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Theater Restaurant 『Bellegrace』特集 suzuyaka×松GORI

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作品を彩る要素、“演出”。プレイヤーとしてだけでなく、クリエイターとしてもその力を持ち合わせたダンサーの活躍が著しい昨今、新たな才能を持つ2人が自主公演を発表する。妖艶かつ情熱的な表現力が持ち味のsuzuyakaと、中性的なバランスが心地良い松GORI。若き2人の化学反応が見られる公演「Bellegrace」は一体どんな“演出“を見せてくれるのだろうか。現在のダンス界を踊り渡っている彼らからのリアルな言葉と共にその魅力をお届けしよう。

 

  • suzuyaka

    幼少期からバレエやジャズを始め、ヒップホップやラテンと幅を広げ、現在は都内や地方でのショーや舞台出演や、インストラクター、振付師として活動中。青山テルマ、9nine、倖田來未、Acid Black Cherry、映画『-L-』(2016)などを振付。振付作品にも定評があり、演出力、表現力を活かし幅広く活躍中。

 

  • 松GORI
    時に美しく、時にダイナミックに踊れるジャズダンサー。その明るいキャラクターにはファンも多い。加藤ミリヤ、BENIの全国ツアーダンサーや、宝塚歌劇団 星組トップスター柚希礼音の振付&振付助手、その他きゃりーぱみゅぱみゅ、青山テルマ、AKB48、StarS、日華のライブ コンサート のバックダンサー出演などで活躍している。

 

「来年は自主公演をやれと言われてる気がした」 “Timing”&“Feeling”

 

TDM 今回、公演をやることになったきっかけを教えてください。

 

 

suzuyaka もともと、お客様の反応をダイレクトに受け取れるディナーショーがとても好きで、5年前までディナーショー形式の公演を主宰していました。その後、自分がリーダーになるのではなく、誰かのもとで勉強しようと思い、約3年、別の団体に所属しました。その活動も終わり、次に何をしたいか考えた時に、またディナーショー形式をしたいとは思いませんでした。ただ、昔からずっとついてきてくれている生徒たちの中には、過去の私の活動を憧れてくれている子たちがいました。あの時は観客でしたが次は出演者になりたいという目標を持っていたんです。「またやらないんですか?」と聞かれた時、正直「もう無理だよ。」と言ったんですが、私から離れずについてきてくれた生徒への感謝と、彼女たちの想いに突き動かされて、今回やることにしました。また、最近の若いダンサーにとって、発表会は主流ですが、それだけだとどうしてもダンスに対してモチベーションがダラけてしまうと感じていました。自主公演をすることで、もう1段階気持ちを高めてあげたいし、ちょうどその時期に、DANCE WORKSの発表会の演出をやることが決まり、「来年は自主公演をやれと言われてる気がする」と感じて、決意しました。ただ、決意したものの、舞台を作らない期間が長かったことと、その間にたくさんの天才に出会い、「こういう人が演出をやるべきだ」と勉強になりつつも自信を無くしたこともありました。果たして今の自分が面白い舞台を作れるのか、不安はありました。でも、絶対の信頼を置いている松GORIとならできると思い、声をかけました。

 

 

 

TDM どういう点で信頼を置いていますか?

 

 

suzuyaka 何度か松GORIと合同作品を作ったことがあるんですが、彼は私が苦手なことが全部できるんです。振付やリハーサルの進行で、私が付かないポイントを付いてくれますし、クリエイティブな相性が合うんです。

 

 

松GORI suzuyakaは群舞でエネルギーを出す振付が得意で、僕はシンプルな音を面白く作るのが好きなんです。みんなに注意するポイントも違うので、いい意味で住み分けができていますね。

 

 

 

TDM
いいパートナーですね。

 

 

 

suzuyaka はい。自分がいつか公演をやるなら松GORIとって決めていました。ちょうどその時期、松GORIもZEAL STUDIOの発表会の演出をやることになって、お互いに貴重な経験を踏まえた上で、自主公演に向き合うタイミングもよかったです。

 

■・演出とは舞台に関わってくれるみんなをまとめること

 

 

TDM それぞれスタジオの発表会で演出をやった時に何を大事にしていましたか?

 

 

 

松GORI
p1010443僕はまず、“発表会とは誰のためにやるのか”を考えました。その結果、欲張りなんですが、生徒、観客、インストラクターも楽しめる発表会にしたいと思い、多方向から楽しめる演出をしました。初の総合演出だったので先輩方からのアドバイスを頂きながら、表も裏も勉強させてもらいました。 

少し大変だったのは、若い生徒たちの真面目さ。真剣なのはいいことなんですが、リハーサルでテンションが低いというか。盛り上げようとしてくださる先生と、少しそれに引き気味の生徒との熱量の差を感じました。もう少し臨機応変に、フランクに受け止めてもらえるといいんですが…世代の違いなのか、僕はその間の世代なので、どちらの気持ちも感じて、難しかったですね。

 

 

 

suzuyaka
私が昔、自主公演をやった時と今とで大きく変わったのは、周りへの気遣いです。自分の生徒をやる気にさせるのは自分ですが、演出となると、他の先生、その生徒さん、音響さんも照明さんも舞台監督さんも映像さんも、発表会に関わってくれる人全員を大事にして、みんなを味方につけなきゃいけないと感じました。それは、過去DANCE WORKSの発表会を作ってきた皆さんがやってきたことだったので、初めてここで演出をさせてもらう私は、もっと想いを伝えなきゃいけないと責任を感じました。 

演出とは舞台に関わってくれるみんなをまとめることなんだと学びました。若い頃はそんなことに気づけなかったし、ただ、「自分がやりたい!」だけでしたからね。

 

 

■前を向いて光を放って踊れる様に・・・。

 

TDM 自主公演となると裏方作業も多くなりますが、その点で大変だと感じることはないですか?
 

 

 

suzuyaka 実は、昔から裏方作業も好きなんです。ただ、最初は舞台監督さんや制作スタッフを入れるという概念がなかったので、チケット管理なども全部自分でやっていたのですが、あまり苦じゃなかったですね。その分、作品へのこだわりは松GORIの方が高いので、その面でもいいバランスで作れています。

 

 

 

TDM 今回、出演するダンサーたちにはどんな経験をして欲しいですか?

 

 

 

suzuyaka
p1010436今回は昔からついてきてくれている生徒たちの「公演をやってほしい!」という想いに乗りました。乗ったからには、発表会の様にただ踊るだけではなく、リハーサル用のスタジオを用意してくださったり、チラシやポスターの製作、お客様からの問い合わせの対応など、たくさん裏で動いてくれている方がいる上で舞台が成り立っている過程を感じてほしいと思っています。いろんな人の想いを全部受け止めて、ステージに立つことは簡単なことではないことをわかった上で、フルアウトのパフォーマンスをしてほしいですね。

 

 

 

TDM 平均年齢は?

 

 

 

松GORI 24〜25歳くらいです。インストラクターをしている子やフリーター、社会人もいます。

 

suzuyaka ダンサーを目指していても、なかなか仕事などの機会に恵まれず、レッスンを受けて、発表会に出るだけのサイクルになりがちです。ダンスの仕事になかなか恵まれない苦労は私も経験者なのでわかります。発表会だけに慣れてしまったせいか、少人数やソロでステージを任される経験があまりない子もいて、稽古初期は目が泳いだりして、「ほら!前向いてー!」と怒鳴ってました(笑)。 

今では前を向いて光を放てるようになったし、短期間にすごく成長してくれたと思いますね。ただ、そんな過程を知らない、初見のお客様を魅了するためのレベルになるまでには、まだまだやるべきことがあるので、努力を惜しまず取り組んでほしいです。

 

 

TDM
今回の見どころを教えてください。

 

suzuyaka
私は自分が舞台を作るなら、ダンサーだけの公演ではなく、音楽も大事にしたディナーショーというスタイルにこだわってきました。今回の公演も、シンガーさん、バンドさんがいて初めて成り立っています。さらに、ダンスもフロアダンスだけでなく、ポールやエアリアルシルクも入っていて、どちらの子も昔の生徒です。そんないろんな人たちと共に作り出す空間を、楽しみにして欲しいです!

 

 

 

松GORI もちろん、見どころは すべて!と言いたいところですが(笑)。特に衣装ですね。どのナンバーも 作品に合ったものを構想し、こだわり、衣装さんに絶対嫌な思いをさせてしまってると思いながらも、イメージのものにしました。やはり客席とステージが近いだけあって、生地 素材にもこだわり、ちょっとした小物アクセや、ターンしたとき、足をあげたとき、などなど細かく話し合いました。全ナンバー作品同様、衣装もこと細かくお楽しみください!!

 

■悩む前にやってみる。早く失敗した方がいい。

 

 

TDM
そもそもダンスをはじめたきっかけは?

 

 

松GORI 僕は10代の頃渋谷で、センターGUYが流行してた時期に、パラパラをして過ごしてました。
その後、社会人としてカッコ良くなろうと更生し(笑)、顔を白くしてスーツを着て、ZARA渋谷店のスタッフになり、エリアマネージャーになるぞ!と燃えていました。しかし、ある日向かいの交差点のビジョンに流れていたPVで、僕の大好きなアーティストのバックダンサーとして、地元の同級生が映っていたんです。それを見た時、「悔しい!」と思いました。自分はその時22歳でしたし、「3年やって芽が出なかったら辞めればいい。いけるところまでいってみよう!」と思い、ダンススタジオに通い始めました。その2年後、大きな仕事として加藤ミリヤさんのツアーを回らせていただきました。それからいろいろとお仕事をもらえるようになり現在に至ります。

 

suzuyaka 私は、母がクラシックバレエが好きで、幼稚園の頃に近所のバレエスタジオに無理矢理連れて行かれました。泣きながら嫌々でしたが、なんだかんだでハマってしまったんでしょうね。5年間皆勤賞でした。物心ついた時から踊ってましたね。あとは、母と姉がジャニーズファンで、堂本光一さんのバックダンサーで、素敵なジャズダンスを踊っているPVを見たんです。その影響で、近所のジャズダンススタジオに中学校3年間通いました。その後進学した高校が、仲間とチームを組んでクラブに出る先輩たちがいるところで、私も自然にチームを組んでました。新宿のRUINSなどのクラブイベントに出るようになり、いろんなダンススタジオに通っている人もいて、それから交流が広がって、現在に至ります。 

ストリートダンスを始めた頃はヒップホップダンサーに憧れて、いろんなレッスンでダウンやヒットを練習してたんですけど、やはりバレエとジャズが基本にあるので、今のスタイルになりました(笑)。

 

 

 

TDM 最後に次世代を担うダンサーにメッセージをお願いします!

 

 

 

松GORI
僕は、毎年元旦に目標を立てて、それに向かって選択を慎重かつシンプルにしていきたいと思っています。30歳を迎えて、これから一年一年が大切になると思うので、いろんな選択肢を迫られる中、お金やキャリアのためだけではなくて、やりたいことのために妥協せずに取り組んでもらいたいです。

 

 

 

 

suzuyaka p1010148最近、いつまでこうして好きなことを続けていられるのかと考えるようになりました。今の時代、どんなことでもやろうと思えばできます。ダンスも普及してきて、いろんなタイプの先輩たちがいるので、思ったことはどんどんトライした方がいいです。いつ何が起こるかわからないし、時間は無限じゃないので。悩む前にやってみる。早く失敗した方がいいし、私は失敗した経験に助けられてきました。必ずそんな自分を受け取ってくれる人がいて、今こうしてインタビューをしてもらえる立場にもいられるのかなと思うので、怖がらずにチャレンジして欲しいですね。

 

 

 

TDM
ありがとうございました!公演を楽しみにしています!

 

 

[PICK UP]suzuyaka&松GORI Presents Theater Restaurant 『Bellegrace』

 

 interview and photo by AKIKO and imu

’16/10/26 UPDATE

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tokyodancemagazine

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