渋谷CLUB HARLEMが手掛けるHIP HIOPレーベルHARLEM RECORDINGSが再始動した。その第一弾は、共にレジデントDJとしてHARLEM創設期から活躍しているDJ Hazime & DJ Wataraiの初タッグが「Do It feat. ¥ellow Bucks & Zeebra」を4月22日にリリース。今回、2人にリリースに込めた想いや、HIP HOPの聖地と呼ばれるに至った流れ、ダンス経験からDJになった経緯などについて、リモートインタビューで語ってもらった。
- DJ Hazime東京/渋谷を中心に国内外で年間200回を超えるクラブ・プレイをこなす、日本のトップDJの一人。プロデューサーとしても、SHAKKAZOMBIE / NITRO MICROPHONE UNDERGROUND / DABO / K DUB SHINE / SPHERE OF INFLUENCE / 安室奈美恵 / PUSHIM / MINMI / RYO THE SKYWALKER等、名立たるアーティストに楽曲を提供。2004年、2013年には自身のアルバム”AIN’T NO STOPPIN’ THE DJ” Vol.1, Vol.2を、2010年、2011年、2013年、2014年には日本語ラップオンリーのオフィシャルMIX CD”THE EXCLUSIVES JAPANESE HIP HOP HITS”シリーズをリリースし、好セールスを記録している。また、クロージング・ブランド”DOUBLE HARD”のディレクターとしてファッション業界にも進出している。
- DJ Watarai中学生時代にスクラッチに興味を持ち、1991年頃より渋谷や六本木を中心としたクラブやダンスイベントなどでDJ活動を始め、現在でも年間200本を越えるDJをしている。さらに1995年頃より楽曲制作を始める。その後は、MUROやNITRO MICROPHONE UNDERGROUND、RHYMESTERなどの作品を中心に精力的な活動を続け、MISIAやAI、DOUBLE、安室奈美恵、加藤ミリヤ、DREAMS COME TRUEといったR&BやPOPS方面のアーティストにも楽曲を提供。現在は日本を代表するHIPHOPの聖地、渋谷CLUB HARLEMのDJとしてオープンから23年間レギュラーを続けている。また現在、ABEMAのHIPHOPチャンネルのAbemaMixにもレギュラー出演中。
■ダンスとの出会い、そして、DJへ。
TDM :まず、お2人の出会いについて教えてください。
DJ Hazime:ワタさんとは中学校が隣で、TV番組「DADA L.M.D」(以下、DADA)に出てたので「隣の中学の2つ上の人だ!」と知ってました。それからAOYAMA NIGHTオーガナイザーのSHOJIさんの繋がりで自然と知り合いになりました。
DJ Watarai:DADAの頃は、ダンスイベントに集まる人が一緒だったし、お互い10代だし、気づいたら普通に仲良くなってたかな。でも、あんまりよく憶えてないです(笑)。
TDM : お2人はダンスも経験されているそうですが、ダンスを始めたきっかけ、そして何をきっかけにDJを始めましたか。
DJ Hazime:TVでボビー・ブラウンを見て「すごっ!」と思っていて、そしたら「ボビー・ブラウンと同じ事をしてる人たちがいる!」と見てたのがDADAでした。だから、僕もDADAの真似事をしてたのがきっかけです。中学の同級生と、階段の踊り場で練習してました。
DJ Watarai:俺もDADAを見て始めました。地元の友達と駅の自転車置き場とかでZOOのステップレクチャーを見ながら練習してました。
当時CDは無くて、レコードしかなかったからDJ目的ではなくて、音楽を聴くためにターンテーブルがあった。それからダンスの練習用とか、ショーのために音源が必要で、周りに作れる人はいなかったから自分が作るようになりました。
DJデビューはDADAでした。番組中、ケンボー君(DJ Ken-Bo)がThe UMC’sの「One To Grow On」で踊る所があって、当時はレコードだから、それをかける人がいないという事で俺がかけるようになったのが最初です。それが17、18歳。いきなり言われてめっちゃ緊張しました(笑)。
DJ Hazime:わ~、すげー!初めて聞いた!
俺は、DADAにも出た事があって、最後のラインダンスまでは行きました。その当時、芝浦GOLDのパーティーでTETSU(ZENITH /FOOLISH)くん、KINちゃんとか、AOYAMA NIGHT周りのコミュニティが出来てきて自然と仲良くなりました。僕はチームを組んだ事がなくて、皆のショーケースの後にゆらゆら踊る係でした。DADAに興味を持ちだした時に、六本木にドゥルッピードゥルワーズというクラブがあって、そこには、れいかんやまかんとんちんかんの田中君とか宮地君とかが出入りしていたので行くようになりました。
DJ Watarai:ドゥルッピーはDJ YAS君がフロアスタッフをやってて、KRUSHさん、MURO君、dj hondaさんとかがレギュラーやってたみたいだね。
DJ Hazime:そうそう、そこに出入りするようになってから、DJという存在を知り、後から「あれがdj hondaさんやKRUSHさんだったんだ!」と知りました。
レコードで音楽がかかってる事に初めて気づき、レコードを買いだして、ターンテーブルとミキサーを先輩に譲ってもらいました。そこからDJの練習を始めました。DJデビューは高校2年生。渋谷公園通りの上にDJ Bar Inkstickというのがあって、ターンテーブルを譲ってくれた先輩から「DJをやるから、客入れで回せ」と言われて、誰もいないフロアーでDJをしたのが最初でした。
■無名のクラブから“HIP HOPの聖地”HARLEMへ。
TDM: 1997年のHARLEMオープン当初からのパーティー『HONEY DIP (DJ Watarai出演)』『NO DOUBT (DJ Hazime出演)』から関わっていらっしゃいますが、当時のHARLEMのフロアーの印象、その後のフロアーの変化があれば教えてください。
DJ Watarai:俺はHASEBE君に一緒にやらないかと誘われてHARLEMで回す事になったんだけど、あれだけ大きいクラブが渋谷で出来たのは初めてだったし、最初1年目はお客さんは少なかったです。2年目くらいから若い子が増え始めたかな。バブルでディスコに行ってたような人はいなかったけど、当時は今みたいなHIP HOPの箱っていう印象もありませんでした。
そんな中、1999年~2000年くらいからアメリカでもHIP HOPが盛り上がってきて、それに並行してHARLEMでもそれがかかって、HIP HOPの箱として盛り上がってきました。
俺の個人的な印象だと、俺がやってた火曜の「HONEY DIP」はHASEBE君がいたからR&Bのイメージもあったから、独特だと思うんだけど、HIP HOPのクラブとしてHARLEMを引っ張っていたのは金曜の「Daddy‘s HOUSE」と土曜の「NO DOUBT」だと感じてます。
ここ5年は土曜に回してて、Hazimeとやらせてもらってて感じるのは、時代によってお客さんも雰囲気も変わるけど、いつもメインストリームで盛り上げてくれる。そこは、いい意味でずっと変わってない。10年経っても20年経ってもHARLEMはHARLEMだなと感じます。Hazimeはいつの時代もしっかりHARLEMの現場に合うようにかっこよくDJをしてくれるんです。
DJ Hazime:ありがとうございます(笑)。
「NO DOUBT」はDJ TAIKI君がオープンからやってて俺は2年後の99年から参加しました。
俺はフロアーの変化は感じていて、2000年代、レコードの時代で宇田川町界隈のレコードの情報がメインだった頃、いい悪いの話ではなく、皆が同じ情報を共有していた。女の子でもめちゃくちゃ曲に詳しかったし、本当に音楽が好きなのが恰好を見てわかる人も多かったです。
今は、皆が細かくいろんな情報を持ってる代わりに、いい意味でも悪い意味でも一体感がない。情報量が多すぎて、ファッションもそうだし、好き嫌いの個人差がはっきりしていると感じます。前はHIP HOPカルチャーが好きな人の集まりって感じがしたけど、今はそれを知ってなきゃ楽しくない状態は脱してて、詳しくなくても楽しめてる状況はいい事だと思います。今はクラブカルチャーとして楽しんでくれてる感じがします。
TDM : 当時のダンサーとの思い出はありますか?
DJ Watarai:いつも一緒にいたのはダンサーばっかり。先輩のKANGO君とか、FOOLISH 、ZENITHのメンバーとか。みんなが練習するって言えば俺は踊らないけどリハをただ見てたりしてました。
DJ Hazime:特にこれという話は無いけど、少なくともAOYAMA NIGHTのダンサーコミュニティにいたおかげで、今の人脈や自分のポジションがあると思っています。
DJ Watarai:オープンした時から、だんだん盛り上がってきた1999年、2000年頃が印象的。いろんなダンサーやアーティストや業界人が集まるようになってきた過程が印象深いですね。とにかく俺もHARLEMで出会っていまだに繋がっている人が多いです。
DJ Hazime:誰が呼んだか知らないけれど今はHARLEMがHIPHOPの聖地と言われていますが、そうなれたのは1998年発売のRHYMESTERの「B-BOYイズム」のイントロがかかっただけで、フロアーがどかーん!となっていたあの時期だと思います。日本語ラップもDMXとかJay-Zとか、当時のアメリカのメインストリームと同じように盛り上がった時代があったからかなと思ってます。
TDM : ダンスの経験はその後のDJ、プロデュース業に繋がっていますか。
DJ Watarai:DJを現場で始めた頃は、かけたい曲よりも、フロアーで自分が踊りたい曲をかけてました。フロアーにはダンサーが多かったし、彼らと同じ空気を共有出来てたからダンスをやっててよかったと思います。その頃の繋がりでダンスイベントに呼ばれる事も多いし、ショウタイム見ててもダンサーはDJと違う視点で選曲してるので、ダンサーから教わる事も未だに多いですね。
DJ Hazime:DJは関係ないんですが、ここ1年くらいでAbemaTVでたまに踊ると、「Hazimeがちょっと踊るのがウケる」とか言われてるので、そこに役立ってます(笑)。今までイカツイ印象に見られがちだったので、本当は踊っちゃう陽気なおじさんを見せる事が出来て、そのギャップはオイシイですね(笑)。
TDM : 転機や影響を受けた人はいますか?
DJ Watarai:「HONEY DIP」のレギュラーDJが出来た事が大きいし、日本語ラップのトラック制作に関しては、HARLEMでMURO君のバックDJを始めたのを機にMISIAやNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDをやったりするようになりました。
DJ Hazime:その時々にありますね。最初は、AOYAMA NIGHT周りのダンサーと会えた事、次にMURO君とSHAKKAZOMBIE、その後、HASEBE君とワタさんとKen-Bo君、そして、DJ TAIKI君が僕を拾ってくれたので、その5本柱が大きいですね。
■互いの想像を超え合う2人。
TDM:今回のプロジェクトをやる事になったきっかけは?
DJ Watarai:今までもたくさん複数名義で一緒にやってきたけど、2人名義は初めて。今回HARLEM RECORDINGSが再始動するにあたって、各曜日のレギュラーDJ名義の作品を出す事になり、Hazimeから「2人でやりましょう」と声をかけてもらって実現しました。
DJ Hazime:2人名義で出すのが初めてなだけで、楽曲制作はここ5年くらいワタさんに頼んできたので、常日頃からやりやすくて、いつも助かっています。前は自分で機材を触って曲作りしてましたけど、自分よりいろんな面で優れてる人に、イメージを伝えて制作していく方が圧倒的に曲のクオリティが高くなる事に気づいちゃったんです。俺はアイデアさえ持っていればいいや、と。
俺よりもすごい事が出来て、例えば3言ったら9~10で返してくれるのはこの世の中でワタさんしかいないんです。
DJ Watarai:ありがとうございます(笑)。
DJ Hazime:だから、めっちゃ楽でイメージもいいから、最高です(笑)。
ワタさんは単純に、曲のクオリティが高い。聴いた時に「なんか違うな」と思う所が全くない。自分のイメージ点数より高くて、「うわ、こう来たか!」といい意味で超えてくるから、それが楽しいですね。
DJ Watarai:俺はあくまでトラックメーカー。何かを想像して作っているわけじゃなくて、トラックしか作れないんです。でも、Hazimeは「こういうトラックでこういうラッパーを使いたい」と最初からイメージが出来てて、形にする力もあって、つまりプロデュース能力が高い。最初にイメージだけ聞いた印象は「どういう風になるんだろう。フロアーでかかったら良さそうだな」くらいは分かるけど、ラッパーやシンガーを入れた時の形は見えない。でも、完成した時に俺の想像を超えているものが出来ていて、それを作る前からイメージして、しっかり形にしていくから本当にすごいと毎回思いますね。
それと、Hazimeが作る曲はフロアー受けするものが多くて、フロアーでかかる事を想定して作ってるんだろうなと思ってて。俺はその辺あまり考えてないから、コラボしてると、 いつもと違うやり方で出来るからすごく面白いし、勉強になります。
■”Do It”リリースに込めた想い。
“DJ Hazime & DJ Watarai – Do It feat. ¥ellow Bucks & Zeebra” トレイラー
TDM : 今回の楽曲は¥ellow BucksとZeebraを起用するなど世代を超越した作品になってますが、コンセプトは?
DJ Hazime:そもそもの狙いは、我々世代の第一線と、今の若手の第一線とで、どっちかに偏るんじゃなくて、一緒に曲を作りたかったんです。
誤解を恐れず言うと、若者の中にはZeebraさんをフリースタイルダンジョンのMCと捉えている人もいて、俺としては、ラッパーZeebraさんとしても最高にかっこいいので、今回本気を出してもらいたかった。トリッキーではなくて、ストレートなビートでヤバいZeebraさんを今の人たちにも見せたかったんです。そしたら、想像していたクオリティを超えてきてくれて、かなりアガりました。
そんなZeebraさんと若手代表の¥ellow Bucksを組ませても絶対引けを取らないだろうという確証はありました。彼はコンスタントにリリースを続けていて、クオリティは保証済み。案の定、レコーディングした時に、「この2人でよかった!」と思いました。
DJ Watarai:少し前にRed Bullで「64 Bars」という64小節をサビなしでひたすらスタジオで一発撮りをする企画があって、第一弾がジブさんだったんだけど、久々に本気のZeebraのラップを聞いて、「この人のラップは本当にすごい」と思ってたので、今回タイミングよく一緒に作れて、もうね、ズルいくらいかっこいいんですよ。やっぱりこの人のラップは本当にかっこいいなと再認識しましたね。
TDM : ここまで第一線でキャリアを積み重ねてきたお2人が、物事を「続ける」上で大事な事は何だと思いますか。
DJ Hazime:僕の好きなラーメン屋の第1位が永福町の大勝軒なんですが、そこのモットーは“変わらずに進化する”なんです。だから、僕もHIPHOP DJとしてのキャラクターは保ったまま、現場の一線のDJという自分のやりたい事をキープするには、新しいものも取り入れる。それをお客さんの前で出す時には、進化していなきゃいけない。ベースの味は変わらないけど、Hazimeを通せば味は同じ。かけてる曲は違っても、同じ空気感にはしていきたいですね。
DJ Watarai:ほとんどHazimeと同じですね。HIP HOPも30年以上経ってて、同じジャンルとは思えないくらい進化してきていて、HARLEMではメインストリームをかけるから、新譜を覚えて自分で吸収していかなきゃいけないんですが、自分のスタイルを変える事なく、時代と共に歩んでいく事は大事にしています。
TDM : 今後挑戦したいプロジェクトはありますか。
DJ Hazime:今回の第2弾をちゃんとやりたいです。EPやアルバムで2人名義でまとまった作品をやりたい!
DJ Watarai:同じく(笑)。
TDM : では、最後にダンサーへのメッセージをお願いします!
DJ Hazime & DJ Watarai:ショータイムで使ってくださーい!
interview by AKIKO
edit by imu
’20/05/13 UPDATE
→ [PICK UP]老舗 HIPHIOPレーベル HARLEM RECORDINGSが再始動。第一弾は¥ellow Bucks & Zeebraがゲスト。
★【”Do It” チャレンジ開催!】★
先日配信開始された『HARLEM RECORDINGS Presents DJ Hazime & DJ Watarai – Do It feat, ¥ellow Bucks & Zeebra』のチャレンジビートにラップ・ダンス・スクラッチ・グラフィティなど、それぞれ思い思いの『Do It』を乗せてSNSに投稿しよう!
◎Do It Dance Challenge
“Do It”を自由に踊ってSNS (Instagram, Tik Tok etc)に投稿しよう!
公式ハッシュタグ #DoItDanceChallenge
◎Do It Scratch Challenge
“Do It” イントロのスクラッチを自己流にアレンジしてSNSに投稿しよう!スキルはもちろん、ネタ選びにもセンスが問われる Do It Scratch Challenge
公式ハッシュタグ #DoItScratchChallenge
“Do It Scratch Challenge Beat”
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