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舞台「バラーレ」・「BLUE VOL.03」合同特集 坂東玉三郎×長谷川達也

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演出家の坂東玉三郎氏によって、DAZZLEがクラシック音楽で舞う舞台「バラーレ」。また、DAZZLE主宰の長谷川達也氏が全面手掛ける新体操の舞台「BLUE VOL.03」では新体操選手に物語を語らせるという、どちらもストリートダンス史に残る舞台。それぞれの演出を手がける2人の口から語られた表現の豊かさ、追求への情熱はこれからのストリートダンスシーンにおいても重要なファクターとなるはず。記念すべきTDMリニューアル第一弾として、全ダンサー必読の濃厚な対談をお届けしよう。

 

  • 坂東玉三郎

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歌舞伎界を背負って立つ立女方。

また、歌舞伎の枠を超えて、世界の芸術家にまで大きな影響を与え、賞賛を得てきた。

若くしてニューヨークのメトロポリタン歌劇場に招聘されて「鷺娘」を踊って絶賛されたのをはじめ、アンジェイ・ワイダやダニエル・シュミット、ヨーヨー・マなど世界の超一流の芸術家たちと多彩なコラボレーションを展開し、国際的に活躍。映画監督としても独自の映像美を創造。歌舞伎では「壇浦兜軍記」の阿古屋や「籠釣瓶花街酔醒」の八ツ橋、「伽羅先代萩」の政岡など大役を演じ、立女方としての確固たる立場を築いている。鶴屋南北の「桜姫東文章」「盟三五大切」「東海道四谷怪談」などでも独自の芸風を展開し、高い評価を得ている。泉鏡花の唯美的な世界の舞台化にも意欲的で、代表作の「天守物語」をはじめ、「海神別荘」「山吹」「夜叉ヶ池」「高野聖」「日本橋」など、優れた舞台を創りあげてきた。

近年は尾上菊之助との「京鹿子娘2人道成寺」の創造や、中国昆劇「牡丹亭」、「アマテラス」など、

ますます活躍の場を広げつつある。2012年4月より太鼓芸能集団「鼓童」の芸術監督に就任。

本作品で初めてダンス公演の演出を手がける。

【受賞歴】

昭和53年ゴールデンアロー賞

昭和45年芸術選奨新人賞

昭和56年第二回松尾芸能賞演劇優秀賞

昭和60年都民文化栄誉賞

平成3年仏シュバリエ勲章

平成5年ジャン・コクトー国際賞

平成8年ダンススクリーン96グランプリ

平成9年毎日芸術賞

平成10年読売演劇大賞最優秀男優賞

平成21年菊池寛賞

平成23年京都賞(思想・芸術部門)

平成24年重要無形文化財保持者に各個認定

平成25年フランス芸術文化勲章「コマンドゥール」受章

平成26年紫綬褒章受賞

他受賞多数

 

  • 長谷川達也

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ダンスカンパニー「DAZZLE」主宰、ダンサー・演出家。SMAP・V6・Mr.Children・ケツメイシ・TRF・藤木直人、BoA、東方神起などの、TV・ライブの出演・振付の他、アーティストPV、CMなどの映像作品や舞台への参加など幅広く展開。エンターテイメント振付の日本一を決めるコンテストLegend Tokyoでは優勝を獲得し、KAAT TheatriKA’lダンスコンテストでも優勝を果たす。また、ストリートダンスコンテストの最高峰JAPAN DANCE DELIGHT vol.8準優勝。他にも振付を担当したSony web movieがアジア最大の広告祭であるアドフェストのwebフィルム部門ファイナリスト。さらには舞台作品「花ト囮」がグリーンフェスタ演劇祭にて最優秀作品賞、若手演出家コンクールでは優秀賞を受賞。2010年韓国SAMJOKOアジア演劇祭、2011年には世界三大演劇祭のひとつと名高いシビウ国際演劇祭より招聘を受け、2012年は中東最大となるファジル国際演劇祭からも招聘、4部門ノミネート、2部門において受賞するなど演劇界からの評価も高く、現在世界中から出演の依頼を受けるほどに成長を遂げたダンスカンパニーを率いる。2013年には東京国際フォーラムで開催された舞台「ASTERISK」において総合演出、主演を務め、2014年には再演を果たす。2015年3月には歌舞伎俳優の坂東玉三郎氏が総合演出を務める舞台「バラーレ」(赤坂ACTシアター)が控えている。

■坂東玉三郎とDAZZLEが出会った。

 

TDM 今回、玉三郎さんとDAZZLEが「バラーレ」で共作するきっかけは、昨年の鼓童のイベントリハーサルだったそうですが、まずDAZZLEのどんな部分に魅かれたのでしょうか?

 

玉三郎 力強さや、鋭角的で、がむしゃらなところも含めて、いい意味でなりふり構わないエネルギーを感じました。“力強さ”とはなんでも言えるんですが、荒削りとも言えない、なんと言いましょうか・・・今現在の若者から自然発生的に生まれたダンス分野としてのエネルギーですね。そういったものにあまり私たちは触れないので、それを強く感じました。オペラ、コンテンポラリーなど劇場用に長い歴史を踏んで練り上げられた、古典的なものには触れますが、コンテンポラリーでもヨーロッパの場合はクラシックから転じたものが目の前に出てくるので、自然発生的と言うよりも、もっと芸術を創る思考が先にあります。そこにもエネルギーは感じるんだけれど、どういうアートとしてのポジションを得られるか、その思考を見せられるので、僕にとってはストレートに見れないのが今のコンテンポラリー界です。DAZZLEさんは、この間の鼓童で共演するということで、映像を見て勉強し、ある程度どういう動きをするかとか、どういう思考を持っているかはわかりました。

 

TDM
どういう印象でしたか?

 

玉三郎 「何にもとらわれないで、一緒に創れそうだな」という印象でした。 きっと、彼らがその場で考え、創成期から試行錯誤してきた方法だから、その同じ方向性で入っていけば、共に試行錯誤できる。形式を取っ払って、ストレートに創るというところと混じりあえるかなと感じました。たとえば、創る時に、私の方法とあなたの方法とがあり、その方法を理解した上で話すことがあります。しかし、それが何重にもなっていくと、真髄を話すまで、思考をこっちにも向こうにも何重にも超えていかなくてはいけない。もし、クラシックバレエと創る場合、いちいち「これは、いつの時代のこの楽曲のあの振付のあそこからきているものです。」「私は歌舞伎俳優なので、こういう面から申し上げています」といった会話になってしまうでしょう。嫌味でもなんでもなく、それは当然な会話です。ところが、DAZZLEさんの場合は、結成以来の一貫した関係なので、すぐに互いに真髄の話ができます。世界のトップのクラシックダンサーって、他人から「おかしい」と言われたら「私はここがおかしいのね」と理解して、自分なりの様式でピチッと直してくる人たちが多いです。そして、すごくビビッドだし、どんなに、長い歴史のあるクラシックの訓練を受けていようとも、「おかしいものはおかしい」と思えた人が、超一流のダンサーになっています。トップの俳優もそうです。相手がマニュアルでしゃべる時はマニュアルでしゃべるけれども、直感で「おかしい」と言われたらすぐに直します。僕たちの先輩でトップだった人も、他人が自分のことをなんと言っていたか気にかけていました。僕はそういう人に出会ったので、そういうレベルでしゃべれる人とじゃないと、ものが創れないです。

「効率よく体を動かし、音楽性とドラマ性を身につけるべし。」次のページヘ

 

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