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気付けば舞台で活躍しているB-BOYとして気になる存在となっていたTAKASHI J/B。舞台「WASABEATS」に初演から出演している彼は、ダンサーが活躍する舞台の可能性をどう捉えているのだろうか。そして、3回目となる新作ではどんな彼を見せてくれるのだろう。唯一無二のオリジナルスタイルを追求し続け、ダンサーとして“何か”になろうとしている彼の生きざまに注目していただきたい。
世界で唯一無二のダンススタイルHAND STAND ROCKlNを確立し様々なステージで活動中。ブレイクダンスの世界ではR16 2009(世界大会)SHOW部門・BATTLE部門ダブル優勝(世界初)、BATTLE OF THE YEAR 2009(世界大会 SHOW部門優勝、UBC 2010(世界大会)SHOW部門優勝という結果をのこしている。
■最強に個が求められるブレイキン。
TDM | : | B-BOYのダンサーとして、植木豪さんは初めてアミューズという大手の事務所に所属した方ですが、その次に、一番舞台で目に入ったのはTAKASHI J/Bさんでした。単に、アクロバットやブレイキンができるだけじゃなく、毎回オファーを頂くということは、毎回サプライズを与えられているのだろうと想像します。常に舞台に携わっていられるダンサー、しかもB-BOYとして代表格ではないかなと思います。実際の活動を教えて頂けますか。 |
TAKASHI J/B | :![]() |
普通、ツアーのリハーサルはナンバーごとに作って、後から順番に並べていくんですけど、マドンナの場合は、コンサートの順番で作っていくんですよ。オープニングから作っていって、そのオープニングが終わったら2曲目を作って3曲目…全部コンサートのセットリスト順にリハーサルをしていくんですよ。それはすごく新鮮でしたね。 |
TDM | : | 確かに。B-BOY人口も多いし、B-BOYだけで世界大会が存在していて、成り立っていますね。 昔、B-BOY PARK(※)ができた時はブレイキンのシーンも見ていましたが、今はダンスシーンが大きくなって、さらに細分化してるから、なかなかブレイキンのシーンまでは追いかけられていないのが現状です。最近はオールジャンルのダンスが見れるイベントも少ないし、ブレイキンが見れるイベントは特に少ない。ブレイキンを教えているスタジオも少ないかもしれません。※B-BOY PARK:1997年から続く、日本最大規模のヒップホップの祭典。ライヴやトークショー、MCバトル、B-BOYバトル、DJバトルなどが代々木公園で開催されている。 |
TAKASHI J/B | : | いや、それがここ6、7年でブレイキンの人口が増えてきて、子どもも増えてきています。たぶんダンスがブームになってきてる流れからなんでしょうけど、ブレイキンもダンスジャンルとして広まって、レッスンが成り立っているというのも最近はあると思います。 |
TDM | : | それは嬉しいですね! |
TAKASHI J/B | :![]() |
ブレイキンはある意味フリースタイルなんですよ。最強に個が求められます。例えば、その子がたまたま他のジャンルのダンスをやっていた子で、その後ブレイキンをやり始めたら、ダンスの基礎を持つB-BOYになれると思います。一方で、ダンスの基礎がまっさらから入った子はリズムの取り方を知らない。みんな、それぞれのルーツを持って、それぞれのスタイルのブレイキンをやっています。ブレイキンでは「絶対バク宙をできなきゃいけない」とか「逆立ちを絶対しなければいけません」という決まりはありません。逆立ち系の技をやる人もいれば、逆立ちを1回もしないスタイルの人もいる。でも、それが同じところでバトルする状況になるわけです。 |
TDM | :![]() |
ブレイキンのバトルで勝つためには? |
TAKASHI J/B | :![]() |
技の精度をあげることですかね。そして、ミスをしない。バトルに出るときのB-BOYはバトル用のスタイルを作るんです。僕はあまりソロバトルが好きじゃないので、ここ何年かはバトルに出ていませんが。チームバトルは自分の好きなスタイルができるからいいんですけど、ソロだとバトル用のスタイルが必要になるので…それが僕のやりたいスタイルと違うんです。 |
■オリジナルを究極に突き詰めるという哲学。
TDM | :![]() |
どういうスタイルが好きなんですか? |
TDM | : | 今、34歳ということで、この年齢までやっていると思っていましたか? |
TAKASHI J/B | :![]() |
20代後半からアクロバットを続けているのは、昔から考えたらあり得ないですね。 |
TDM | :![]() |
まだまだできる感覚はありますか? |
TAKASHI J/B | :![]() |
あります。だけど、結局、すべて自分次第です。どれだけ意識してアスリート生活をするか。自分を制御できるか。食事に気をつけて、生活に気をつけて、常にアスリートの感覚でいないと、どこかでたぶん怪我しますね。そこはもう、わかってるんで慎重にしてます。それを考えられなくなったら、すぐ体の調子悪くなっちゃうんで。普通に生活してたら、すぐに「もう歳だから動けないな」ってなると思います。だから、年齢を重ねても続けるには、精神力の問題だと思うんですよ。明日アスリート生活をやめようと思ったらいつでもやめれちゃいますからね。正直やめようと思ったことはあります。だけど、その時は本当の本当ではそう思ってない。ただ、その時しんどいから、逃げたいだけで思ってしまうときが多いですかね。「ちょっと休みたいな」ってとき。だから、結局続ける方法を毎回探していますね。 |
■目標は「人に伝える」こと。
TDM | : | ここ最近ずっとライブや舞台の本番が続いてますね。 |
TAKASHI J/B | : | はい、ここ2、3年はずっと続いていますね。 |
TDM | : | 初めての大きな仕事は何でしたか? |
TAKASHI J/B | :![]() |
大学2年生くらいの時に、GACKTさんのツアーが、初ステージでした。そこで相当鍛えられましたね(笑)。それからほぼ毎年やらせていただいて、いわゆるプロダンサーという生活が始まりました。でも、その時はすごく楽しいことも苦しいこともありました。自分はB-BOYで、他のジャンルのダンサーと居て、自分の専門じゃないこともやらなきゃいけなくて…。自分のスペシャリティも必要とされているような無いような状況だったりして。でも、楽曲やステージに合わせて、そこで必要なものをやるというのが大事だと思うので、そこを理解して取り組んでいました。 |
TDM | :![]() |
その重要性を若いときから現場で感じられているのは貴重な経験ですね。今回第3弾を迎えるWASABEATSには第1弾から参加されていますが、第1弾、第2弾と参加してみて何か変化はありましたか? |
TAKASHI J/B | :![]() |
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■自分のまんま、必要とされる状態でステージに立てるか。
TDM | : | 舞台を作ってる時とライブを作ってる時での、取り組み方の違いはありますか? |
TAKASHI J/B | :![]() |
舞台、特にWASABEATSは自分らが主役になります。そこが、ライブと全然違うと思いますね。ライブはどこまで行ってもアーティストのサポートなんですが、ダンサーも前に出ていいし、出るべきだし、前に出なきゃいけないと思います。僕が見えてる範囲で言うと、舞台畑の人たちのところにダンサーが行くと、別物になるんですよ・・・。あとセリフがあるか無いによってもまた違いますね。WASABEATSはセリフがないので、ダンスエンターテイメントと呼べますが、セリフがあるとまた違ってくると思うんですよ。そこがダンサーにとっての1つのハードルなんじゃないかな。 |
TDM | :![]() |
TAKASHI J/Bさんは舞台上でしゃべることに抵抗ありますか? |
TAKASHI J/B | : | 僕は、ダンスの舞台だったら大丈夫です。でも、本当に演技のみの舞台になると、まだきついなとは思いますね。発声や演技の指導をしてもらえれば大丈夫かなという感じはしますけど。気持ち的には大丈夫です。 ただ、セリフもダンスと同じくらいのクオリティに持っていかないと、その差が気になっちゃう人ってたくさんいるのでそこが怖いですね。そうなりたくないから喋らないという選択肢を選んじゃうと思います。「まあ、あの人ダンスの人だから喋れなくてもいいね」って許してもらうのは一番嫌です。でも、セリフも作品の中で使えたら面白いだろうし、伝わることもたくさんあると思います。だから、そうなるとやっぱり発声練習したりとか、いろいろスキルを学ばなきゃいけないと思います。舞台ってそういうあら探しをされる厳しい側面もあると思います。だから、舞台の上では、常に強いもの見せていかないといけない。 |
TDM | : | ここ何年か舞台作品に携わる上で、自分のダンスの表現で難しいなと感じたことはありましたか? |
TAKASHI J/B | :![]() |
自分との戦いですかね。自分が自分のまんま、そこに必要とされる状態でステージに立てるかというところですね。自分の中では、自分のスタイルをもっと表現できるんじゃないかと、その方法を悩みながら毎回そこでのベストを出していますし、それをずっとやっている感覚です。 |
TDM | :![]() |
いろいろチャレンジが続くと思うけど、そういう市場も成り立って、どんどん活躍できる若い世代が増えていってもらえたらいいですね。 |
TAKASHI J/B | :![]() |
そうですね。でも、なかなか難しいんですよね。B-BOYとしての進化形で僕はいるつもりでいるんですけど、後ろからそこを目指してくれる人たちはまだいなくて…。でも、今は、本当にダンサーは舞台に向かってると思いますけどね。だって、ストリートダンサー畑の人達がよく舞台をしているのを観に行きますし、レッスンの延長線上に発表会の舞台がありますよね。みなさんの拘りが詰まっていて、それが演出ありきの舞台作品のひとつだと思います。だから、みんな興味があるのだと思っています。ダンスで夢を与えられるようになればいいと思うんですけど、なかなか難しいんですよね。単純にダンスに感動するから、その人の活力になるだけでは難しいことなのかもしれません。 |
■それは「まだ自分が達してないからだ」と理解していく。
TDM | : | TAKASHI J/Bさんの存在は「あ、舞台にB-BOYが出てるんだ!」という夢を与えている実演にはなっていと思いますよ。 |
TAKASHI J/B | : | 一般の人に伝わりやすい所って、そこですもんね。でも、まだまだダンサーと俳優や歌手との立場には差があります。それはもう根本を変えないと変わらない。組織として大きくなればなるほど、変えられない仕組みがあります。そうなるとちょっと自分じゃ介入できない部分になってくる。そうなると、やるかやらないかの究極の選択を迫られてしまいます。そこで感情的になったら終わっちゃう話なので、そうならないように、自分なりに楽しくできるように、気持ちの調整をしていますね。それが、できない時はやっぱすごくしんどいです。それも仕事の一環ではあると思っています。現場では、いかに自分を理解してもらって、B-BOYの立場やダンサーの立場をあげてられるかと考えているので、毎回「難しいなあ。でも、諦めない。」という想いで続けています。結局、いろんなところで文句言い始めたらきりがないし、それは「まだ自分が達してないからだ」と理解していかないと、次には繋がらないし、「じゃ、自分らでやればいいじゃん」という風になっていきます。それが出来たのが、WASABEATSの第1弾でした。僕の中ではそこを全部クリアできたんですよ。もちろん、舞台はいろんな人の力を借りて、成り立つ物ですし、「本当に人を感動させられますか?」って問われた時に、人の後ろでやる時よりも、より自分たちへの責任が増すので、より厳しくなりますけどね。
でも、WASABEATSは、ある程度自分で引き付けなきゃいけないので、自分という存在が本当に問われます。そこで自分が納得できなかったら、自分はそれまでということだけなので。そして、「結局、文句言ってるだけじゃん。」ってなる。でも、いちアーティストとして、ダンサーが人に何かを与えたいなら、それくらいしないと無理だと思います。 |
TDM | : | 先日、ダンサーと話していた時に、芝居の人は稽古場に来たらずっと練習してるし、必死でその稽古という時間を集中してる人が多いけど、ダンサーはそこからまず意識違いますよねって話したことがあります。 ダンサーが踊りや自分自身を表現する面で凄ければ良いのかもしれないけど、もうちょっと、いい意味で真面目に取り組むというのが、常識的な習慣レベルですごく低いなと思いました。
カルチャーとして、遊びの延長でやってるカッコ良さもあるし、遊びがあるからおもしろい物もどんどん出てくるんだけど、でも真剣にやってるとか、命かけてやってる、取り組む現場が、もしかしたら現場としてまだ少ないのかなと感じましたね。 |
TAKASHI J/B | :![]() |
結局、みんな器が先になっちゃうんですよ。そこにハマろうとするのが普通。無いものを求めたり、自分たちで器を作り出すと考えることは難しいのかなと思います。新しいものを作り出すというのは半分妄想的に思われているのかもしれません。でも、絶対誰かが取り組み続けないといけない。僕がオリジナルを作る作業はそういうことなんです。常に、新しいものを追い続けて、一瞬何かできる瞬間が楽しくてずっとやっていますね。 |
TDM | :![]() |
オリジナルを作り続けてきたとなかなか言える人はいないですよ。だから、続いてるんだし、認めてもらえているんだと思います。 |
■すでにある器にハマることを否定し、新たに作り続ける姿勢。
TAKASHI J/B | :![]() |
![]() |
TDM | : | でも、昔からダンスの舞台作品を追っている我々としては「舞台を目指してくれてる子たちが多くなっている」という意見だけで、嬉しくなりました!3回目のWASABEATSを楽しみにしてます。 |
TAKASHI J/B | :![]() |
はい、かまします! |
TDM | :![]() |
ありがとうございました! |
→[PICK UP]革新的なダンスステージ。『WASABEATS』第3弾
interview by AKIKO
’16/05/04 UPDATE
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