

ラジオパーソナリティやイベントMCなどで活躍し、いつもマイクを通して、ストリートカルチャーの魅力を熱く伝えてくれるMC RYU。その昔、日本のストリートダンサーにラップの意味やヒップホップの面白さを教えてくれた男は今なお、私たちに多くのことを伝えてくれようとしている。自身もストリート文化に育てられた一人として、その使命を果たしたいと語る彼に、ストリートダンサーが持っている可能性や未来へのアドバイスを聞いた。
- MC RYU
4歳~18歳までロスで過ごす。通訳などを経て、1993年ラッパーとしてライブデビュー。あのJ-WAVE SOULTRAINを伝説化させ、現在はゴマキこと、後藤真希とタッグを組み、さかな君とNHKみんなのうたも決定!まさしく頼れる兄貴的存在である。仲間からの信頼も厚く、日本のHIPHOP、R&Bシーンを支える一人として若者を中心に幅広い層から絶大な支持を得ている。本物の英語を自由に操り、バイリンガル等のレベルではなく、バイカルチャー。現在はINTER FM、Tokyo Scene、Tokyo Dance Parkで毎週生放送!
■すべてはダンサーたちとのつながりから始まった。
TDM | : | ラジオパーソナリティの活動はいつからですか? |
MC RYU | : | 1994年のInter FMからですね。でも、それまでラジオパーソナリティになりたかったわけではなく、「ヒップホップのことを話してよ」と言われて、何もわからないまましゃべり始めたんです。それまでは普通にサラリーマンやってました。大学まではアメリカに住んでて、大学卒業して就職しましたが3年で辞めて、ラップやったりしながらどっぷりヒップホップのシーンに入りました。その頃遊んでたのは元ZOOのCAP、LUKE、HIRO、それとBOBBY、堀江君、DJ HASEBE、Zeebra、Rhymester、LAMP EYEたちもいましたね。当時、六本木にクラブのR? Hallができた頃で、EROSってクラブと行ったり来たり。すべてはダンサーたちとのつながりから始まったんです。
当時はネットなんてないから、ダンサーの仲間たちから「You know what I’m saying?」「What’s up?」とか黒人たちの使ってる言葉を聞かれては教えてあげてました。「黒人になりたいからアメリカに行く」って言うやつには「彼らは虐げられてきた歴史があってヒップホップやってるんだから、ただの憧れだけで行ったら失礼だぞ」ってことも話したりね。逆に俺が教わったのはダンサーのおしゃれさ、かっこよさです。一緒にクラブに行く時も、いちいち服や靴を変えたり、帽子の角度もずっと鏡を見て直してたし、クラブに入る順番やタイミングも決めてきたりね。こっちは「早く行こうよ!」ってイラつくこともありましたけど(笑)。
それまでのサラリーマン時代は、周りは一流大学を出たエリートたちばかりだったので、一気に変わったんです。不良な奴らもたくさんいたけど、お互いにないものを受け入れながらすごく仲良くしてくれた。それが、22〜23歳くらいのときかな。ちょうどディスコが終わった時期ですね。 |
■毎日10時間しゃべり続けた経験。
TDM | : | それから、どうやってパーソナリティの能力を身に付けたんですか? |
MC RYU | : | ![]() |
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その後、現在のライフスタイルは? |
MC RYU | :![]() |
今は、ラジオパーソナリティと、英語の翻訳、イベントのMCをやりつつ、55歳で引退してもお金に困らないように、ファイナンシャルインテリジェンスの勉強を8年ほどやってます。ビジネスのお勉強中です! |
TDM | : | 現在パーソナリティを務められているInterFM897「Tokyo Dance Park」では毎週ダンサーをゲストに呼んでらっしゃいますね。 |
MC RYU | : | ひとこと言わせてもらうと、ダンサーなのに、声しか聞こえないラジオに出ることは、いろいろ無理はあることに注目して欲しい(笑)。どんなかっこいいダンサーでも、口下手ならラジオでは、かんでしまうわけです。そこで、「こいつは口下手だけどすごいダンサーなんだよ」といかに伝えられるかが、俺の役目だと思ってます。 |
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印象に残ってるダンサーはいますか? |
MC RYU | :![]() |
たくさんいますが、この間、来てくれた仲宗根梨乃ちゃんは好きなダンサーの1人。出てくるだけで目を奪われちゃいますね。彼女は振付も素晴らしいけど、彼女が振付をしたアーティストが踊るのと、実際に梨乃ちゃんが踊るのとでは全然違ったものに見えるんですよね。作りたてのパスタが梨乃ちゃんで、それを冷凍してまたチンして食べるのがアーティストたちとでも言いましょうか。ツヤ、匂い、味、のどごし、同じものなんだけどまるで違う。だから、ダンサーってすごい。梅棒の伊藤今人も公演の告知で来てくれましたが、あいつも新しいことを切り拓いてて、すごいやつですね。セリフなしでJ-POPを使ったストーリーダンスを確立してて、本当におもしろいエンタテインメントをやってると思います。俺はJ-POPを聞かないけど、彼らのダンスを通して歌詞を知ったし、ちゃんと表現できててすごいと思います。 |
TDM | : | ここ数年の、ストリートダンサーが舞台に立つことに対してはどういうイメージですか? |
MC RYU | : | 素晴らしい身体表現をやってるんだし、舞台でもバシバシやったほうがいいと思いますね。 |
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バトルやコンテスト、ショーケースなどありますが、RYUさんが観ていて、好きなダンスのステージは? |
MC RYU | :![]() |
バトルはいつ観てもいいですね。ありえない技で魅了してくれる。バトルはその時の勝負なので失敗も含めてライブとして観ますが、ショーケースは事前に準備してきて臨めるので、「どこまでこの日の為に準備してきたの?」と厳しい目で見ちゃいますね。ただ、ダンサー全員にバトルをやって欲しいわけではないです。たとえば、BBOY TAICHIはバトルで魅力を発揮してくれるダンサーですが、仲宗根梨乃ちゃんだと、ショーケースで観ていたいダンサーですね。 |
TDM | : | 最近気になるダンサーはいますか? |
MC RYU | : | 梨乃ちゃんも、BBOY TAICHIも梅棒も番組に来てくれたダンサーは本当に好きな人ばかりなんですが、だーよし、黄帝心仙人もゆるぎなく好きだし、MAMIZOはセクシーで可愛くて大好きです!見ててキャーキャー言っちゃいます(笑)。 |
TDM | : | お子さんもダンスをされてるんですよね? |
MC RYU | :![]() |
はい、長男がヒップホップをやってまして、ロサンゼルスに習いに行ったりしてますが、動きはいいんだけど、表情がまだまだです(笑)。あと、練習だけをしてて、人前になると恥ずかしがって踊らないので、「お前はダンサーじゃない」っていじめてます。ストリートダンサーなら人前で踊ってオーディエンスを魅了しなきゃいけないですからね。 |
■オリジナリティを生み出すクリエイティビティ。
MC RYU | : | ![]() そして、あれから時が経ち、今はその次のステップに来ていると思います。俺たちの今の責任は正しく教育をすること。若い子たちが大きくなった時に「そんなの教えてくれなかったじゃん!」と言われたくないからね。俺たちが汗をかいて言っていかなきゃいけないと思ってます。
今度Shibuya StreetDance Weekのトークショーでモデレーターをやらせてもらうんですが、こういう機会はとても有意義だと思います。進んで関わっていきたいし、ぜひ若い人たちにも参加して欲しいですね。このプロジェクトは自己満ではなく、ダンスをわかる人もわからない人も一緒に楽しもうとしていて、こういった活動はこれからも絶対大切になると思うので是非チェックして欲しいです。 |
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若い世代に伝えていく時に大事にしていることは? |
MC RYU | : | 自分らしさを作ってほしいです。誰かのダンスを真似るのがゴールではなく、その先にある、1本筋を通したアイデンティティを見つけて欲しいですね。それはダンスだけの話ではなく大人になる上でも、とても大切になっていきます。集団の中で同じように踊るのではなく、自分にしかないオリジナリティを生み出すクリエイティビティが、ストリートダンスをすることで身につきます。流されることのない自分で考えて動く。外から見て自分というダンサーがどう在るべきなのか、どう在りたいのかをストリートダンスを通して見つけてほしいですね。
本当にストリートダンスは面白い文化ですよ。やればやるほど実力がつくし、誤魔化しが効かない分、その中で揉まれてオリジナリティあふれる自分らしさを身につけて欲しいですね。俺もストリート文化から自分らしさを教わりましたから。アメリカ育ちの日本人でありながら、日本の文化とアメリカの文化を両方ケアできる役割が俺なんだとはっきりわかったんです。俺たちはとても良い文化を担ってると思います。 |
■ストリート文化に自分が育まれてきたこと。
TDM | :![]() |
生きていく上で大切にしていることは何でしょう? |
MC RYU | :![]() |
![]() 具体的には、寝る前と起きてからの30分ずつに常に新しいことをするんです。本や雑誌を読んだり、DVDを見たり、今まで見たことのないサイトを見たり、何でもいいんですが、そうやって世の中を広げていくと、後ろ向きにならないんですよね。 ただ、いろんな新しいものを見続けても結局いつも「かっこいいな!」と反応するのはストリート文化ですね。それくらい、好きなんでしょうね。最近は、毎日ワクワクドキドキして、楽しいですよ。朝散歩して花を嗅ぐ余裕も生まれてきましたし、これまでの人生を振り返るとやってきたものは間違えてなかったなと思います。そんなことも全部踏まえた上で、ストリート文化に自分が育まれてきたことを正しく次の世代に伝えたいですね。ストリート文化は人と人とのつながりですから。 |
■自分に正直に踊るために。クリエイティビティが増えていくことで、未来は楽しみになる。
TDM | : | 音楽プロデューサーとしても経験のあるRYUさんですが、今後ダンサーのセンスを作品に落とし込むときに必要になってくるのは、オリジナル楽曲に落とし込む作業ではないかと思います。ダンサーがオリジナル楽曲を作っていくために、アドバイスはありますか? |
MC RYU | : | 音を作る専門家たちは世界中にゴマンといますが、ダンサーが付け焼き刃で作るのとではどう考えてもレベルが違います。絶対に近づけられない。でも、これからストリートダンサーは総合的にダンスを作っていかなきゃいけなくなる。だから、メジャーな楽曲に近づけようとせずに、自分たちの踊りとマッチしたオリジナル楽曲を作るしかないと思います。だから、最初は短くてもいいから、自分たちのダンスに合ったトラックを作る癖をつけていけるといいのかもしれないね。何か新しい事に向かっているダンサーたちには、もっと仕掛けてほしいし、1日1歩でいいから挑戦してほしい。
たとえば、音を作れるセンスのいい人を自分のチームに入れることもいいだろうね。ただ、お金はかかってくる。ストリートダンサーはお金儲けがまだまだ難しい。今でもノルマというお金を払って舞台に立ってるくらいだもんね。その仕組みから変えなきゃ、このままだとダンサーが減ってしまうかもしれない。日本人は一生懸命やるし、動きを合わせるのも得意だし、ストリートダンスに向いてると思います。だからこそ、もっとクリエイティブに育んでほしいね。クリエイティビティが増えていくことで、未来は楽しみになるからね! |
TDM | :![]() |
最近「ストリートダンスとは?」を考えさせられることがあります。何をもってストリートダンスなのか…人によって意見はさまざまだと思うんですが、RYUさんはどう考えますか? |
MC RYU | :![]() |
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TDM | :![]() |
ありがとうございました! |
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interview and photo by AKIKO & imu
’16/11/19 UPDATE
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