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舞台「CONNECTION」特集 辻本知彦

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彼の思想に引き込まれた時間だった。ダンスシーン、そして自分自身を丁寧に感じ取り、未来を見据えるたくましさが、人を引き付ける魅力となっているのだろう。そんな辻本知彦が、3年間のシルク・ドゥ・ソレイユでの活動を終え、舞台「CONNECTION」に参加する。演出・大澄賢也氏をはじめ、共演者へのリスペクトや作品への意気込みを聞いた。

 

  • 辻本知彦

tsujimoto

コンテンポラリーからjazz、Hip Hopと全てがワールドクラスのダンサー。 2007年シルクドソレイユ ガラ FIAT プレゼントにてイタリア・ローマ公演にて男性日本人ダンサー初めての出演を果たす。2011年-2014年シルクドソレイユ『Michael Jackson The Immortal World Tour』485公演140都市27カ国に出演。自身の振付・演出作品は東宝ミュージカル『RENT』 振付、きゅうかくうしおvol.0『素晴らしい偶然を求めて』 森山未來とデュオ作品、PV『Dance!Dance!Dance!』YUKI(元JUDY AND MARY) 振付など多数。

 

 

 

 

 

舞台だけで稼ぐことは、誰かがやらなくちゃいけない。

 

TDM 辻本さんについて、ワークショップがダンサーにも人気で、動きに対する身体の使い方、遊び方とその感覚・考え方がおもしろいと聞きました。

 

辻本 受けたいと思ってもらえるのは、たぶん、僕がレッスンをしていないからでしょうね。昔、素晴らしい先輩たちがレッスンをされているのを見て、「僕はレッスンを持たないでおこう」と思ったんです。それが20歳前半くらいの時で、時期が早かったのはあるけども、自分の場合、レッスンでお金が回ると、普通の仕事はしなくていいと思ってしまう、僕らの時代はレッスンで仕事を稼ぐ時代じゃないと思っていました。またそうはなりたくないなと。 

だけど、今は、教えることによって自分のレッスンにもなるので、そこには意味があるなと気がつきました。お金じゃなくて、自分が身体を動かせる場所であるなと。でも、とりあえず、レッスンだけでお金を回さないようにしています。それが、自分の一番のコンセプトですね。もちろん、それはすごく厳しい道だけども、プロとしてやっていく表現者だとしたら、レッスンでお金は稼がないかなと・・・。

 

舞台だけで稼ぐことは、誰かがやらなくちゃいけない。それが自分かなと思っています。先日、TATSUOさんが僕のレッスンに来てくれました。その時の感想を、別のインタビューの中で言ってくれたんです。「動きを習うのもそうだけど、俺はトモの思想、どういう考えを持っているのかを知りたくて受けたんだ」と。“思想”という言葉は、最近自分にフィットしています。最初に森山未來さんに言われたんですよね。「トモさんは思想家だよ。思想でダンスをしている。」と。その1週間後くらいにTATSUOさんからさっきの感想を言われたんです。「そうか。自分にはそういう思想があって、それを1~2年実行したら、そういう人間、踊りになっているんだろう。」と思いましたね。商売でダンスをやれば、商売のダンスになって、商売でやらなければ商売をやらなかったダンスになります。自分で自分を型に嵌めていくんです。

 

商売でやったダンスはどういうことかというと、人に安心を与えたり、商業的なテクニックが出た時に「あ~、これ商売でやってるからだな」と感じることがありますけど、コンテンポラリーだけでやってる人を見るとそれが出ない代わりに、変に飾らないでいられる。見せ方が違うという言い方なのかもしれないけど。

 

だけど、商売のダンスをやったからできるテクニックも多いんです。180度足を開くようにするとか、ターンは最低何回以上回るとかって、たぶん商売をやっていなかったら求められないから、そこまで自分も求めなかったと思うんです。そういう意味では、商売でのダンスをやったからこそ得たものもある。場所によって見せ方を変えれたらいいんですけどね。

 

■明確なビジョンを持つ。 

TDM
どの様に普段の意識を高く持っているんでしょうか?

 

辻本
僕は、最初に「この何年先に自分はどうなっていればいいか」を考えます。例えば、「3年間は走り続けよう。」と決めてランニングをしたり、シルク・ドゥ・ソレイユに臨む時に、「太ってみよう」という感覚を持ってみたり。それまで絶対にやらなかった、“太ってお腹を出す”ということをやってみたんですよね。だから今、体重6キロ太っています。 

こういうセンスというか考え方が、人とは全然違うという自信はあります。それは、いろんなダンスと出会ったり、シルク・ドゥ・ソレイユに行った結果でもあるけども、持ち合わせている物が人とまったく違うというのは自負しています。大体、「ブレイカーなのになぜバレエのセンスを持っているんだ?」と見られます。バレエをやる気質がなかったのにやった。それはバレエの美しさを知ったから。これは「僕みたいな人間がバレエをやるとおもしろい」という結果論なんですよね。

 

p03

■身を助けるからバレエをやれ。

TDM ストリートダンスはどのジャンルをやっていましたか?

 

辻本
若い頃はストリートダンスの全部がかっこよかった。ストリートの技が好きで、バレエの美しさは、まだわかっていなかったし、ジャズもわかっていませんでした。ドレッドがかっこいいなとか、アクロバット、バック転、ウィンドミルやりたいなとか、ウェーブがすごい、ポップが凄いな!とどれもかっこよくて凄いなと思って、全部トライしたんですよね。 

始めた頃は、あからさまにズレていました。ダンスのセンスの悪い子。ダンスの一線で習っている訳じゃなくて、ちょっとズレて習っているなっていう子。師匠や師事をしたい人にも出会えなかった。だけど、そのおかげで良かったのは、ちょっと、下手くそなりにも身体にストリートダンスの羅列が入ったんですよね。しっかりとした上手さも大切だけど、良い意味でストリートダンスのあの羅列な感じが大切でしっかりやった方が上手くなるんだってわかっていたんですよね。下手なりに思ったのは“自分は見る目が良い”ということ。自分のセンスが好きだったり、自分のセンスは当たっている、最初に思ったアクロバットとか技が好きで、人目がポンと付くものに対しては鼻は利いた。

 

そして、渡辺寿悦というすごい人と出会いました。ブレイキンやポッピンロッキン、やりながらバレエやっていたんです。当時はそのセンスがよく分からなかったんですよね。そしてその方がインスピレーション一発目だったのも良かったですね。「何でブレイキンのセンスとバレエのセンスを合わせた!?」と。僕が一番驚き、最初に影響受けたダンサーです。自分の憧れの人。今だったら、その2つやっていても何とも思わないでしょうけどね。それで、寿悦さんに「身を助けるからバレエをやれ。」と言われたんです。

 

だけど、興味がないのにやるのは無理だった。それでもまぁ、無理やり言われながらバレエを習いに行った時に、そこで初めて自分の足や腕を見て、「キレイかも」と思ったんです。それまで“キレイ”と、“上手い”と言うのは難しかった。

 

ダンスが上手いということがどういうことかわからないぐらい無知でしたね。キレイは自分の身体を見た時、少しわかりました。自分でキレイは作っていけるんじゃないかということを学んだと思うし、あと、“上手い”というのが“人と比べて上手い”というのがわかった時でした。

 

自分だけを見て上手いじゃなくて、同じ動きをやっている時に横の人と比べて、普通の人が見てどっちが上手いかといったら、どちらが上手いか決まるんだなということがわかりました。それまでは意識していたのが“比べる”ことでしたが、自分が見て“キレイと思えるか”になったことを知りました。

 

誰が観ても等しくいいと思える物を自分で作りたい。」次のページヘ

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