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舞台ASTERISK 「Goodbye, Snow White」 特集 MIKEY×長谷川達也

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進化系ダンスの舞台ASTERISKが昨年に引き続きMIKEYこと牧宗孝の演出によって今年も国際フォーラムにて上演される。毎年、その時代を彩るダンサーやクリエイターたちとひとつの物語を作り上げる本公演はエンターテイメント業界で大きな話題を呼んでいるが、その第1・2回目の演出を務めたDAZZLEの長谷川達也が今回は出演者として参加。独自のハイセンスな演出力を持つ2人に、過去を振り返りながら、今年の意気込みを語ってもらった。

 

  • maki_munetaka_lMIKEY
    演出家。ダンスカンパニー「東京ゲゲゲイ」、「Vanilla Grotesque」主宰、 ニックネーム MIKEY(マイキー)パフォーマー、振付師、演出家、音楽家。ダンスチーム「東京ゲゲゲイ」のリーダー。テレビ番組 スーパーチャンプルに出演し、ベストパフォーマンス賞を受賞。MISIAの全国ツアーの振付、フロントアクトとして歌も披露。2015年5月、PARCO主催、東京国際フォーラムにて「ASTERISK~女神の光~」の演出・脚本・振付・音楽を手がけ、全公演完売のエンターテインメント界注目の公演をつくりあげた。テーマソングは、長年振付を担当している加藤ミリヤが書き下ろし、デュエットを果たす。同年12月、渋谷AiiA theaterで開催された残酷歌劇「ライチ☆光クラブ」では、演出家河原雅彦の依頼によりパフォーマンス演出手がけ、テーマソングも書き下ろす。東京ゲゲゲイの女性メンバーも出演した牧宗孝の世界観の舞台は、原作者古屋兎丸にも絶賛された。
    http://tokyogegegay.com/

 

  • DAZZLE長谷川達也2軽長谷川達也
    ダンスカンパニーDAZZLE主宰、ダンサー、演出家、振付家。DAZZLE代表作「花ト囮」は2010年韓国SAMJOKOアジア演劇祭招聘、2011年シビウ国際演劇祭招聘、2012年ファジル国際演劇祭招聘(及び4部門ノミネート、2部門において受賞)など、海外のダンス・演劇界からの評価も高い。2013年には舞台「ASTERISK」にて総合演出・主演を務め、2014年再演。2015年3月、歌舞伎俳優の坂東玉三郎氏が総合演出を務め長谷川が振付を担当したDAZZLE主演舞台「バラーレ」で新たな境地へ。本年10月14日〜DAZZLE 20周年記念公演(池袋あうるすぽっと)を上演。
    http://www.dazzle-net.jp


演出家の苦労。「長谷川さん、あの時は本当にすみませんでした!」

 

TDM お2人が最初にお互いを知ったのはいつですか?

 

 

長谷川達也 僕はダンスイベントやテレビ番組でMIKEYのことをよく拝見していて、ずーっと気になっていたんです。ダンサーとしてのテクニックの高さ、キャラクターの強さ、そして何より作品が面白いし、振付もうまい。その後知ったのですが、歌も本当に素敵で。とにかくすごいなと。才能という言葉で表現してよいかわからないですが「類い稀なる才能の人がいるな…」と思ってました。

 

 

 

MIKEY わあ!嬉しいです。私は、DAZZLEという存在はもちろん知っていましたけど、ちゃんと作品を生で見たのは、第1回目のLegend Tokyoで優勝された時でした。私は客として見に行っていたんですが、すごいなと思いました。

 

 

TDM それから、2013年、記念すべき第1回目のASTERISKで、Vanilla Grotesqueとして達也さんの演出作品に参加したわけですね。

 

 

 

MIKEY IMG_2221だから、去年「ASTERISK~女神の光~」の演出をやらせて頂いた時に、私は本当に反省したんですよ。実は、1回目のASTERISKに出るって決めたのに、リハが始まる少し前に私のモチベーションがすごく下がってしまって、「今回は振付だけで、出演はやめるわ。」って言っちゃったんですよ。その時に、その責任感とか重大さをわかってなかったんです。それで、私のアシスタントのBOWから長谷川さんに「MIKEYさんが出ないって言ってるんです。」と言ったら、長谷川さんが「いやそれは困る。もうイメージができてて、MIKEYの役どころができているから。」と聞いて、「あ、そうか…」と思って出ることにしたんです。それから、去年、自分がいざASTERISKを演出する側になったとき、実は、同じことをされたんですよ。もうフライヤーにも出ていて、こっちもいろいろ頭の中ではできあがっているのに「今回やっぱりお断りします」と。「ふざんけんな!あ・・・いやいや、自分も前回それやったな…長谷川さん、あの時は本当にすみませんでした!」と思いました。演出はやらないとわからないなと身を持って知りました。

 

 

長谷川達也
そんなこともありましたね(笑)。演出側と出演側のモチベーションって絶対的に違うんですよ。演出側は、いろいろ包括的に計算した上でどう進行していこうかと考えますが、出演する立場としては、自分のモチベーションが条件になりますからね。

 

MIKEY
はい。断った時は、もちろん迷惑をかけてやろうとか全然悪気はなくて、「私1人出なくたって何とかなるでしょ」くらいの安易な考えだったんですけど、実際に演出をしてみると、その人がステージに上がるまでのプロセスをいろいろ考えているわけだけど、やる側はそんなことは考えてなくて…当時の自分に復讐された気分でした(笑)。

 

 

長谷川達也
特に、ASTERISKには、個性も才能もいわゆるモンスタークラスのダンサーたちがたくさん関わります。その方たちそれぞれが自分の信念を持っていますから、そういう人たちを舞台に上げて、ちゃんと同じ方向を向いてくれるのか…ということが演出として悩んだことの一つでした。そして各人が持ち味を発揮しながらも、物語として成立するような演出をしなきゃいけないなと考えてましたね。国際フォーラムという大舞台且つダンサーがメインの作品は今までなかったように思います。このASTERISKという舞台は企画から関わらせていただきましたが、最初「ダンスの舞台をやりたい」とPARCOさんからご提案をいただいた時は、大きなチャンスだと思うのと同時に「絶対に失敗できない!」というプレッシャーを強く感じました。ASTERISKで “ダンスの舞台” というものの可能性を世間に提示することができれば、今後もこういった企画は増えていくと思いましたし、ダンスシーン自体が舞台の世界にも広がっていくなと。ただ、もしもうまくいかなかったら…ダンスの舞台作品への取り組みそのものがこの先、何年も遅れるかもしれない。これはダンス業界の未来に関わる責任重大な企画だと思いました…と、勝手にそんな使命感を感じながら取り組んでいましたね。しかし実際、僕が抱いていた多くの悩みや心配はそのほとんどが杞憂に終わりました。出演者たちの才能が次々と炸裂した素晴らしいシーンの数々に、共演者も観客の皆さんにも満足してもらえたと実感しています。そして、ASTERISKがこうして続いていることが、本当に嬉しい。

 

 

■世界観を広げてくれるような人とタッグを組む。

 

MIKEY
長谷川さんは、本番が終わった後に、喪失感でも、燃え尽きた感でも、反省感でも何かしらの感情で、「ズドーン」と100%ハッピーじゃないような感情になることはなかったですか? 

 

長谷川達也 どんな時も常に「完璧にできた!」ってことは、一生ないと思うんですよね。そういう意味では100%ハッピーとか、満足っていう実感はないかもしれませんが、それでも毎回限られた時間の中では妥協をせずにやってきたと思っているので、達成感はすごくあります。 

 

MIKEY IMG_2201そうなんですね。私は去年、本番までの作っている段階はすごく大変なんだけれども、楽しかったんです。でも、やっぱりこういう大きいプロジェクトで自分の作品を出すと、普段のクラブなどでショーをやったときとは違う評価があったんです。私は結構、自分がどういうふうに評価されているかがすごく気になっちゃうタイプだから、SNSで、いろんな人たちの意見や感想を検索してたんですけど、いい評価をしてくださった方もいっぱいいたんですけど、厳しい批判もありました。それで結構しばらく落ち込んでしまったんです。実際、終わった後はダンサーも私も、みんなハッピーで達成感もありました。でも、お客さんにとっては、作品がよかったかどうかだけで、こちらの達成感とかは関係ない人もいるんですよね。そういう評判も見て、「あ、そっか、大きなプロジェクトにはいろんな評価がついてくるものなんだな」と、それまでハッピーになっていたところを、ズバッと脇腹刺されたような感覚になってしまって。でも、それはASTERISKをやらなければきっと知ることのなかった感覚でした。

 

 

TDM 前回そういうことを経て、でも今回また演出にチャレンジしているのは、どういう気持ちからですか?

 

 

MIKEY
前回は、「これは自分との戦いだ」と勝手なルールを作って、それに縛られていました。脚本もストーリーも音楽も、どこまで自分ひとりでできるかということに、何故か拘っていました。その結果、自分がこんないろんなこともできるという証明にもなりましたが、それがいいとは限らないと思いました。同時に、すべてを完璧にはできなかったと感じて、その反省もあって、今回は中村うさぎさんに原作の本を考えてもらったり、音楽は前回も担当して下さった安宅さんに任せる部分を増やしたり、もうちょっと周りの信頼している人に委ねる形でやってみたいと思っています。

 

 

 

TDM
 現時点で委ねてみて、自分ひとりで作る作業との違いはありますか?

 

MIKEY 自分ひとりでやっていた時は、たぶん、他者に委ねる怖さがあったと思うんです。自分の世界観の純度の高さが価値だから、それを少しでも違う解釈になって世界観を変えられるのが、すごく嫌でした。でも、逆を言えば、その世界観を広げてくれるような人とタッグを組めたら、何か違った自分の刺激や満足にも繋がるんですよね。実際、今回うさぎさんのストーリーには「あ、これはちょっと私には考えられないな」ということもありましたから。そういう意味でも、今回長谷川さん率いるDAZZLEさんに出て欲しいと思ったんです。私の世界観を逆に助けてほしいです。長谷川さんの力を借りたいと思っています。

 

 

長谷川達也 それは嬉しいです!ぜひ力になりたいですね。他者に委ねる怖さは僕もよくわかります。ダンサーは当然、ダンスを踊ることに特化しているわけですけど、脚本を考えたり、音楽を作ったりするのはやはり専門家とは言えない部分で。その点は確かに、それぞれの分野のプロが作った方が、絶対的にクオリティは高いと思います。ただその反面、ダンサーだからイメージできている舞台上の景色もありますから、完全に任せるのは不安だったり…。自分でいろいろなことができるのは良いことでもありますが、効率を考えるとマイナスな面もあります。なので、本当に信頼できる方と組めるなら、それが一番いい。高いクオリティとの相乗効果も期待できますしね。

 

続く

[PICK UP]原作・中村うさぎ、演出・牧宗孝。*ASTERISK 「Goodbye,Snow White」 新釈・白雪姫

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