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U-KI

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2002年にスタートしたイベントプロジェクトチームfeelin’が手掛けるSOULダンスラバーの遊び場「SOUL STREET」が先日記念すべき100回目の開催となった。「自分たちの居場所を作るために始めたイベントが、今ではみんなの居場所になっていた」と穏やかな表情で語ってくれたのはfeelin’代表のU-KI氏。2006年以来、TDM2度目の登場となった彼に、これまでを振り返ってもらい、今感じていることを聞いた。同じダンス・音楽好き同士が、世代を超えて仲間になっていく。これからもそんな光景がSOUL STREETで続いていくだろう。

 


 

  • U-KI
    熊本県出身。ダンサーとして32年のキャリアを持つ。熊本ダンスチーム“Jet’s”経てYOSHIBOW率いるストリートダンス界のカリスマ的チーム“BE BOP CREW”でダンスを学ぶ。その後東京へと拠点を移し、Feeling Classics・BREAKYDElic・THINK・The Alphabet Kidsなどで活動現在はダンサーとしての活動をこなす傍、FEELIN TOKYOの代表として、日本初ストリートダンス世界大会『WDC』を始め、様々なダンスコンテンツをプロデュースし、若いダンサーたちのフック&バックアップを積極的に行なっているキーマンの一人である。
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ただ同じ音楽やダンスが好きなんだから仲間でしょ!

 

TDM:2002年にイベントプロジェクトチームfeelin’を立ち上げて、同年「SOUL STREET」、「SUPER FRIDAY」、「FUNKY CHIKEN」を始められたんですよね。SOUL STREETに関しては、先日100回目の開催、おめでとうございます!!

 

U-KI:ありがとうございます。基本的に開催ペースを変えずに続けてきたけど、地方で行った番外編なども含めて、数えてみたらちょうど100回になったね。2か月に1度だから、SOUL STREETに向けた動きが日々のルーティンになっていて、特別大変ってわけでもないよ。最近は自分たちが動かなくても、すずきゆうすけ、Mizuki、小幸、9stepper’z、Cloud Nine.、Air’s Circusとか後輩のダンサーたちとのつながりがしっかりできているし、みんなが盛り上げてくれるから楽だね。

 

こういう関係性ができたのはきっと、俺たちが先輩方とつながっているのを後輩たちも見ているからだと思う。俺たちは71歳の大先輩・江守さんをいまだにシーンに引きずり出してショーに出てもらっているからね(笑)。イベントでキッズダンサーと江守さんが同じ空間にいるなんて、最高じゃん。でも、後輩のことを俺たちが面倒を見ているつもりもないし、向こうも見られているつもりもない。ただ同じ音楽やダンスが好きなんだから仲間でしょ!という感じ。これはBe Bop Crewや九州の先輩たちから教わったこと。

九州の先輩たちって、お節介だし、人間味があって、かっこ悪いところも平気で見せちゃう人が多い。俺たちが若い時に、YOSHIBOWさんたちが「この音楽が好きだー!」って騒ぎながら酔っ払っている姿を見て、「この先輩はデタラメだなー!」と思っても、でもそれがなんかかっこよくて、そんな力抜けていているところが安心するというか、愛しちゃうんだよね。

 

今でも俺たちの心にしっかり残っているし、それが自然に若い奴らにも伝わっていて、そんな姿を見せ合う関係だから親近感が湧くし、クラブでたまたま会うだけの関係じゃなくなってくる。でもこれは1人じゃできないことで、SETO やNABE、YUKIさん、HIROSHIさん、RICKYさん、KIRKさん、YOSHIEとか、九州の仲間や先輩が集まってくると自然とそうなる。同じジャンルのダンスや音楽好きな仲間たちと出会って一緒にいて楽な人たちといつもいられている。みんなのおかげなんだよね。

 

 

YouTube出てこないような、斬新なダンスがあった時代

 

 

TDM: もともとSOUL STREETを始めたきっかけは?

 

U-KI:SOUL STREETのはじまりは、自分たちの居場所を作るため。上京した時、東京にはSOULやLOCKのダンスがメインになれるシーンがなくて、肩身が狭いように思えたんだよね。自分たちもイベントではゲストでは呼ばれるけど、主役ではなかった。だから、自分たちのスタイルが主役になれる居場所を作りたかった。ここなら、俺たちのスタイルがいつでもトリになれるし、それは今でも変わらない。

 

 

この間の100回目のSOUL STREETを見て、SETOとNABEと話したんだけど、自分たちの場所を作ったはずが、いつの間にかみんなの場所になっていたなって。SOUL STREETに集まるみんなが主役。ゲストで呼んだ九州の先輩たちにもアウェー感を感じることなく踊ってもらえたしね。それは嬉しい発見だった。

 

今では、SOUL STREETはキッズから俺たちの先輩まで、世代間交流もできる場になっているよ。キッズには先輩たちの踊りの何がすごいのか、かっこいいのかをちゃんと伝えていきたい。世代が変わるとその良さがわからなくなるから。経験や知識が足りない状態で見ても伝わらなくて、知識をつけて見てみるとすごさがわかったりするしね。

 

 

日本でストリートダンスの発祥というと、原宿のホコ天からHIP HOPが始まったとよく紹介されるけど、その前には、ディスコという文化があって、その時に踊られていた踊りも多くあったんだよね。江守さんは1974年にネッシーギャングという日本で最初のプロストリートダンサーとして活動をはじめたファースト世代。HIP HOPが始まる前の当時の東京のディスコではどんなダンスが踊られていたか情報があまり伝わってないから、ここ1年くらい、江守さんと週1回練習会をしていて、俺たちが当時の話を聞いたり、流行っていたダンスを教わって後世に残す活動もしているよ。江守さんも残しておきたいと言ってくれていて、伝えてくれている。DOWN TOWN BOUNCEや小幸たち若い世代もそういうものを体験して吸収して、自分のフィルターを通して発信しようとしてくれるんだけど、それがまたいい感じになるのよ。当時の今とはまったくちがう概念のダンスを、今の若い人たちが体感すると、最初は伝わらなくても見る力や感じる力が備わって、そこのかっこよさを感じられるようになるから。

 

Ai EMORI & 小幸

この作業は、流行りの音楽や新しい振付に向かわずに、逆に古いものに向かっているんだけど、そこはとても深い所で、めちゃくちゃ面白いんだよ。ダンススタジオもない時代、ダウンもアップも習うこともなく、我流でやっていた人たちが、見様見真似で覚えたダンス。江守さんから聞いた話だと、東京のディスコはジャズ喫茶から発展したらしく、その当時に踊られていたダンスはステップがアシンメトリーだったり、8カウントで収まるはずのステップがなぜか10カウントあって、それをループするから、ずっとズレていくといった動きだったり、今の感覚で見ると「うそでしょ!」っていう動きが、常識にとらわれていなくてかっこよく見える。今の人たちにはフレッシュなんだよね。YouTubeにも出てこないようなダンスがいっぱいあるわけよ。SOUL STREETではそういうダンスを伝える場にもなっているよ。

 

■世代やジャンルをつなげていかないと、何もムーブメントが起きない

 

TDM : では、2009年に始められたバトルの世界大会World Dance Coliseum(以下、WDC)のコンセプトは?大規模なイベントですが、これまでに大変なことはありませんでしたか?

 

U-KI


もともとのコンセプトは「日本 対 世界」。ダンスに国境はない。海外からダンスイベントや大会が来ることもあるけど、そうじゃなくて日本のフィルターを通して世界に発信したかった。あとは、海外に行かなきゃ見られないような世界レベルのバトルを日本でやりたかったんだよね。

 

おかげさまでWDCも来年で11年。世界中のバトルに興味があるダンサーにはある程度知られるようになったと感じるよ。最初は、俺たちが見たい海外ダンサーを呼んでいればいいと思っていたんだけど、日本人は、海外ダンサーのことを知らない人も多くて、そうなると、集客面で経済的に厳しくなったり、そこがすごく大変だったかな。今となっては、どこでも海外のダンサーが見られるようになったけど、WDCをはじめた10年前にはなかなかなかったから、世界中のダンサーが一堂に揃う機会になってよかったと思う。

 

印象的だったのは、GOGO BROTEHRSの2人が第1回目のWDCに出てくれた時に、審査員にBrian Green、TONY GO GO、SHAN’S 、Suga Popと、各ジャンルのレジェンドが並んでいたんだけど、GOGO BROTHERSが踊り出した瞬間にTONYさん以外のジャッジが全員カメラを構えたんだよね。こんな光景あるんだ!とびっくりした。GOGO BROTEHRSって日本人だけど、彼らのすごさを改めて実感したし誇りにも思ったね。

 

TDM:U-KIさんとSETOさんとNABEさんで、東京に九州のダンサーの居場所を作ったんですね。

 

U-KI

そうね、彼らと一緒に作って来たね。SETOとNABEと30年近くずっと一緒にいるけど、酒癖悪いし、時にめんどくさいし(笑)、でも奴らは最高なんだよね。家族みたいな感じ。イベントやスタジオ運営を支えてくれるしっかり者のスタッフたちもいて、俺のクルーはその誰か一人欠けてもダメ。みんなで作っているから。何事も人って大事だよ。何をやるかじゃなくて、誰とやるかだからね。

 

SOUL STREETみたいな交流ができているのは、LOCKやSOULダンサーたちは、ある意味、人間くさい人種だからかもしれないけどね(笑)。でも、世代間交流は大切だと思うんだよね。俺たちアラフィフ世代が20歳の子とダンスを楽しく共有できるなんて有難いよ。ここまで、続けてきて良かったなと思う。

 

ダンススタジオ本当に大好き。愛してる()

 

TDM : 最近は、イベントオーガナイズのほかに、Millennium Dance Complex Japan(2014~2016年)やblue DANCE studioなど、ダンススタジオの運営にも関わってらっしゃるんですよね。

 

U-KI

うん、ダンススタジオって本当に大好き。愛してる(笑)。スタジオにはダンス愛しかないじゃん。ダンスのイベントもそうだけど、ダンスを好きな人だけが集まる空間なんて、悪い気は何もないし、ハートフルだから大好き。居心地が悪いはずがない(笑)。ダンス好き同士が触れ合って、違う職種や世代がダンスを介してつながっていくのも素敵だよね。だから、ダンススタジオの運営に関わるのは俺の性に合っていると思う。クラブシーンも好きだけど、スタジオ発表会がダサいとも思わない。「いいじゃん!みんなステージに立たせてあげようよ!」って思うよ。初心者でもダンサーじゃなくても、日々が幸せに豊かになるなら何でもお手伝いをしたいんだよね。

 

スタジオ運営に関しては、コンセプトがWDCとはまったく逆。バトルとかをやっていると、中途半端に踊っているダンサーは相手にしない生き方に見えるかもしれないけど、あれはあれ、スタジオはスタジオ、それぞれの良さがあると思う。先生たちや生徒たちがこうして欲しいという一つ一つの希望を叶えていく作業が楽しい。スタジオに来てくれる人に喜んでもらいたいし、楽しませたい。シンプルに、それが楽しいからやっているかな。

 

 

自分を信じてやりたいことを振り切ってやって欲しい

 

 

TDM : これからのご自身の展望は?

 

U-KI:俺たちがバトルに出ることはしないし、もうバトンを次の世代に渡している。すずきゆうすけ、Mizukiといった現場のキーマンたちがイベントを実際に動かしてくれているよ。彼らには「自分たちで考えてどんどん発信してやりたいことをやってくれ。俺たちはそれをサポートするから、どんどん提案してみな。」って伝えてる。若い子たちに向けて、こうあって欲しいというものはなくて、彼らのやりたいことを俺たちの経験を通してどれだけサポートできるかを今はやっているし、やっていきたい。

 

あとは、5年くらい前から地元・熊本で「ZEN」というスタジオの顧問もやっていて、そっちも継続的にやっていきたいね。俺が生まれ育った町で仲間もたくさんいるし、俺の生徒たちがインストラクターをやっているんだけど、YUKIさんやPEETさんのワークショップもやったりして、熊本でもいろんなダンスが習えるような環境を作っている。

 

あとは、10代のダンサー向けのWEB「DanceFact」の監修にも関わっていて、いろんな発見があるよ。今は、ダンスシーンの現場で有名じゃなくても、SNSのフォロワーが多い若い有名ダンサーが沢山いる時代。悲しくもメディアは何事も数字で判断してしまうから、そういうダンサーに注目が集まる。最近はワークショップに参加者を10人集めるのも大変な時代なのに、フォロワーが多いダンサーは100人くらい呼べるんだよね。

 

あと、最近の若いダンサーは中国に呼ばれているね。中国でのダンスビジネスは日本の10倍くらいと言われていて、ダンス番組も4つもある。中国のイベントで1度でも名前が売れれば、ワークショップに呼ばれるし、大きなビジネスチャンスになるからね。SNSのフォロワーの多さに実力が伴っているダンサーばかりではないけれど、いいダンサーのSNSはよくチェックしているよ。これからもメディアに必要とされるダンスと、現場のダンスシーンは別で発展していくだろうね。すごい時代だなって思う。

 

TDM:最近のU-KIさんおすすめのダンサーはいますか?

 

U-KI:今日のインタビューの中で名前を挙げたダンサーみんないいね。あとは、ベテランだとSI4、JUNKOO、中堅だとARANAMI、NAOSHIとか、若手だったらhinoken、CRESCENDOもやばいよ。

 

TDM :では、最後に若いダンサーたちへのメッセージをお願いします!

 

U-KI

自分を信じて、やりたいことを遠慮せず思い切ってやって欲しい。俺は好きなことだけしかやってないから。形とか気にせず、振り切ってやって欲しい。ダンサーである以上、目立つ存在であって欲しいし、今の若手を見ているともう少し振り切ったっていいんじゃないかなって思う。周りを見渡した時に、一番でたらめで振り切っているのは、やっぱりSETOやNABE。そんな彼らがおとなしく見えるくらい、早く超える奴らが出てきて欲しい。

 

あとは、12月14日の「SOUL STREET Vol.101 SOULダンサーズ大忘年会」に遊びに来てください!(笑)。毎年恒例のセーラー服コンテストは、深夜ならではの盛り上がりを見せます。ぜひお待ちしています!

 

 

TDM : 今日はありがとうございました!

 

interview by AKIKO
photo & edit by imu
’18/11/26UPDATE

 

→[関連リンク]「SOUL STREET Vol.101 SOULダンサーズ大忘年会」

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tokyodancemagazine

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