

約2~3年でダンスシーンが入れ替わっている。国内だけでもさまざまなジャンルやカテゴライズが存在し、きちんと成立している中、ストリートダンスシーンが激動の時を迎えていると言える。そんな今だからこそ、ダンサー同士が枠を取っ払って、同じ時間を共有することもまた、必要だとKENZOは語ってくれた。それを叶える一つの場が、Shibuya StreetDance Week 2017(SSDW)だろう。ストリートダンサーの聖地・渋谷でバトル好きもコンテスト好きもキッズも大人も初心者も楽しめる企画満載。今年ダンスディレクターを務める、KENZOに聞いた自身の過去と今胸に抱いている信念とは。
KENZO
福岡県生まれ。ダンサー、振付師、俳優、モデル。世界的ダンサーとして2010年から2017年にかけて前人未到8年連続世界大会優勝。国際大会での優勝や日本タイトルを持ち、その数60以上。2013年にはその実力を評価され世界大会を始め総数150回以上のストリートダンスの主要大会で審査員を任される。国内海外問わず、アメリカ、韓国、イタリア、フランス、カザフスタン、イギリス、ポルトガル、ドイツ、チェコ、シンガポール、中国、台湾、香港など世界中に20カ国以上300以上の主要都市においてパフォーマンスを行う。2008年、DA PUMP新メンバーに抜擢され、加入。以後、スタジアム、アリーナクラスでのパフォーマンスを始め、LIVE、TV番組、映画出演など活躍。振付師としても頭角を表し、DA PUMPはもちろんのこと、安室奈美恵、TRF、SPEED、back number、w-inds.、フェアリーズ、UVERworld、MISONO、MAX、パク・ジュニョ(韓国)、MY NAME(韓国)、ARIAなど、数多くのアーティストの総合演出や振付を手がける。
ダンススタジオ「K DANCE ACADEMY」主宰。教え子が中学生でダンスコンテストの日本一になるなどキッズ育成のプロフェッショナルの呼び声も高い。2014年にはダンススタジオ、振付、キャスティング、アパレル、映像制作など、ダンスエンターテイメントを中心とする株式会社Brush UP代表取締役に就任。JAPAN DANCE AWARDにて最も影響力のあるダンサーに表彰される。2017年、国内最大規模のストリートダンスの祭典「Shibuya StreetDance Week」ダンスディレクターに就任。2018年1月17日 ソロDVD「MY NAME IS KENZO」発売決定。
■KENZO「MY NAME IS KENZO」2018.1.17 on sale
http://rising-pro.jp/kenzo-official/mynameiskenzo/
■DA PUMP 「LIVE DA PUMP 2016-2017 “RED ~ live 20th ~”」2017.12.20 on sale
http://dapump.jp/redlive20th/
■様々な転機。オリジネーターからの「お前は後世にLOCKを伝えられる。」
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DA PUMPになる前からダンスシーンで活躍されてきたKENZOさんなんですが、TDMでは初登場ですね。これまでのターニングポイントはありましたか? |
KENZO | :![]() |
![]() その後、福岡から上京。福岡の時は、YOSHIBOWさん、SEIJIさん、SUSUMUさんなど、BE-BOP CREWの皆さんに習い、東京に出てからはYOSHIEさん、AKIRAさん、RICKYさん、SETOさん、佐久間さんなどに習っていました。中でも、ダンスの転機としてはRICKYさんから学んだことが大きかったです。それは「踊る楽しさ」。それまで技術ばかりを追っていたんですが、音やビートの楽しみ方や、「ダンスはこんなにも楽しくなるんだよ!」と、そのための練習方法まで教えていただきました。
たとえば、トゥエルやスキーターなど、名前の付いたベーシックな動きだけで1曲や10分全部踊り切る練習です。そうすると、その動きで遊ぶしかないので、バリエーションが広がる。決められたルールの中でいかに遊べるかが勝負になってくるし、それが楽しさに繋がります。その後、19歳でLAのダンスツアーに参加し、ヒップホップの楽しさを知り、20歳でSHUFFLE!!を結成しました。21歳の時にはアメリカでロックのオリジネーター、ORIGINAL LOCKERSのGREG Campbellock Jr.に会うことができましたね。
LOCKING SUMMITで優勝したのをきっかけに、「お前は後世にLOCKの歴史や知識を伝えられるし、それを体現できるから、それを広めてほしい」とファミリーに迎え入れてもらいました。それも自分がダンサーとしての生き方を考える転機になりました。ダンスのスタイルや音楽の聴き方も変わりました。
ファンクには「のし上がっていこうぜ!」というたくましいブラックパワーや、明るいメッセージが詰まったものが多いので、下を向いてかっこをつけて踊るのではなく、前に向かって明るいエネルギーを出して踊るようになりましたし、オリジネーターたちからは曲の世界観や、動きの意味やカルチャー性を学びました。同じ動きでも、そのカルチャー性を込めて踊らないとただの運動になってしまいますから。 |
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カルチャー性という言葉が出てきましたが、具体的にはどういう風に捉えていますか? |
KENZO | : | 基本的にダンスは自由だし、なにをやっても良いとは思うのですが、ダンスを比べるということは、絵で言うと、ピカソのムンクの叫びとゴッホのひまわりを比べてみることと同じで、比べようがないと思います。ある程度のレベルにまで行ってしまうと、両方の良さがあるし、好きなポイントは人それぞれ。ただ、ダンスにはそれぞれの動きや音楽の背景にカルチャー性があるので、それを知った上で踊っている人が本物だなと感じますね。 |
■DA PUMP加入。登ったことのない山をたくさん登れている。
KENZO | :![]() |
そして、23歳でDA PUMPに加入しました。実は、それまでに、3回断らせてもらっていたんです。最初は、デビューすることで仲間を置いていく感覚になってしまったのが引っかかっていました。1回目は丁重にお断りしたんですが、2回目でDA PUMPとしてのデビューの話だと知りました。DA PUMPはダンスのレベルも高いし、ストリートダンスシーンをフックアップしてくれているので少し悩みましたね。周囲に相談したところ、先輩方はほとんどの方が「絶対やった方がいい」という意見でした。ただ、唯一反対したのはSHUFFLE!!のメンバー3人でした。その理由は、俺自身のやりたいことやダンスしかできない俺の生き方を尊重してくれた上での反対でした。めちゃくちゃ悩みましたね。
そして、3回目、僕は断ろうと思って事務所に行ったんですが、そこでISSAくんとKENくんが待っていました。それまでにテレビ番組でお会いしたり、一緒に踊らせてもらう機会もあったので、お二人の人柄も知っていましたし、だからこそ加入には迷っていたのですが、その時は2人からいわゆる説得を受けました。「やろうと思えば、歌や、演技に挑戦してもいいと思う。どういうことをやりたい?」と言われて、僕は信念だけは伝えておかなくてはいけないと思ったので、「僕はダンスしかできませんし、ダンスしかやろうとも思っていません。それでも良ければ、グループに入ることも考えています。」と話しました。「それでもいい、お前の力が必要だから入ってくれないか。」と言われ、考えた結果、OKしました。 |
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なるほど。これまで9年間、DA PUMPをやってきて、どう感じていますか? |
KENZO | :![]() |
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■KENZO的バトル必勝法。
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KENZOさんはデビューしながらもバトルの世界大会に挑戦し、優勝されていますね。バトルに対して大事にしている事や、何か必勝法などはありますか? |
KENZO | :![]() |
![]() これは、高校生の頃にイチロー選手の考え方を知って共感したのですが、彼は年間200本安打を打ちたいと目標を立てた場合に、そのための細かい項目を出します。毎日の素振りの数、食生活の内容、相手のデータ分析、その日の体調管理、走り込みをどれだけするか・・・など、それらの項目をすべてクリアにできたときに200本安打が見える、という考え方です。だから、「バトルで優勝したい」と思ったときに、「いいダンスをすればいい」というざっくりしたイメージだけではなくて、1日何時間の練習をして、音楽をたくさん知って、ダンスのカルチャー性を知って、いろんなダンサーの感覚も知って、自分が大会で勝つ原因・負ける原因を知っていくなど、いろんなことに時間が費やされます。ただ、それでもバトルの場合、本番でかかる曲は分からないので、うまく結果に導かれないこともあります。他にも必要な柔軟性、筋力、テクニック、体力、すべてを一定レベルにまで引き上げなくては何度もバトルに勝つことはできません。 |
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そういう意識が自発的に芽生えることが素晴らしいですね。 |
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自分の好きなダンサーや上手いダンサーを研究することは、昔からずっとしてきていて、「この人とバトルをしたら勝てるのか」を考えます。そのイメージトレーニングをした時に、バトルをしなくてもすでに勝てるかどうか、分かります。イメトレの時点で勝てない場合は、「この要素が足りないから負けるな」「相手の良さより自分の良さがないとダメだな」と原因も分かると思います。
出来ないよりは出来る方がいい。僕はトライしてみて、頑張っても頑張ってもだめなら仕方がないと思います。出来るまで諦めないでやるタイプですね。ダンスのジャンルも極力トライしてきました。それが、バトルだけでなく、舞台や、振付の仕事もやることに繋がりました。振付は、DA PUMPをはじめ、安室奈美恵さん、TRFさん、SPEEDさんや韓国人アーティストなどもやらせてもらいました。バトルも舞台も振付も、それぞれのダンスの楽しみ方がありますね。 |
■世の中にダンスが好きな人を増やしたい!
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12月のSSDWではダンスディレクターを務めますね。今回のお話がきた時に、どう思いましたか?
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KENZO | :![]() |
世の中にダンスが好きな人を増やすことが、自分がやりたい活動のひとつだったので、有難かったですね。自分の夢は、世界大会優勝や、振付をしたり、テレビに出たり、いろんな仕事をすることでしたが、おかげさまで今はいろんな転機を経て、今一番大事にしていることは、先輩たちに思わせてもらったのと同じように、自分もダンスの楽しさやカッコよさをいろんな人に伝えたいという事です。
そのためにも、今回のSSDWではダンスディレクターとして、まず一つは、観客も、出演者も、審査員も、このイベントに参加した人もがみんな参加して良かったと思えるようにしたいと考えています。日本には世界に誇れるいいダンス、いいダンサーが存在しているのに、一般的に認められていないとまだまだ感じるので、それが悔しいです。ダンスを知るきっかけが、テレビやミュージシャンのバックダンスだけではなく、SSDWというダンサーが主役で一般の人が共感を持てる場所で、本物のダンスに触れてもらえたら、それは最高ですし、ダンサーがメインでも発信できる機会はもっと増えるといいなと思いますね。 |
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今のダンスシーンをどう感じますか?? |
KENZO | :![]() |
正直、東京の場合は“飽和状態”かなと思います。ダンス人口が多くなったので、大人はもちろんキッズ、バトル、コンテストなどそれぞれが好きな人たちだけで固まって成り立ってしまう。それはそれでいわゆる専門店が増えたようなものなので、カレーライスが食べたければカレーライスの専門店に行けばいいという感覚なので、いいとは思います。ただ、たまにはみんなで集まって、本気でいろんな料理を楽しめる場所があっても面白いと思います。
あとは、サイクルが早いと感じますね。2~3年でシーンが変わってる気がします。今年のSSDWでもニュージェネレーションが台頭してきてますね。今はSNS発信が上手な子が有名になってきていて、タイトルを取らなくても、若くても、正直、そんなに上手くなくても有名になれますからね。昔からショーや現場で勝負して、ダンサーからリスペクトを受け取って、シーンに貢献してきた人たちばかりではなくなってきています。ただ、その現状を否定するだけではなくて、若い世代と先輩の世代とその中間の世代、みんなが共存、会話ができるイベントや環境を生み出していくことも、今後は大事になってくると思います。 |
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最後にSSDWに見に来る方にメッセージを! |
KENZO | : | ![]() |
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SSDW楽しみにしてます!今日はありがとうございました! |
→[PICK UP]国内最大規模のストリートダンスの祭典『Shibuya StreetDance Week 2017』(SSDW)今年も開催決定!
interview & photo by AKIKO
’17/11/02 UPDATE
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