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DANCE DANCE ASIA特集 吉岡憲彦氏(国際交流基金アジアセンター)

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近年、舞台でストリートダンスを見れる機会が増えている。一般と企業からの注目を浴びるようになった時代の流れから誕生したとも言えるプロジェクト『DANCE DANCE ASIA -Crossing the Movements』(以下、DDA)。2020年までの継続事業として国際交流基金アジアセンターと株式会社パルコが主催となり、ストリートダンスをキーワードに活動するダンスグループやダンサーのアジアにおける交流と共同制作を支援している。来る11月23日(月)には東南アジアと共同制作の舞台「A Frame」を実施するにあたり、DDAプロジェクトの仕掛け人の1人・国際交流基金アジアセンターの吉岡氏に話を聞かせてもらった。舞台制作そして、DDAに注目する人に読んでもらいたいロングインタビュー。

 

  • 吉岡憲彦(国際交流基金アジアセンター文化事業チーム長補佐)

早稲田大学第一文学部卒。バンコク日本文化センター勤務、タイ王国チュラロンコーン大学大学院(国際経済学)、ベトナム日本文化交流センター副所長を経て、現職。現在は主に舞台芸術分野におけるアジアとの交流に従事し、「ダンス・ダンス・アジア」、「アンサンブルズ・アジア」等を担当。共著に『アジア映画』[2003(平成15)年]、翻訳にプラープダー・ユン(タイ人作家)『地球で最後のふたり』[2004(平成16)年]、『座右の日本』[2008(平成20)年]など。

 

DDAがはじまった理由 

TDM まず、国際交流基金という団体について、教えてください。国の機関というイメージですが・・・?

 

吉岡  
yoshioka_p02国際交流基金は、外務省所管の独立行政法人で、世界各国・各地域との国際文化交流を実施する専門機関です。国際交流基金の活動資金の多くは、日本政府からの交付金で賄っているのですが、具体的な事業の企画は、自分たちで立案しています。また、「基金」としてファンドをもっていて、それを運用したり、各企業や団体から寄附金をいただいいたりもしていて、それらも活動資金の一部としているので、イコール「国」というわけではなくて、公的(public)な機関といったほうが正確です。日本の公的機関なので、国際文化交流といったときに、まずは、海外に日本のことをもっと知ってもらいたい、理解してもらいたいという方向性があって、主に、日本の多様な文化芸術の紹介や海外での日本語教育・日本研究の支援を行っています。ちょっと大雑把な言い方になってしまうかもしれませんが、一般的に、人間関係においては、相手に対する無知や無理解が、相手に対する恐怖心や極端なイメージ・ステレオタイプを生み出してしまうことがあると思います。国際関係においても、ある国に対して人々がもつイメージが重要で、私たちの仕事でいえば、日本に対するイメージや理解をより具体化していって、できれば高めていきたいという思いがあります。もちろん、知れば知るほど嫌いになることや、現実を知る前のほうが良いイメージだった、ということもあると思いますが、それでも、国際文化交流を通じて、お互いの等身大の姿や考え方などを理解したり感じたりすることが、より良い国際関係を生み出していく土台となると信じて、日々、活動しています。

 

 

私が所属するアジアセンターは、2014年の4月に発足しました。2020年のオリンピック・パラリンピックの年までの部署なのですが、それまでのあいだに、距離的にもより身近なアジアの人々と、国際文化交流と協働を通じて、お互いをよく知り、文化的な創造性を発揮していくことを目的として、様々な活動を始めています。最後は、「人」というか、多様な文化をともに楽しめる輪や、共感が国を越えて個々人のあいだで広がることが理想ですね。

DDAについては、アジアとの国際文化交流を進めていこうと考えていたときに、ちょうど、ストリートダンスをベースとした舞台芸術の可能性を模索しながら、良質なエンタテインメントを創造していき、ダンスシーンを盛り上げていきたいというパルコさんの話を聞き、そのような国内的な動きとアジアとの交流を連携させて、日本にとどまらず、アジア域内で盛り上げていき、国際レベルの作品の創造へとつなげていくことができれば素晴らしいのではないか、ということで、主催者間での想いが合致し、このプロジェクトがはじまりました。

 

国際文化交流でストリートダンスシーンを盛り上げる 

 

 

吉岡
 “国際文化交流”に関わって、常日頃から各国のカルチャーシーンを見ている者として、いつも感じるのは、どの国のカルチャーも、その国だけでドメスティックに考えていたり、ある特定ジャンルの中だけで考えていると、どんどん狭い所に入り込んでしまうということです。それがまた、深みを増すというメリットもあると思いますが、逆に、狭い所に入りすぎて出てこられないというか、視野が狭くなって大きな飛躍のチャンスを逃しているように見えることもあります。ストリートダンスについても、テクニックをストイックに追求すればするほど細かい動きの勝負になっていって、一般の人には、わかりにくくなってしまいますよね。それによって、あるジャンルのテクニックの精度や高みが極まって洗練されていくというのがあるかもしれませんが、ダンスそのものの可能性は、ジャンルや狭い所に縛られないところにも開かれているはずです。そこで、「異化作用」というか、ジャンルを横断してみたり、違う分野の方と交流してみたり、さらには、まったく異なる文化環境のダンサーやクリエイターと交流や協働してみたりすることで、あるカルチャーにダイナミズムを持ち込み、新たな可能性を開いていくことができるのではないかと思うのです。DDAでは、そういった「異化作用」を、アジアとの交流・協働を通じて仕掛けていき、新しいものを生み出していければと考えています。例えば、韓国の映画やK-POPなどは、はじめから自国内だけでなく、アジア域内に売り出していく前提でクリエーションしていて、相対的に視野が広いですよね。そのためには、アジア各国のマーケットやシーンをよく知っている必要もあると思いますが、日本においても、「日本一になろう!」というだけでなく、アジア域内や世界を最初から視野に入れてみると、また違ったアイデアや発想が生まれてくるのではないかと思います。ダンスでいえば、コンテンポラリーダンスは、早くから国際文化交流の世界に積極的に飛び出して、異ジャンルとの交流も多く、日常の仕草や振舞い、言葉が舞台にあがってきて、「これはダンスと言えるのか?」といった究極のところまで突き詰めたおもしろい作品がたくさん出てきていますが、一方で、特に日本においては、ジャンル的な枠の袋小路に入ってしまった感があるように思います。 

ストリートダンスについては、私自身は、最近になってシーンを見はじめたばかりで、まだ一部しか知らないのですが、とてつもなく大きなシーンであると感じる一方で、閉じられたシーンである印象も受けています。同じストリートダンスなのに、別のジャンルのダンサーのことは、意外に知らなかったりする。あるいは、「ダンサー」といって共感しうる範囲に、コンテンポラリーダンサーは入っていなかったりする。これは、日本にいる限りは、ある程度、当然じゃない?と思うものかもしれないのですが、例えば、ベトナムでは、国立バレエ団のダンサーとBBOYが、同じ「ダンサー」として切磋琢磨したり、同じ舞台に立つこともあって、お互いをよく知っていますし、インドネシアでは、伝統舞踊とヒップホップを断絶なく受容し、等しく吸収したダンサーがいたりします。

 

こういったことを国際文化交流を通じて、ジャンルに関係なくいろんな人やダンサーに知ってもらって、大きな刺激を受けて、飛躍してもらえたら嬉しいなと思います。

 

 

■ストリートダンスから受けた衝撃と期待

 

吉岡 ストリートダンスシーンを知ったのは2014年のEN DANCE STUDIOの発表会でした。はい、あれは衝撃的でした。あれがなかったら、ここまでやる気になったかわからなかったですね(笑)。あの時、ストリートダンスで独自の世界がある作品をいくつも見て、会場には特定のファンがいたり、声援を送っていたりしている人がいて、舞台を盛り上げるという意味で、歌舞伎の掛け声みたいだなと思いました。とにかく、ひとつひとつの作品がすごくおもしろくて、映像もしっかり使っていて、お客さんもすごくいっぱい入っていて、チーム毎に全然スタイルが違っていました。お客さんによって見るスタイルも全然違って、帽子をかぶったまま見ていたり、お洒落な美男美女も多かった(笑)。普段、比較的よく足を運ぶ演劇やコンテンポラリーダンスの客層とは、明らかに違って、ストリートダンスシーンの特徴なのかな、と思いました。ダンスのレベルが高くてキレが良いだけでなく、ひとつの世界観を提示していたり、独特の振付があったりする作品を見て、これは、東南アジアのお客さんやダンサー達も、きっと楽しんでみてくれるに違いないし、私が知らないだけで、逆に、きっと東南アジア各国にも同じように面白い作品を発表しているダンスグループがあるに違いない、と思いました。とにかく、ワーッと爽やかに楽しむというのが爽快で、このストリートダンスシーンのアジア域内の交流は、ある層に確実に共感の輪を広げてくれるもになるだろうと感じました。
一方で、せっかく、ある一定の層で共有されていて楽しまれているものを、わざわざ別の文脈に持ち込んでいくことの不安もあります。特に舞台作品として洗練されていくことを考えたときに、ストリートダンスの持つエネルギー、ストリートから生まれたダイナミズムがそぎ落とされて、牙のないライオンのようになってしまうかもしれないですし、せっかく仲間内で喜ばれていたものが、別の文脈では批判されてしまうということもあるかもしれない。それでも挑戦してみるだけの価値があると思わせるものが、これまで見てきたストリートダンス作品には、ありましたし、同じように挑戦していこうというプロデューサーや演出家、振付家、ダンサーの方々と、アジア域内でネットワークを作って、頑張っていきたいと思っています。

 

 ■アートとエンタテインメント、両方を突き抜けてほしい

 

TDM 演劇やコンテンポラリーと、ストリートダンスのシーンにおける作り方の違いを何か感じますか?

 

 

吉岡 ストリートダンスは、プレイヤーとして楽しむ人と、オーガナイザーとしてバトルやコンテストやイベントを企画する人は世界的にも多くいるようですが、日本では、舞台作品として企画するプロデューサーがあまりいないように感じています。また、特定のダンサーと組んでグループとして活動している団体にしても、マネージャーや制作スタッフがいるグループは少ないですよね。リーダーがダンサー兼振付師で、窓口にもなっている団体が多いですね。仕事量が多い団体は、必然的に制作チームができると思いますが、今は、あまり分離してないチームが多い様に感じます。今後のストリートダンスを盛り上げて行こうと思うと、そういう組織作りはもっと必要になってくると思いますし、客層を広げていくうえでは、作品としてのレベルを上げていくために、演出力や構成力が、これまで以上に必要になってくると思います。どの文化芸術の分野であっても、世界レベルで突き抜けているクリエイターは、アートとエンタテインメント、その両方の良さを兼ね備えた作品が提示できていると思います。例えばマイケル・ジャクソン、ビートルズ、アートで言えば草間彌生さん、村上隆さん、漫画家の手塚治虫さん、藤子不二雄さん、作家の村上春樹さんとか、玄人から評価され、一般の方から愛されたうえで、圧倒的に売れている。売れるし、最先端みたいなクリエイターが必ずいると思うんですよ。どちらかで一番というのもいるんですけど、結局、両方兼ね備えている人が一番すごいことになることが多い。どちらかを毛嫌いするのではなく、自分の表現としてのアート性を大事にしながらも、エンタテインメントとして、お客さんを楽しませることも考える。それが両立しない表現というのもあって、その大切さも理解していますが、個人的には、その両立を意識しているクリエイターに関心がありますね。

 

 

TDM 今はいろいろDDAを通して日本のストリートダンサーと会う機会が増えていると思いますが何か、意識のアドバイスはありますか?

 

 

吉岡 食わず嫌いをしないことでしょうか。私はストリートダンスのジャンルをあまり知らずに作品やショーに接しているので、ときどき、ジャンルへのこだわりが不思議に見えてしまうんですよね。今は情報量が多いなかで、自分で検索して情報を取捨選択できてしまうので、うっかり関係ないものを目にしてしまう偶然性は、かえって狭まっているのではないかと思います。それでもあえて、可能な限り、偏見なく別のジャンルや分野の情報に触れてみると、思わぬところで視野が広がったり、自身の活動を客観視することができて良いと思います。そうすることで、メタ視線が得られるというか、同じ格好良さを追求していても、「どうだ!」とドヤ顔になってしまわない一段上のレベルが得られるのではないかと思います。

 

■2020年まで続くDDAの1年目を振り返って。

 

TDM DDAが企画としてちょうど1年経ちましたが、1年間やってみて吉岡さんはどのように見ていますか?

 

 

吉岡
yoshioka_p03おもしろいですよ。私自身はまだまだいろんなダンサーがいるんだなと学んでいる途中です。でも、何度も見ていくうちに、あるダンスグループや振付家のスタイルがわかってきちゃうと、それを超えてくれという、見る前からの期待値があがってしまって、ハードルはどんどん上がってしまうのですよね。第一印象は皆「ワッ!」となっても、第二印象からはそれを超えなきゃいけない。それがすごく大変になっちゃうんだろうなと思いながら、でも、その挑戦をサポートしたいと思っています。それから、出会ったアジア各国のダンスグループが、どれも素晴らしく、ファッションセンスから舞台上での表現の仕方まで、日本が学べることもたくさんあるなと思いました。これまでのところは、今あるダンスグループの作品を紹介するところにとどまっていたのですが、今度の「A Frame」公演では、oguriさん、ジリアンさん、スズキ拓朗さんという複数の眼とセンスで演出が入り、かつ、ダンサーも、日本とアジアの90年代生まれの若いダンサーが入り混じっての創作に挑戦しています。ダンサーのテクニックが素晴らしいのは、もう当たり前。それだけでも楽しめる作品になると確信していましたが、リハーサルを見ていて、演出上の筋が通っているというか、場面転換にも工夫が凝らされていて、トータルに舞台作品として見られるように昇華されていると感じました。今から本番の公演を見るのが楽しみです。

 

TDM DDAプロジェクトは2020年まで続きますが、そこには何か意図があるのでしょうか。

 

 

吉岡 2020年は、オリンピック・パラリンピックの年なので、そこに向けて文化的に盛り上げていくことに少しでも貢献できたらという思いがあります。DDAに関わる公演は、日本国内だけでなく、アジア各国で開催されていくことになりますが、2020年には、世界各国から、いろんな国・地域の方が日本を訪れることになると思いますので、DDA日本公演も、多くの方に見ていただけたらと思っています。そこで芸術性を兼ね備えた良質なエンタテインメントとしてのダンス公演が紹介できたら良いなと思いますし、自主企画だけでなく、DDAに関わってくださった各ダンスグループ―そこにはアジア各国のダンスグループも含まれますが、多様な公演をそれぞれに開催していて、それらをお客さんが面として楽しめるような状況が生まれていたら、それこそ本望です。また、ジャンルも文化の違いも超えて、舞台芸術を単純に楽しめるような状況が生み出していけたらと思います。

 

TDM
2020年までに、DDAをどういう所まで持っていきたいかというのはありますか?

 

吉岡
公的機関による支援は、どちらかというと芸術性の追求や伝統文化の保存などに重きが置かれがちですが、マーケットで成立するとされる商業的な演劇やダンスにしても、放っておくと、知名度優先主義で企画が組み立てられてしまって、コンテンツとしては先細りだったり、ワンパターン化されたものが量産されてしまう傾向にあるように思います。
それは、すごくもったいないことだなと思うところがあって、DDAでは、両者をつなぐというか、ストリートダンスという「芸術」のイメージから、かけ離れたところをベースとしながら、ハイカルチャーの文脈にもっていくということではなく、しかし「新しさ」という「芸術性」を兼ね備えた良質なエンタテインメントを提案していければと思っています。11月23日に開催する「A Frame」は、ひとつの試みですが、見てくださったお客さんや評論家・専門家の方々、また、関係者の意見や批評も参考にしながら、新しいものが生み出していければと思っています。そして、それらが評価されて、「うちの国でも上演したい」、「うちの劇場でもやりたい」、「コ・プロダクションに関与していきたい」というプロデューサーや団体が出てくるところまでもっていけたらと思います。
アジアとの交流でいえば、日本の皆さんに、もっとアジアへの関心を向けてほしいなという思いもあります。アジア、なかでも東南アジアの方々は、基本的に、日本へも大きな関心を寄せていて、いろんなことをよく知っています。逆に日本人である私たちのほうは、ラオスやマレーシアはどこ?と言われても、すぐに地図上で位置を描いたり、文化芸術をイメージしたりできるかというと、心もとないのではないかと思います。ストリートダンスで、その国の文化がわかるというわけではないのですが、DDAがきっかけとなって、ある国についての関心が高まることがあれば、それは嬉しい出来事です。実際に、2015年10月のDDA東京公演でPHILIPPINE ALLSTARSというフィリピンからのダンスグループの作品を見て、フィリピンへのイメージが変わって、興味を持つようになった、と言ってくれるお客さんも多くいて、そういうきっかけ作りになれたらとも思います。
ところで・・・・ストリートダンス界の振付家やダンサーにとって、舞台作品作りは、どういう位置づけにあるでしょうか。みなさん、関心をもたれているものでしょうか。

 

TDM
ストリートダンスシーンの中で、今、舞台はブームのひとつであると思うんですよ。新しいジャンルが入ってきた時って、皆がワッと集まるのは傾向としてあります。良い例に、バトルがありますけど、今はブームを経て、シーンではバトルは当たり前のようになっています。バトルで活躍することが一番名前を知ってもらう近道になるから。 舞台も、ダンサーの表現できる場所のひとつとして、そんなに抵抗はないと思います。ただ、舞台に興味を持ったストリートダンサーたちにとっては、個人とかチームですぐ作れるものではないので、舞台制作はちょっとハードルが高いかもしれないですね。 そう考えた時に、自分以外の才能の人たちとちゃんとつながって、仲間とダンス+αな作品を見せられる現場が増えていくことが、今ストリートダンスに求められている表現のひとつですし、新しいダンサーの生き方として、チャレンジしないといけないのかなと思ってやっています。

 

吉岡 舞台作品づくりに賛同してくれる人とは、一緒に盛り上げていきたいですね。舞台化の方向性はいろんな可能性があると思うんですよね。各グループによって、舞台化していった時の方向性は、必ずしも同じ方向ではないと思うので。個人的には、インターナショナルフェスティバルみたいなのに呼ばれて、しかも、受け入れ国が全部お金を出して招待されるとか、または、もっとローカルなコマーシャルシアターとかで日本のダンサーが振付家として呼ばれて、現地のグループと一緒に創るとか、何かそういうつながりが作れたらおもしろいなと思います。でも、ソロで活躍しているダンサーの方々は、みなさん、やはりバトルやショーが中心で、あまり舞台作品づくりには、関心が、ないでしょうか。あるいは、「A Frame」公演のような作品を作りましょう、と声をかけたら、みなさん、集まってくださるものでしょうか。

 

 

TDM 今年のASTERISKは個人のダンサーにも多く出演してもらったので、意図に近いと思うんですよ。それが、DDAでの公演となった場合、まずどういう規模でできるのか、どういう所でできるのか、それが自分たちの生活にどういい影響をしてくるのか、どんな作品を作るか、がクリアになっていけば、いいモチベーションで出てもらえると思います。

 

 

吉岡
ASTERISKは、2014年と2015年と拝見しました。ダンスのキレが素晴らしくて、どちらも世界観のある舞台だったなと楽しめた一方で、ストーリーの展開やダンサーの演技や所作に対する演出は、もっともっとレベルを高めることができるポテンシャルがあったのでは、と感じました。とにかくダンスが見たい、あるいは、○○さんというスーパーダンサーのたたずまいを見るだけで、もう最高、と思える人にとっては、本当に満足のいく内容で、実際、多くのストリートダンスファンの方々が満足されていたと実感しましたが、さらに幅広い客層を巻き込んだものへと展開していくことを考える場合には、もっともっと、いろいろな可能性を試していくのが良いだろうと思いました。例えば、出会いと別れについて、身体表現だけでも、さまざまな方法で見せることができると思いますが、そこにいたるエピソードやストーリーについては、ストーリーテリングに長けた脚本家の方が入るとか、そういうシーンの演出には、演劇の演出のプロが入るとか、そういった可能性も追求してみたら面白いのではないかと思いました。あるいは、そういった方向性は、DDAでも試してみることができるかもしれません。ASTERISKや、今回の「A Frame」ほどの規模でなくても、おもしろそうな組み合わせがあれば、クラブなどの小さなスペースで、まずは実験的に試してみるということもありえるかもしれません。そうなってくると、そういうことを面白そうと思って、仕掛けてくれるプロデューサーやオーガナイザーがもっともっと必要となってきますね。そういう方が出てきたら、私たちも、資金提供者として応援したくなってくるかもしれません。

 

表現の次のステップへ。前向きなエネルギーをサポートしたい。

 

TDM 実際に今年、DDAをアジアで開催してみて、出演ダンサーたちは、純粋な反応が来たことに対して感動が一番大きかったようです※。また、昨今の東京で感じる観客からの批評的な姿勢では見られていないのが新鮮という声もありました。
※インタビュアーAKIKOは運営スタッフとして、DDAツアーすべてに同行。

 

日本は良い意味では、先人たちが作り上げたシーンがあるので、東南アジアの若手同世代のダンサーたちの環境かなり違いがあると思います。日本のダンサー達が受ける刺激も全然違うと思います。 私自身DDAのスタッフとして携わって来て、今感じることは、今後の交流として、文化的な視点を持つことと、東南アジアの環境も含めて理解していきながらサポートできたら、良い結果に結びつくと思います。 また、吉岡さんのような考えや感覚を持った機関の方々が動いてくださることも、本当に大事だと思うので、いろんな壁はあったとしても、ダンサーができるだけ困惑しないように、ちゃんと乗り越える過程をスタッフも一緒に歩んでいけたらいいなと思います。

 

 

吉岡
パブリックな機関として関わるからには、開かれたものになっていくように工夫したいと思っています。ストリートダンス界の皆さんにも、積極的に新しいことに挑戦してもらえたらと思いますが、その際に、食わず嫌いをしないというか、狭い所に落ち込んでしまわないように注意して、業界としては、それはないよとか、格好悪いよ、と思われていることであったとしても、まずはやってみる。そういったことに偏見なく挑戦できる方々を応援したいですね。今すでに格好いいと思われていることを表現するだけでは、フォロワーでしかないですからね。でも、もちろん、何であれ、最初は真似から入らざるを得ないし、こなれるまでは、なんとなく不格好に見えてしまうこともあるかもしれないけれど、ストリートダンサーの皆さんは、ほんと、歌舞伎役者というか、歌舞く、格好よくあることに対して貪欲で、すごいエネルギーを注ぎ込んで自分のスタイルを作っているので、すごくポテンシャルがあると思います。ダンサーの活躍の場を広げて、シーンとして盛り上げていこうと考えているストリートダンス関係者の皆様の考え方には、とても賛同しています。国際交流基金として支援できることは、とても限られていますが、とにかく狭いところで考えないで、広く深くしていくことに、文化交流という接点を通じて、貢献できたらと思っています。特に、例えばバトルにしてもコンテストにしても、もう、やるところまでやって飽きちゃったなというか、ダンサーとしてのステップとして、次のステップを模索したいなと思いながらも、なかなかこう、「こなす」仕事で埋もれてしまって、十分に考える時間がとれない、でも、もっと表現や可能性を試してみたいというガッツのあるダンサーの皆さんを応援したいですね。そこの岐路が一番大変なところではないかと思いますが、お友達とかスクール仲間からの評価だけでなく、演劇関係者が見たら、どう思うだろう、とか、アジアの人が見たら、世界の人が見たら、どう思うだろう、という具合に、評価されうる対象を広げていって、自分の表現の可能性を追求してみたときに、大きな飛躍が待っているというポテンシャルのあるダンサーやダンスグループは、本当にたくさんあって、まだ眠っているのだろうと思っています。

 

迷うなら、やってみましょうよ。

ということで、これからもDDAを多くの方と一緒に盛り上げていけたらと思っています!

TDM
はい!今日はありがとうございました!

 

interview by Akiko and imu

’15/11/21 UPDATE

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