8月17日(金)に佐渡島で開催されるアース・セレブレーション(以下、EC) 「鼓童 Dance Night〜CHAKKA FES〜」にてストリートダンス×男子新体操×鼓童のスペシャルコラボが披露される。演出を小松崎正吾、音楽を池永レオ遼太郎という、今後の鼓童を担う若き才能が担当。この日、佐渡で起こる“着火”の瞬間が、訪れる人々の心を深く揺さぶるのが目に浮かんだ。今回のコラボに向けた意気込みと共に、鼓童、そして佐渡島の魅力を前編・後編にわけてお届けしよう。
- PInO
1992年結成の「PINOCCHIO」として様々なコンテントで入賞を果たす。その後、日本を代表するハウスダンスチーム「ALMA」メンバーとして活躍。フランス「JUST DEBOUT」優勝(2008) 、「JAPAN DANCE DELIGHT」優勝(2008)、フランス「CIRCLE UNDER GROUND」優勝(2012、2016)、台湾「OCEAN BATTLE SESSION」優勝(2017)「FINAL HOUSE DANCE ALIVE HERO’S 2018」優勝と世界的なバトルやコンテストでタイトルを獲得。m.c.A・T、TRF、三浦大知、東方神起、Crystal Kayなどの振付け・ダンサーとして携わり、常にオリジナルであり続けるHOUSEスタイルの枠を超えたフリースタイルな表現は世界中のダンサーのみならず、様々なジャンルのアーティスト達からも絶大な支持を得ている。 アンダーグランドシーンでは、世界各地で年間100本以上のショーをこなすダンサーとしても唯一無二の存在になっている。
- TATSUO
高い身体能力が放つダンスはもちろん、選曲やステージング等とどまる所を知らない才能の持ち主。 オリジナルハウススタイルを確立したDANCE TEAM “GLASS HOPPER”のリーダー。 日本のみならず世界各国で行われた世界最大級のコンテストやバトルでチーム、ソロともに数多くの優勝経験を持つ。ドイツで行われた「Funkin Stylez」、チェコでの「STREET DANCE KEMP EUROPE」、イタリア「THE WEEK」、 フランス「CERCLE UNDERGROUND」で行われた世界大会にて、アジア勢初の優勝に輝いている。 DANCE@LIVE FINAL 2009 HOUSE グランドチャンピオン。 2014年世界最大のストリートダンスバトル、JUSTE DEBOUTのJUDGE4人の中の一人として選ばれ、 世界14カ国にて審査とSHOWでイベントを成功させた。 現在はBLUE PRINTに所属し芝居や舞台などにも多数参加。 指導する立場としても、海外約20ヶ国にて150回以上のワークショップを行うなど、幅広く活動中 。
- 小松崎正吾
中学時代に和太鼓に出会う。高校では演劇部で活動。2009年研修所入所、2013年よりメンバー。舞台では、主に太鼓、鳴り物、踊りを担当。2013年旧金毘羅大芝居(金丸座)で行われた「坂東玉三郎特別公演・アマテラス幻想」では、アメノウズメ役に抜擢。身体の柔らかさを活かし、太鼓だけでなく踊りなどの全身を使った表現に磨きをかける。2017年、「打男」国内ツアー、「道」、「交流公演」、「初音ミク×鼓童スペシャルライブ」などに出演し、独特の存在感を放つ。2018「Evolution」ヨーロッパツアー参加。愛嬌のある性格と笑顔で周りを明るくする、鼓童のモチベーター的存在。
- 池永レオ遼太郎
大学1年生より太鼓を始め、学内の太鼓グループで活動。2013年研修所へ入所。2016年より正式メンバーとなる。舞台では主に太鼓、笛を担当。2015年「打男」浅草公演、「永遠」「混沌」国内ツアーに参加。「混沌」ではフルートを演奏。2016年、「螺旋」国内ツアー、「打男」ブラジルツアーに参加。2017年、「坂東玉三郎がいざなう鼓童の世界」、「幽玄」で坂東玉三郎氏と共演。「打男」北米、国内ツアー参加。「鼓童若手連中」で舞台演出デビュー。2018年、フランスの著名な劇団「太陽劇団」の招聘により演出舞台「鼓童若手連中」の海外版、「Kodo Next Generation」をパリにて上演。また、「道」の演出補佐を務める。「Evolution」ヨーロッパツアー参加。旋律楽器も得意とし作曲にも力を注ぐ。
▲EC紹介動画
■いい舞台になる確信。ワクワクしかない!
正吾:とにかく、良い舞台になったらいいな。でも、僕は大丈夫な気がしているんです。わくわくしかしてないんです。
遼太郎:舞台はほぼ港。海沿いなんですよ。横を見たらすぐ海で、上は全部星で、街灯なんて無い。芝生の上でみんな座って、あの雰囲気の中で、その場で起きたものが混ざり合う、それがすごいECの魅力です。
正吾:
そう。その時に生まれる演技はどの舞台でもあんまり無い。EC独特の、何かを感じます。普段ツアーでまわっている公演ともまた全然違うんです。僕らも野外でやることが少ないのと、親交のある人たちとやるのはまた違いますね。あの環境で深い根っこを持つ異なるジャンルがぶつかると、本当にいろんなハプニングが起きます。僕らもすごい開放的になるので音楽が垂れ流しになって、トランスするまでやる。打ち合わせしてないことをやる。「終わらない!いまどこのパート?!」って良い意味の、化学反応が、稽古や本番で起きるので、袖から見ながらも興奮してます(笑)。
遼太郎:ま、でも、やっぱりこれは実際に来てもらわないとわからないと思います。
正吾:そうですね。不思議なとこですよ。
遼太郎:よく野外フェスとかである、露店のエリアみたいなハーバーマーケットみたいな、現場近くにマーケットみたいな市場がありますよ。
PInO:そういう時は結構島の外からみんなくるの?
正吾:来ますね。海外の人が多いです。
遼太郎:昼間からビール飲んでぷらぷらして。
TATSUO: いやーますます長く滞在したいなー。時期的にも島の周りの海を潜ったりしたいな。
正吾:高校生の時、ECを客として来てたんですけど、潜ってましたよ。夜は鼓童のコンサート観て、夜は浜辺でキャンプ。焚き火の周りでみんなで踊る人は踊るし、夜中ずーっとそれで疲れて寝て遊んで、顔中蚊にさされて。季節的にはめちゃくちゃいいですよ。
ECは野外フェスとして日本で最古だとも言われています。去年、海外の人たちが、日本に訪れた時のイベントの全国満足度調査で、1位にもなったんですよ。島には昔の街並みも残ってます。宿根木というエリアがあって町並み保存をされてる集落もあります。
佐渡って日本の縮図とも言われていて、島の北と南で話し言葉が違ったりして文化も違います。芸能も、ものすごい数あって面白い。宿根木に関しては船着場の風情が残っている町です。昔、九州から日本海側のいろんなところに停泊しながら、転々と自分たちが持ってきた石とか塩とか米とか物資をおろしては、そこの土地の物をまた積んで次の土地に回る「北前船」という船があり、佐渡島はその停泊地でした。なので、島にはいろんな文化が伝わってきたんです。
TATSUO:面白い。そういうのを観にいこうとすると、やっぱり3日じゃ足りないね。
正吾:はい、足りないです。
■“自分がお客さんだったら面白くてたまらない“目線
TDM:正吾さんは初演出に今回トライするということで、ダンスとコラボをやろうと思ったきっかけは?
正吾:
最初は、4年前のECで鼓童とBLUE TOKYOさんとDAZZLEさんの共演を見たのがきっかけです。さっきも言ったように、今回のテーマは、いろんなもののジャンルの交差によって新しくて面白いものを生み出したい。太鼓・ダンス、あと電子ドラム。音楽的にも、原始音と電子音が混ざります。「CHAKKA FES」というタイトルの“着火”というのも、何かと何かが交差していく時に、火が付くほど強いエネルギーが混ざりあう。その摩擦する交差点が佐渡というイメージがあってつけられました。観ているお客さんにとっても、いろんな交差が目の前で繰り返されて、その応酬がすごくいっぱいある舞台になると思います。
間違いなく本番では火がつく確信はあるんですけど、どんな火なのか、それは混ざってみないとわからないですね。そこが自分としてはすごく楽しみです。演出の大きなイメージの元になってるのは、「体から出てくる音、音から見えてくる体」。「気づいたら自分も踊っちゃってる!」と観てるお客さんがなるくらい、僕たちがそういうものをずっと繰り返してたら、なんか体が動いてくると思います。目線として「自分がお客さんだったら面白くてたまらない!」っていうものを作りたいし、新しいよりは、「知らなかった!」ですね。
和太鼓もダンスもドラムも、見つかったときは新しいって言われてたけど、元からあるもの。佐渡島で「知らなかった!」を見つけられる場所にしたいって、すごく思います。
その後にも、お客さんが自分の家に帰って、自分の周りの人に、「また観にいきたいな」「あのメンツやばいよね」って、その時の発見を広げてくれる、そういう舞台になったらいいですね。
TATSUO:今までに無いものとか感覚を知った瞬間の快感は気持ち良いよね。僕らはそういうのが好きだから、和太鼓やダンスをやっていると思うし、だからこそそれを誰かに与えたいと思う。なのに、知っていくと、定着して、今までは俺にとってもすごい刺激だったのに、だんだん刺激じゃなくなってくる。だから、どうやったらもっと刺激的なものにできるんだろって考えるよね。
正吾:はい、おかげさまで今回機会としてECがあるから、尚更、伝統というものをちゃんと守りつつ、今、自分たちのやっているものにもっと大事に根を深くはっていきたいと思うし、それらのすごく良い相乗効果が生まれる確信があります。
TATSUO:伝統のものは、馴染んで、染み込んでるものだよね。だからこそ変えられるというか、変えて行くべきだよね。それが中途半端にただ新しいものをしようとすると、説得力がなくなっちゃう。けど、今回は中途半端じゃないから。絶対やるべきだし、絶対いいものができるよね。
正吾:音楽的にも今、遼太郎が作ってくれている曲は、そういった部分を大事にしてくれています。
遼太郎: 大事にしたいのはお互い良い意味で頑なに持っている譲れないもの。そこは譲歩したくなくて。互いに「思いっきりやったな!」となりたいですね。
TDM:遼太郎さんが音を作る時に自分の中で譲れないもの、大事にしているものは?
遼太郎:大事にしているのは、感情です。頼まれて作るのももちろんできるんですけど、自分の感情が抑えきれない時に降ってくるものがあるんですよ。それを形にすると、自分で聞いてて、「あの時こういう気持ちだったんだなぁ」と思えたり、他の人の曲を聞いても「この曲いいな」って思うので、それを大事にしています。でも、それって結局コントロールできないんですよね。出てこない時は出てこない。
TATSUO:
でも、その力がすごい大事だし、すごく大きな力になるっていうのは理解してるね。俺も踊りを作って踊る時でも、何かの思いを背負ってやるのと、ただの振り付けを踊るのでは全く違う。もちろん誰しもがわかってるんだけど、それをちゃんと経験してきて、背負ってるものとか、持ってる思いが、深いところに行ってる。そういう凄さ、目に見えない何かがあるからこそ力を感じる。それが良い状態で合わさればいいよね。それが絶対になきゃいけないってお互いにわかってるから、それをさっき言ったように「こういうのやってくれ」って言われるんじゃなくて、互いに気持ちを作る作業を絶対してるから、それを知りたい。そういうのを知るために、僕は、朝まで1回飲みたい(笑)。
一同:笑
TATSUO:いや、そういう奥底って時間がかかるんだよ、奥底を聞くのって。何にも制限がない瞬間にポンってでてくるんだよね。そこからだんだん盛り上がっていく。自分はそういうの得意だから(笑)。
PInO:大体酔っぱらって覚えてないんじゃないの?喋ってる内容はわかんないけど、気持ちだけだよね。
TATSUO: そこなんだよ(笑)。あとから、「何話したっけ?」みたいになる。英語わかんないけどパッションで話してる感じ。でも、それがあると、本番では違うものでつながるんだよね。鼓童の場合、みんなで一緒に暮らしてるとか、同じ空間を共有してるから繋がってるんだと思う。
正吾:そうですね、では初日は飲みましょう(笑)。
TATSUO:そうそうそう。一回ね。素っ裸になって話してみようと(笑)
■来れば間違いなく何か新しい自分には出会える
正吾:ECに関しては、紹介動画なども参考にして頂きたいですが、パンフレットや紹介文だけではどうしても伝わらない部分があると思います。このインタビューを読んで、「よし!佐渡まで行こう!」となるのにはエネルギーが結構必要だと思うんですよね。
TATSUO:そうね。1回行けば大丈夫なんだけどね。最初に行くきっかけだよね。
正吾:

逆に本当に自分を空っぽにして来てほしいですね。何もないけど何でもあるっていうのは本当に佐渡の魅力なので。佐渡に行くという事は、自分の日常から1回抜け出して、ちょっと遠出してみようってレベルじゃないと思います。佐渡ではそれが日常なんですけど、多くの人にとっては非日常に飛び込む感覚だと思います。「非日常に行きたい」「なんか今モヤモヤしてる」「ダンス好きだけど野外フェスで踊ってるのを見たい」とか、毎年ECを経験した人でも、「これはたまらん!」という何かが佐渡にはあるし。それって僕たちが与えるものっていうよりかは、佐渡に自分が足を踏み入れる行為自体が、すごく新しいと思う。
その一歩って今、TATSUOさんがおっしゃってくださったように、大変だけど、一歩踏み出したら間違いない。絶対に後悔させないし、どこにもない空気感を約束します。
規模は大きなフェスではないですけど、その分、演者と観客の距離も近いし、人との出会いもあるし、食べ物も美味しいし、どんな人がきても来れば間違いなく何か新しい自分には出会えると思います。ダンスをやっている子もそうですし、そうじゃない人も。来たら知らなかった自分に出会えるっていうのは間違いなくあります。
TATSUO:今の話を聞いて、佐渡に行くと、「あれ、人間ってこうやって気持ち良くなるんだ」って人間が持ってる原点を感じられそうだね。田舎や自然に触れると、何もしなくても、何もやってくれなくても、すごく満足できるよね。そこにいるだけで素敵な景色だったりとか絶対に感じられる場所だと思うから、すごく満たされると思うんだよね。なおかつ、ECでは新しい感覚もある。好きな物がいっぱいでてくるね!満足度はすごいと思う。
正吾:はい、その人の好きなものを見つけられるかも。あー俺って自然が好きなんだ!とか、食べ物でも、音楽でも。踊ったり、こういう人たちと話すのが好きなんだとか。いろんなものが転がってるから“自分の好き”が見つけられるかもしれないですね。佐渡に住んでる人たちもそうなんですけど、ECに来る人たちみんな癖がすごいんです。ECの味を知ってる人たちが来るから、いろんな話もするし、そこで友達になることもすごく多いんです。
遼太郎:やっぱり佐渡って行こうと思ってすぐに行けるところではないから、その一歩を出したら帰りたくなくなっちゃうだろうね。
TATSUO:その一歩を踏み出した自分にも満足できるようになるよね、たぶんね。
正吾:「佐渡に行った」ってすごいエピソードですよ。
■互いの感覚を深く知った上で佐渡で迎えるステージに乞うご期待!
TDM:ステージは全部で何分くらいなんですか?
正吾:二部構成になってて、休憩込みで約2時間です。演出としては、鼓童×ダンサー、鼓童×ドラム、鼓童×ドラム×ダンス、その3ピース。それぞれの皆さんの良さ、ハウスダンスの面白さも大事にしたいです。
打ち合わせでは「ここは(長谷川)達也さんが、驚くような細かく奇抜な精密な構成を作ってもらって…」と言ったり、「じゃあここではTATSUOさんのMCで盛り上げて…」とかずっとそういうの茶化しあいながらも言い合ってる感じが楽しいです。達也さんもPInOさんとTATSUOさんと一緒にできるのは大きいと言っていました。
TDM:どんな相乗効果なのか、化学反応が起こるか、今回は楽しみです!最後に自分の中で楽しみにしていること教えてください。
PInO: シンプルに早く佐渡に行ってみたいですね。それが一番楽しみ。話を聞けば聞くほどどんどん行きたくなってきた。
TATSUO:うん、興味がわくよね、本当に。お互いにやってきた世界が違うから、その中で理解をして、感じて、「こんなに気持ちいいこと、素晴らしいことがあるんです!」っていうのを知って、自分の持っているものをもう一個広くできればいいな。鼓童の方々、佐渡の人たちの感覚を深く知りたいね。
今言ってるのは自分のためだけど、結局自分のために生きてることがお互いに影響しあえて、どっちもプラスになるっていうことが最終的に「すごく良いものができたね」ってところに行けたら素晴らしい。自分はすごく得たけど、相手は別に今までと変わらないってなると面白くないから、「お互い得られた!」がすごく良いな。たぶん、そこに行くと必然的に良いものが出来上がる。
遼太郎:僕は本番ですね。一度TATSUOさんと音に合わせてセッションしたことがあるんですけど、僕が音を出して、TATSUOさんが踊った瞬間にものすごくわくわくしたんです。そういった瞬間がたくさん起きて、その感情だけになれるのが楽しみです。あとは、初め皆さんが稽古場に来て顔を合わせる時の、「あ、よろしくお願いします」っていう独特な空気感。音出したり飲んだりしながらそれを超えていけるのも楽しみです。
正吾:
俺も本当に一緒で、早く一緒に音を出したい。お客さん目線としてもめちゃくちゃ楽しみ。僕がやるはずなのに、「えーいいの?こんなコラボ!」って思ってます。「何かしなきゃ」ていう義務の気持ちにはなりたくない。できないことと、できることははっきりしなきゃいけないと思うし、できることは最善を尽くしたい。他のメンバーたちにも早く会わせたいし、音がまだ音源でのやりとりだけど、それが本番では生音になるという、ワクワク。ワクワクだらけですけど、共演者の皆さんに早く会いたいです。それがたった1日っていうところが悔しいけど、でもこれが終わりじゃないと思ってます。
TDM: HOUSEダンサーとしての達也さんとPInOさんTATSUOさんと、そしてBLUETOKYOに鼓童そして、佐渡という土地が加わるとどうなるのか…ものすごく楽しみにしています!ありがとうございました。
■関連リンク:[PICK UP]今を熱く生きる火男達が文化の垣根を越え佐渡島へ集う。「鼓童 Dance Night〜CHAKKA FES〜」
interview by AKIKO
photo & edit by imu
’18/08/02 UPDATE
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