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IG – Part 1 –

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現在アメリカのアーティストビザを取得しロサンゼルスでダンサーとして活躍するIG。彼が異国での活動を決めたきっかけやその思いを聞く事が出来た。ダンサーなら誰もが憧れるアメリカでの生活やこれからの目標。「やるなら今だし、やらないと決めるのも自分次第。」オーディションの内容やビザ取得までの流れを赤裸々に語ってくれたIGの言葉から、「アメリカで活動してみたい」と思っている方々には貴重な体験談が詰まったインタビュー第一弾。


 

  • IGIG (アイジ) 本名:田中愛二郎 Aijiro Tanaka
    Lady Gagaの『Stupid Love』MV ダンサーとして出演。加藤ミリヤ、ゆず、ちゃんみなのツアーダンサー、椎名林檎×宇多田ヒカル『浪漫と算盤』MV出演、KIREIMO CM 2020 渡辺直美×千鳥ダンス振付、テレビ朝日 キッズダンスバラエティ ファンファンキティ!の『ダ・ダ・ダ・ダンス』振付等、他にも演出などを手掛け、幅広い範囲で精力的に活動。またポールダンス日本大会初代男性チャンピオンであり、現在はアメリカでアーティストビザを取得し、ロサンゼルスにあるClear Talent Groupに所属。日本と米国を拠点とし、アメリカでは、ポールダンススタジオ Choreography House インストラクター、X-POLE US オフィシャルダンサーとして、Rupaul Drag Con 2019 LA & NYに日本人初出演。
    instagram @ig.tokyo

    Twitter @ig_aijirotanaka
    YouTtube Ajiro Tanaka

 


 

■Visaの冒険

 

TDM:今回の渡航に至るまでの経緯を教えてください。

 

IG:怪我をきっかけに10代の頃から夢だった「いつかアメリカに行ってみたい」という想いと、気づいたら30歳過ぎていて、日本でのお仕事は作る作業も多かったので、さらにインスピレーションが欲しかったのと、やっぱり海外でも踊ってみたいという欲が出てしまい、とりあえずアメリカに行こうと思いました。

 

自らアクションを起こさないと何も変わらないと思い、最初はニューヨークに行きましたが、2ヶ月目でロサンゼルスでのお仕事の話をいただきました。でもやはり仕事をする為にはビザが必要で、せっかくお話をいただいたのに「出来ないじゃん!」ってなったんです。ロサンゼルスで活動している友達に相談したら「ちゃんとビザ取ればいいんじゃない?」と言われて。そして、去年の1月にビザを取得する旅が始まりました。

 

ビザ取得に向けて弁護士を紹介してもらったのですが、ビザ取得の為にはDeal Memo(ディールメモ)というサイン付きの契約書が必要なのと、所属するダンスエージェントを見つけなければいけない。トランプ大統領になり移民の受け入れが厳しくなり、1社から2社のDeal Memoが必要になったんです。要は、ダンスエージェントに所属する事プラス、「雇います」という仕事先の契約書が2通必要でした。

 

TDM:仕事を2つ取らないといけないという事ですか?

 

IG:はい。オーディションに受かってエージェントに所属出来たとしても、そこから仕事を取らなきゃいけない。その仕事の契約が、3年間のものが1つと、短期のものが1つ必要だったんです。

ビザ取得の旅が始まってから、3ヶ月はあっという間に過ぎていきました。普通は、ダンスエージェントに所属する所まではいけたとしても、その後の仕事が見つからなくて帰国するケースが多いようです。

 

ここでいろいろな矛盾が生じるんですけど、観光ビザはそもそも働けない。どうやって雇いますという所までいけばいいのか…。例えば、外国人から「働かせてください!」と言われて「3年間あなたにお給料払います!」と契約しないじゃないですか。だからなかなかDeal Memoを貰うのは難しいんです。でも自分の場合は学生ビザでお世話になった時のスタジオが3年間契約で雇いたいと言ってくれてDeal Memoをいただく事が出来ました。

 

2社目はX-POLE USという、ポールや空中フィットネス機器の大手サプライヤーの会社が「Rupaul Drag Conのポールブースでパフォーマンスをやって欲しい」と言っていただきましたが、Deal Memoはあるのにエージェントに所属する機会がないまま、 3ヶ月が終わってしまいました。もしその3つが揃っても、今度はRecommendation letter(レコメンデーションレター)という推薦状を、アメリカから3名、日本から3名も必要でした。

 

つまり、日本でもアメリカでも一緒に仕事をしたダンス関係や芸能関係の方、振付師などに「この人は信頼出来ますよ」と推薦してもらわないといけません。Recommendation letterには所属エージェントと仕事先も書いた状態でサインしてもらわないといけないんですが、所属エージェントがないまま日本に戻って来ました。日本の仕事はお休みさせていただいていたので、「ちーん」って感じで、全てが揃わないと結局無しになるので、どうしようという感じでした。「そうだよね、そんなに甘くないよね。やっぱり自分には無理なのかな…」って思ったり。

 

だから、「あと1回行って無理だったら、アメリカでビザ取って仕事したいという夢を潔く諦めよう」と、ダラダラやっててもしょうがないから、腹を括ってもう1回行きました。そしたらエージェントのオーディションがあって、受けたら合格して所属出来たんです!

と言っても、残り10日しかもうアメリカにいれない奇跡的なタイミングで募集していて、Clear Talent Groupというエージェントで振付を踊ってオーディションを受けました。女子はまずヒールを履いてウォーキングをして入れられた振りを踊る。男子はスニーカーを履いて、男らしくセクシーな感じの向こうのPVに出て来そうなイメージで歩いて、入れられた振りを踊る感じでした。これは無理かもと思ったら…「男子もヒール履いて踊れる人は女子の後にそのカテゴリーで受けていいよ!」と言われました!

 

 

■ I am humble Japanese.

 

IG:「持ってきた、持ってきたーー!!」と、ここぞとばかりに履きました。30人くらいヒール男子もいたと思います。そこから全体の最初300人くらいから3分の2くらいは切られて、残った3分の1で男女関係なく振付を入れられました。

 

Jojo Gomezさんの振付だったんですけど、とても難しかったです。けどもうやるしかないという気合で合格する事が出来て、最終的に残った人はカメラの前で、名前と年齢と、ビザを持っているか持っていないかを言わされ、「持ってない」と答えました。翌週には合格者に連絡が入るって言われましたが、「私10日後に日本に帰るんですけど…」みたいな。

 

でも、次の日に2回目のトライがあったんです。Blocという大手のオーディションで、普通はそこを受けておくべきと思いましたが、同じ時間帯に、Clear Talent Group主催の、〝B-Boy/Trickers Audition〟というオーディションがあったんですよ。これは、Blocのオーディションに行くべきなのか、Clear Talent Groupに的を絞って、B-Boy/Trickers枠で受けるのか?と悩みましたが、そもそもTrickersっていうのがよく分からず「何かしら出来る人なのかな~?」と思いました。

 

そこで自分のポールっていうスペシャリティを見せたいと思って。ポールを運ぶ事は出来なかったんですけど、とりあえず行こう!と思ったんです。ポールをする時の格好や自分のクリエイトしているものを見てもらおうと思って、ウィッグつけてマーメイドの格好して、衣装を脱いだら足が生えてポールで踊っちゃう!みたいな事をやりました。(笑)

 

前日にオーディションに行ってたから、太めの柱があったのは知ってたので「登れるかも!?」と思って、オーディションに行ったら前日は何100人いたのに6人しかいなかった。しかも全員B-BOY。前日のオーディションとは全く違う曲が流れて、フリースタイルしてソロして終わりです。チャンスは2周だけでしたが、順番は自然と6番目で、オチみたいな感じになってました。(笑)

 

ヒールとか履いてるけど、トップロックみたいな感じでやってみたんですよね。でも、2周目の3人目が終わった時に、向こうが「enough(もう充分だよ)!」と言ってストップしちゃったんです。それでは私含め3人は2回出来ない事になるので、「これで日本に帰れない!」と思って、「ちょっと!enoughじゃないから!平等じゃないから!2周目で棒使って、あなたにスペシャリティを見せようと思ってたんだから、もう一回やらせて!」と言ったんです。普段私ここまで言わないキャラなのに(笑)、スイッチ入っちゃった。「昨日も一応最後まで残っているけど、日本人で時間も守るし、ちょー謙虚だし、あなた達と3年間仕事したいからよろしく!」って、取り急ぎの英語で伝えました。「I am humble Japanese!(私は謙虚な日本人)」って言って。でもその時は時間がなくて「じゃ、映像を送って」と言われて、ポールダンスの映像を編集したものを送ったら、次の週に返事が来て「ミーティングしよう!」という事になって、オフィスに行って合格をもらったんです。

 

TDM:おめでとうございます!!(拍手)

 

IG:その事務所からは「最初のオーディションの時点でもう結構オッケーだったけど、さらにガッツを見せてくれたのでちゃんと契約よろしくね!」みたいな。日本では 事務所に所属するスタンスではありませんでしたが、今回はエージェントに所属する事が必要だったから必死でしたね。

 

TDM:いい経験しましたね!

 

 

■芸の極み

 

IG:ビザ取得の最中に弁護士さんに相談したら、「ロサンゼルスで雇ってくれるサインは取れてるから、ロサンゼルスのエージェントに受かりなさい!」って。私はいろいろなカルチャーやライフスタイルも込みで、ニューヨークに住んでみたかったんですけど、縁があってロサンゼルスに住む事になりました。でも「全然、なんでもします!」って感じで。

 

TDM:そこまでアメリカにこだわるのはなぜですか?

 

IG

「ジャンル関係なく、もっと面白い人いても良くない?面白いアジア人いても良くない?」みたいな考えが自分の中に勝手にあるのと、ダンス辞める前に色んな人種の人達と踊りたかったなという心残りがある事、純粋に仕事したいと思わせてくれるアーティストがまだ現役で活動してる事。

 

そして、ただダンスがもっとうまくなりたい。基礎がないままキャラクターでここまで来ちゃったから、自分の中で負い目のようものと、イメージに答えてそのループを続けるのもありですが、壊して前に進みたかったので、レッスン受けたり色々吸収しなきゃなと思っています。

 

勿論全て賭けなので、恐いですよね!!けど「行ってみたい!」ってマインドと気合いとパッションでどうにかなるよと伝えたい。もしダメでもやってみる事の方が重要で ずっと心にしこりが残って死ぬより、潔く諦める所までいきたくないですか?こんな自分でも、お前には無理だって言われても、笑われても、自分なりのやり方でどうにかなるって「誰かの何かの勇気になればな」という思い込みですが、勝手に誰かの為になりたい!

 

凄い人はいっぱいいるけど「こういう人いても良くない?」と。もちろん決めるとこ決めなかったらアウトですけど、頑張れる所は頑張って、スキル磨きつつ、楽しく、「そういう奴もいるんだね」と思ってもらえる所までいけたらなって思います。

 

TDM:私はIGさんのショーでの誠実さが好きです。

 

IG:きゃー♡恥ずかしい♡!!

 

TDM:そういう基礎がないと言っている気持ちと、美をより追求する気持ち。だからたぶんIGさんの踊りを見て感動するんだと思います。

 

IG:いや本当に周りの人達のお陰です。日本でもアメリカでも世界のどこにいても、刺激的な仲間に恵まれてる事。そしてこんな自分をいつも信じて応援してくれる人達や生徒 家族。ダンス辞めた仲間からも次のステップの話や色々勉強になってます。ダンスじゃない事からダンスが見えてきますし、例えばポールもポールじゃない事からポールが見えてくる景色沢山あります。棒がそこに一本立つだけで無限大に夢広がって、練習に明け暮れる日々になりますが、あくまでも大道具であって、それが無い状況の時も沢山あって…

 

TDM:そっか。ポールがないと踊れないですもんね。

 

IG:はい!音楽の世界がそもそも好きなので さらに視野を広げて色々な事に挑戦していきたいなと思っています。

 

TDM:IGさんがアメリカでどんな活動をして、自分なりに向き合ってどんな答えを出して帰ってくるのか、楽しみにしています。

 

IG:アーティストビザを取得したからには、3年間アメリカに絶対いる!という考え方の人がほぼなんですけど、例えば渡辺直美さんは、アーティストビザを取得して、向こうには住んでいるけど、1年の半分は日本で仕事、半分はアメリカで仕事をしている。ビザというものに対して考え方が人それぞれです。日本でのお仕事をさせていただく為に帰国しましたが、全て延期になってしまいました。ただ、色々捕われずにチャレンジしていきたいと思います。

 

→ Part 2 へ続く (※近日公開)

 

interview by AKIKO
edit by Sayuri Sekiguchi
’20/05/31  UPDATE

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tokyodancemagazine

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