YOKOI ま、それは冗談だけども(笑)。でも、音楽をどう捉えられるかということだと思います。僕の中では、その一音一音をタイミングとして切り取って、それにストーリーが自分の中に憑衣してくれば、自分たちは身体を動かす人たちだから、それを自分たちのイメージで表現していくという感じかな。その音楽が何を言いたいかを理解することが僕にとってすごく重要なことです。それをできるようにするためにも、日々技術を上げていきます。どれだけ思いがあっても、それを表現できるスキルがないと、そこにジレンマが起きて、僕的には許されないから。だから、一生懸命練習します。

TDM
天才発言がバンバン出ております。

DOMINIQUE
YOKOIはこう言ってますが、僕は、一音一音を取りにいきます。

 

全員 (笑)。

 

TDM
普段、どんなものからインスピレーションを受けますか?

 

YOKOI 僕は動画を観るのが好きで、よくいろんなダンスを見ています。国内外問わず。年下年上問わず。普通に好きです。インスピレーションって、たぶん舞ンテナ張ってなきゃいけないし、常にダンスのことを考えてたり、常に音楽のことを考えてたら、ダンスだけの動画じゃなくても、何見ても湧くと思います。インスピレーションってどこにでも転がってるものだから。

 

DOMINIQUE また天才発言や(笑)

 

 

TDM
どんなダンサーが好きですか?

 

YOKOI 僕はELITE FORCEのリンク(Link)に憧れて踊ってきました。それこそ今までのヒップホップの概念を覆した人だと思っているので。20年前、1990年代のヒップホップは、ビートとフィーリングだけだった。そこにリンクはダンスで音楽性を加えて、人の聞こえない音が、その人が踊ってたら聞こえてくるという、不思議な体験をさせてくれたんです。本当にその人の身体から音が出てる風に見えた。そういう意味でリンクからはすごく影響を受けました。

 

TDM
最近見た動画は?

 

YOKOI 大量に見てますからね・・・。アメリカもヨーロッパも見れば、コレオグラファーたちの作品もすごく見ます。それこそ舞台の時なんてダンスだけじゃなくて、別の身体表現や、芸術家の物も見ます。サバールもアフロもパンツーラとかも好きですし、多岐に渡っていますね。趣味ですから。その莫大な情報量の中から、たぶん、自然と自分の中で好きなものを選択していって、ちょっとずつ取り入れながら自分のダンスというものができあがって中だけで勝手にできあがったものではないです。自分と必死に向き合っていきながら、少しづつ、いつの間にか自分のスタイルになっていった感じです。無理してオリジナリティを追求した覚えは一切ないですね。

 

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