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「くりダン2018 ~Creative Dance Connection」特集 LA-SON×SHIGE×大前光市

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誰もが楽しめる世界共通言語“ダンス”を通して、国籍や言葉の違い、障害の有無に関わらずいろいろな人がつながれる場を提供したいという想いから、はままつ響きの創造プロジェクト実行委員会/浜松市が主催するダンスイベント「くりダン2018 ~Creative Dance Connection~」。今回、そのコンセプトに賛同したLA-SONディレクションの元、静岡にゆかりのあるダンサーや車いすダンサーなど多種多様なパフォーマーが集結し、この日限りのスペシャルなステージが披露される。リハーサル開始直後のこの時期、LA-SON、そして出演ダンサーの大前光市、SHIGEに意気込みを語ってもらった。


 

  • LA-SON

lason

13歳からダンスを始め、関西のアンダーグラウンドを代表する著名人とイベントに出演。その後、神戸・大阪から東京に拠点を移し、ソロパフォーマンスに力を入れながらダンスクリエイターとして精力的に活動中。「TOYOTAモーターショー」(スイス、ジュネーブ)出演、「KAIEN」(Warner music japan)ヨーロッパツアー振付、映像制作、NYC リンカーンセンター ブロードウェイオペラ「椿姫」振付、映像制作など、企業のステージディレクション面でも高い評価を得ている。パフォーマンスはR&Bの選曲をベースとしてPOP、ANIMATIONを取り入れたJAZZHIPHOPスタイル。タマホーム、キリンmetz コーラ、FOX TV、MTV JAPANのCM出演など、アーティストとしても活動の幅を広げてきた。2015年からはフィットネス業界を軸に新たなエンタテイメントを展開するべく、エイベックスとアーティスト専属契約し 『VO2MAX』として活動中。

 ・SHIGE

SHIGE

パフォーマー集団「S+AKS」のクルーのリーダーとしてDREAMS COME TRUEのパフォーマンス、メインコレオグラファーとして活動中。また「SHOWGUN」の一員として、ZEBRA、DABO、AK69、SIMONなどJAPANESE HIP HOPのレジェンド達のLIVEに出演。ショーケースやワークショップなども勢力的に行い、ダンスシーンにおいて存在感を放つダンサー。安室奈美恵、BOA、Crystal Kay、東方神起、3代目J Soul Brothers 、浜崎あゆみ、倖田來未、SMAPなど数多くの著名アーティストの振り付けを手掛け、日本屈指のchoreographer (振付師)として第一線で活躍している。静岡市出身。

 

・大前光市

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交通事故で左足を失ったダンサー。大阪芸術大学 舞台芸術学科 舞踊コース卒業。 実験的アーティスト集団「Alphact」主要メンバー。Chacott「トリピュア」イメージキャラクター。関西大学人間健康学部 客員教授。しながわ2020スポーツ大使。岐阜県より芸術文化奨励賞を授与。米国アーティストビザ(O-1)を所得。 左足を失ってから10年後、国内外のコンクールにて多数の一位を受賞する。2016年 リオデジャネイロの大舞台にて片足4回連続バク転をし世界中を驚かせる。2017年 紅白歌合戦にて平井堅と共演、その後のNHKスペシャルで特集され大反響を呼ぶ。2018年 MGMに招待され米国ラスベガスにてJABBA WOCKEEZと共演し大成功を収める。 宮本亜門、鼓童、山本寛斎、Ai(歌手)、MIYAVI、はるな愛、白石加代子、津村禮次郎、Alessio Silvestrin、近藤良平、平山素子、辻本知彦らと仕事をし国内外の舞台だけでなく、テレビ、ラジオ、GQなどのファッション雑誌やメディアへの出演も多く、いま日本で最も注目度の高いダンサーの一人。

 


 

■このメンバーだからこそ、いい化学変化にしかならない!

 

TDM:今回皆さん初共演ということですが、まずはお互いの第一印象を教えてください。

 

LA-SON:お会いする前に、大前さんの車いすでのパフォーマンスの映像を見てすごい衝撃を受けました。僕は正直、今までそこにフォーカスしたことがなかったので、車いすパフォーマーというと、動きに制限がある中でどうにか踊ってるのかと思ってたんですけど、むしろ今まで見てきたダンサー以上の武器を持っていたことに驚きでしたね。その映像を見てたこともあって、イメージでは正直ツンケンしてるのかなって思ってたんですけど(笑)実際、普通にお話ししてくれたので、これから、大前さんの車いすパフォーマーとしてのマインドなどを徐々に聞いていきたいと思ってます。

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大前:ツンケンしてそうだった!? 僕はLA-SONのことをちょっと日に焼けすぎだなと思ってました(笑)。そして何語話すんだろう?と思ったりしてましたけど、実際すごく話しやすい好青年ですよね。こだわっている部分の視野が狭くないので、この人だったらいい演出ができるなと思いました。SHIGEさんは現時点ではまだお会いするのも2回目なので、これからですね。

 

LA-SON:SHIGEさんは、 僕の周りにもリスペクトしてる人が多くて、関西に住んでた頃からクラブに遊びに行くとヒップホッパーの友達がSHIGEさんのことをよく語っていたので、お会いするのは緊張していました。

 

SHIGE:僕がLA-SONと初めて関わったのは、僕が振付で入ってたTRF主催の「DANCE REPUBLIC」という舞台で、LA-SONがゲストパフォーマーとしてちょっとお笑い要素のある役で出てたときなんです。だから、そういうパフォーマンスが主流なんだと思ってたから、今回初めて素敵なダンサーだったんだと知りました(笑)。大前さんとは初めて会ったのはスタジオだったんですけど、普通に大荷物を持ってこちらに歩いてきて、LA-SONが「オーナーです」って紹介したんですよ。たぶんLA-SONは普通に「大前さんです」っていったのを僕が聞き間違えただけなんですけど(笑)、だから僕はこのスタジオのオーナーだと勘違いして、すごく怖い人だと思ったのが第一印象です(笑)。あとは、とりあえず声が素敵だなって!

 

大前:そこ絶対言われますね(笑)。


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LA-SON:お二人に会うときに一番怖かったのは、僕はいろんなスタイルを幅広く勉強して、エンターテインメントとして完成させていきたいというマインドでやってきたから、自分の色を持っていて1つの道を究めてきたお二人にどんな風に思われるのかなっていうこと。その違いの中で、何を共有できるんだろうと。

 

SHIGE:そうなんだ? 僕は、LA-SONのことは、この外見だし、ダンスって俗にいう“黒さ”というか、やっぱり血が大きいっていう感覚もあるから、俺にないものも持ってるだろうし、きっとカッコいい人なんだろうなと思ってたよ。そして、こないだ初めてリハーサルをして、すごくフィーリングで踊る人だなと。振付もフィーリングって感じだったよね。

 

大前:そうだね。「こんな感じで!」っていうところから始まったよね。

 

LA-SON:今回は特にそんな感じで作っていますね。この意外なメンバーだからこそ、いい化学変化にしかならないだろうと僕は思ってます。

 

■車いすの振付は“ものすごく心強いもの”を得て何かを作ろうとしている感じ

 

TDM:今回は、“国籍や言葉、障害の有無を超えてダンスで1つになる”というコンセプトですが…

 

LA-SON:僕は、以前は「ナンバーワンになってやる」ってトゲがあったタイプなんですけど、今は「誰よりも優れたダンサーになる」と突き放すような存在ではなく自分が1つのアイコンとして色んな方々にエンターテイメントを「共有出来る」影響力のある人になって拡散していく側になりたいという意識の方が強くなって、その一環でフィットネス業界でも活動しているんですが、フィットネスをやっているもう1つの理由として、健康や美は多くの人が求めるものなので、“世の中の人に貢献できるもの”にフォーカスしていきたいと思ったからなんです。だから今回も、健常者と障害者という違いはあるんですけど、このステージを見てもらったときに、もっとボーダレスになる瞬間や、いろんな人がもっと身近にエンターテインメントを感じられるようになればいいなと思ってます。

 

SHIGE:僕は、今40歳を超えて、この先を考えたときに、いつか地元静岡をフックアップした何かに関わりたいという想いがあったんです。あとは、この年だからこそ自分に変化やインパクトを与えたいと思っていて、今までの俺だったらやらなそうなことだったんで「じゃあやろう」と。今までやったことないことに突っ込んでいくっていうのは楽しいですね。僕は、普段クラブのショーに出るときは超ヒップホップ!って感じですけど、10年間ドリカムのステージでエンターテインメントを勉強させてもらってることもあり、実は自負するくらい結構幅広いので、このプロジェクトにも抵抗はないし、これを機に地元とつながっていけたらいいなと思います。それに、車いすのパフォーマンスも今まで関わったことがないものだったので興味がありました。ここで何を感じるか…自分でも楽しみです。あとは、最近は自分が振付するばかりで、人の振りで何かをするプロジェクトに参加することは皆無だったんで、それも楽しみの1つですね!


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LA-SON:こえ~(笑)。がんばります!

 

大前:僕は今だんだんノリがわかってきた感じです(笑)。そっか、エンタメ系で盛り上げる…面白くなりそうですね。僕は今まで、そういう感性を持った人と関わったり仕事をしてきてないので、今回得た要素を今後自分に活かせるんじゃないかと思って楽しみですね。

 

TDM:LA-SONさんは、車いすを振付することに関してはどうですか?

 

LA-SON:最初のイメージは、車いすパフォーマーと、、、立ちダンサーとでもいうんですかね、そこが一緒に作るショーケースというと、自分がドレスダウンをして作らないといけないかな、と思ってたんですよ。でも、真逆で、すごくアクロバティックで、車いすにしかできないことが多かったり、素晴らしい武器を持っていることを知って、むしろものすごく心強いものを得て何かを作ろうとしている感じがしています。

 

TDM:大前さんは不安はありますか?

 

大前:まだ見えてない部分はありますが、うまくLA-SONの持ってる明るいノリの雰囲気が出たらいいなと思ってます。

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■ここに至るまで…それぞれの転機。

 

TDM:皆さんダンサーとしてキャリアを積んできた中で、転機になったことはありますか?

 

大前:僕はずっとダンサーをしてきて途中から足の一部がなくなった人なんですけど、しばらくは、足がなくなる前と同じようなダンサーに戻ろうと思ってたんです。普通の人の動きができることがダンサー、そして、お金をもらうため、プロとしてやっていくためにはそれが必要だと思ってたんです。でも、オーディションを何度も受けに行っても結局は受からなかったりとか、やればやるほど最終的には難しいってことに直面するんですよ。そして、別のことをし始めたんです。それは、義足を外した状態で踊ったり、普通の人がやるダンスの動きを求めなくなったということ。義足を外して踊ったときに「すごくナチュラルでいいよ」「らしい」「それってすごくオイシイ」とか、今までの自分の考え方ではないことを仲間から言われたことが転機になりました。もちろん、葛藤はありました。ハゲてる人がハゲてる事実をすぐには受け入れられないのと一緒(笑)。どうにかして「僕はハゲなんかじゃない!」と証明したかったけど、カツラをとってみたら意外にウケて、これからは僕のキャラにしていこうと(笑)。それを思わせてくれたのは仲間たちであり、足がない状態でも主役を踊らせてくれた静岡の佐藤典子先生など、そういう方々がいてくれたおかげで今踊ってるんです。

佐藤典子:佐藤典子舞踏研究所・佐藤典子舞踏団・佐藤典子バレエ教室、主宰。静岡バレエ界のレジェンド。御年86歳。


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SHIGE:僕は、大学卒業して1~2年くらい経った頃、それまでずっと一緒にやっていたチームのメンバーの中で、大きな仕事を取れていくやつと、そこからあぶれちゃったやつに分かれちゃった。当時は結構ヘコんだんですけど、自分で何かやっていかないといけないなと思って、オーディションを受けたり、他のダンサーともショーをやったり動き出すようになって、そこからいろいろと広がっていった感じです。あとは、奥さんとの出会いも大きいですね。13年くらい前に、あるアーティストのツアーの現場で出会ったんですが、当時、奥さんはダンス、仕草、服、ライフスタイル全てカッコよくて、ヒップホップの文化が好きで、服も考え方もカッコよくて、俺からしたら憧れのダンサーだったので、仲良くなって影響を受けてるうちに僕も本当の意味でヒップホップが好きになっていったんです。

 

LA-SON:僕の転機は「東京行く!」って決心したその瞬間ですかね。関西ではそれなりに仕事もらえるようになっていた頃です。もっとパフォーマンスを勉強したいと思ってドイツかフランスに行きたいって思ったんですけど、外国人が外国にいても面白くないなと思って、とりあえず日本で自分の価値がどれだけあるのか挑戦したくなって、上京して、いろんなことに挑戦して、タレント事務所を4つくらい掛け持ちしてCMにも出たりしたんですが、実際ダンサーとして誘われるときより、外国人タレントとして誘われるときのほうがギャラ良かったりするんですよ。その相場を知ったときに、自分の見た目が外国人である事を上手に生かして行こうと考えが変わりました。今までは日本に長年住んでいた事もあって周りに合わせてたけど、逆に自分の奥で沸々と湧き出てくる感覚を出して、何か生み出せればいいなと思ったんです。そこから固定概念に惑わされず、アンダーグラウンドからブーイングを受けるかな…とか気にしないようになってきた。

 

大前:俺も、ダンサーからの評価を気にしなくなってから楽になった。それまではすごいダメ出しをされているような窮屈な中で「まだまだだぞ」なんて言われてね。そりゃ永遠にまだまだなんですよ(笑)。

 

■障害者は最初から“下手な人”なのか?

 

TDM:いろいろな葛藤や転機を経て、現在はどんなスタンスで踊っていますか?

 

大前:今は、普通のダンサーがやる動きじゃないほうが全然オイシイじゃん!っていう、真逆の考え方になってますね。逆に今はそれがない人はいいと思わなくなってる。例えば、おばあちゃんがおばあちゃんらしく踊ってたりすると、すごくいいなと思います。仕事になるならないは別として“才能”って“特徴”だと思っているので、それを確立できてる人は才能がある。僕は、ダンスって半分はアートだと思ってるんですよ。例えばちょっと暗めの美術館でライトアップされているガラスのショーケースの中で、何か絵になるようなものを作るような。

でも、ジャンルに当てはめると決まり事があるので上手い下手がでてくる。それもトレーニングとしては必要だし、自分を確立する手段としてスキルは絶対必要だと思いますが、最終的には個人。その人らしさがそのスキルを通して表れていることが芸術だと思っています。

 

LA-SON:でも、日本では特に個性より合わせれる人が評価されちゃうんですよね。

 

大前:まずそこなんだよね。じゃあ、そこで最初から合わせられない人はそれ以下なんですか?と。障害者は最初から“下手な人”なのかと。

 

LA-SON:そういう人を「すごい」と褒めてはくれるのに、結局評価されるのは同じものを同じクオリティで踊れるかどうかなんですよね。でも、個性を出さず統一させて1つの世界観を作るという最たる仕事って、バックダンサーだと思うんですけど、SHIGEさんが普段やってるヒップホップのカルチャーとは真逆ですよね?その辺の葛藤ってなかったんですか?

 

SHIGE:そういう意見は俺の周りにもいっぱいありましたね。でも俺はそれこそ清水で過ごしていた中学生の頃は超ダサかったんで、その俺がバックダンサーできるなんて嬉しい、楽しい、としか思わなかったですね(笑)。昔の話です。もちろん揃えるばかりじゃカッコよくないじゃんって思うから、好き放題やっちゃうときもあったけど、だいたいそんなときは周りからダメ出しされる(笑)。個性強いこだわりパフォーマンスも、コンセプトに合わせられるパフォーマンスも両方できたら最強だと思います!

 

 

大前:わかりますよ。相手が求めてるものにもよりますしね。


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■新しいステージの形への挑戦

 

TDM:今後、プレイヤーとしてではない視点での目標などはありますか?

 

SHIGE:自分が素敵だなと思えるアーティストのライブやツアーの演出やディレクションはしてみたいですね。でも、目標と言われると…正直、探してる途中です。今活躍してる若いダンサーが、僕には考えつかないやり方で道を作ったりしてるのを見ると「俺はいつまでプレイヤーとして進化できるかを追いたいのか」と思ったりしますけど(笑)。

 

TDM:それも素敵だと思います!では、逆にあえて若いダンサーに苦言を呈するとしたら?

 

SHIGE:そうですね…今の若い子は、ダンス動画を見て「好きなダンサーが使ってるから」と、同じ曲を使って踊ってても曲名を知らなかったり、アーティスト名も読めなかったりするんです。ダンスと音楽は一心同体だから、もっと音楽に興味をもって、せめてレッスンやナンバーで自分が踊った曲くらいはどんなアーティストでどんな曲だったのかを知って欲しいなと思いますね。

 

LA-SON:僕の目標は、ダンスやエンターテインメントに興味がなかった人たちにも目を向けてもらえるように、映像や最新技術を使った演出というのをディレクションして広げていくことですね。あと、もう1つ挑戦してるのは、皆がコミュニティ感を感じられる参加型の大イベントをやること。同じ匂い、同じ会話があって、とりあえず行けばいい気分になるような、仕事場・家ともう1つの第3の場所。言わば“ダンス界のスターバックス”を作りたい!(笑)

 

大前:僕は、僕も含めてマイノリティと言われてる人が“普通の人以下”という見え方を少しでも変えたいんです。多くの障害者は自信を持てないでいる。それは健常者にも言えることですが、誰かと比べちゃってるままだから。そうじゃない表現の仕方があるということを伝えていきたいですね。僕も、お仕事ができるダンサーに戻りたかった時期に、無理な動きの振りでは「君、ちょっと難しいからダメだね」って言われたりして葛藤してきた。でも、そういうのは無理でも、自分たちで表現を作る分には何でもアリだし、それをいいと言ってくれる人がいればOKだと思うんですよね。ダンスは専門家だけのものじゃない。だからこそ、そうじゃない場所、そうじゃないステージの見せ方を作らなければいけないと思ってます!

 

TDM:新しい表現に挑む皆さんが創るステージ期待してます!本日はありがとうございました。

 

 

interview&edit by Yuri Aoyagi
photo by AKIKO
’18/07/13 UPDATE

 

■関連リンク:[オーディション]浜松にゆかりあるダンサー大集合!「くりダン2018 ~Creative Dance Connection」

 

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