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PINO × Kento Mori 〜マイケルが遺した2人の自然人。〜
PINO × Kento Mori 〜マイケルが遺した2人の自然人。〜
マイケル・ジャクソンが後世に遺してくれたことはたくさんある。PINOKento Mori、この2人に共通しているものは“ナチュラル”で在ること。“ダンスが好き”という純粋な想いが自分を動かし、周りを動かしている。Kentoが踊る上で意識している「不純物を入れない」作業は、時に大変なことかもしれないが、観客を楽しませる“エンターテイメント”という視点が定まっていれば、ぶれることはないのだろう。

ダンサーの社会的地位向上という言葉が一時期話題になったこともあったが、結果的にダンサー個人の影響力があれば自然と確立していくものだと思う。ナチュラルに時が流れるのを楽しむ2人の会話から、ダンサーの存在価値として、今後社会に必要とされるであろう“影響力”を感じることができた。

そういうダンサーがダンスシーンだけでなく、いろんな環境で活躍し、アーティストという意識を持って行動していけばダンサーの未来は開けていく。そんな人材をマイケルは残してくれた。彼が遺した恩恵に感謝しつつ、また新たに創り上げていくダンスシーンの1歩を歩んでいきたいと思う。

PINO×Kento MoriPINO

愛知県出身。名古屋にて80年代後半からブラックカルチャーに惹かれ、ニュージャッ クスイングでダンスに目覚める。1993年からPINOCCHIO(ピノキオ)を結成。現在は ALMA(アルマ)としても活躍中。HOUSEというスタイルの枠にとらわれないフリース タイルでの表現は現在もダンサーのみならず、様々なジャンルのアーティスト達に絶 大な支持を得ている。

■JAPAN DANCE DELIGHT VOL15優勝
■ストリートダンスの世界大会「JUSTE DEBOUT」(フランス)2008年ハウス部門優勝
■avex、MTV、外資系タバコメーカーなど企業イベント多数出演
■バックアップ TRF
■ダンスDVD各社10タイトル以上出演

PINO×Kento MoriKento Mori

1985年3月3日、愛知県生まれ。2006年、単身渡米。
2008年、マドンナのワールドツアーダンサーに抜擢される。
2009年、マイケル・ジャクソンによって専属ダンサーに選ばれるも、自ら辞退。
2010年、ダンサーとしてアメリカ永住権を取得。海外トップアー ティスト(チャカ・カーンやニーヨなど)のダンサーも務めなが ら、 日本を含む世界を舞台に活動の場を広げる。これまで世界3 6カ国、70以上の都市でパフォーマンスを行っている。
2010年6月25日、マイケル・ジャクソンの一周忌に最初で最後の自叙伝「Dream&Love」を上梓。
[Official Site]http://kento-mori.com

「熱い」ところで繋がっていく…

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二人は既に仲が良いみたいだけど、きっかけは?

Kento

PINO×Kento Mori僕は、PINOさんをもともとハウスのすごいダンサーということと、すごくマイケルが好きな方という話を、はむつんサーブのりきっちょ君から聞いていました。りきっちょ君もものすごくマイケルが好きなので、そんな彼が日本で好きなダンサーとしてPINOさんの名前を挙げていたので、覚えていました。

ただ、接点もまったくなかったので、先日の日本でのマイケル・ジャクソントリビュートイベントで、出演ダンサーとして来てくれたときに初めてお会いました。イベント自体は大成功で、皆ものすごくいいスピリットだったし、「マイケルが好き」というシンプルな気持ちだけで集まってくれたことがムチャクチャ嬉しかったですね。

実際、リハや本番中にはPINOさんとちゃんと話す時間がなかったのですが、たまたま、BASE HEADSのGEN君に頼まれて衣装の忘れ物を取りに行ったときに話す機会があり、話してみると、地元が近かったり、マイケルが本当に好きだって言う話ができて、前回の帰国の時には飲みにも行って、仲良くなれました。でも、まだPINOさんのハウスを観たことがないんですけどね (笑) 。

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PINOはアンダーグラウンドからも支持があるからね。

Kento

あ、それはBASE HEADSのKEITA君が言っていました。PINOさんはアンダーグラウンドにも絶大な支持があるからすごいと。

PINO

別に意識してないけどね (笑) 。

Kento

ただ、PINOさんも僕の踊りを見てないですからね。マイケルダンスは見てるけど、Kento Moriスタイルのダンスはまだ見てない。だから、今のところマイケル好きということで繋がっているので、僕たちの関係はまだ始まりの始まり、くらいです。

PINO

ま、またタイミングが来ると思うよ。もう熱いヤツだってことはわかってるから。

Kento

今回は6月25日発売する「Dream&Love」という本のプロモーションのための帰国なんですが、日本にもアメリカにもいろいろ迷惑をかけてしまっていて、改めて両立が難しいなと実感してます。だから、よく「日本と、アメリカ、どっちにするんだ?」って聞かれますが、この仕事はギリギリまで状況がわからないし変わるので、二兎を追う者は一兎をも得ずで、スケジュール管理が本当に難しい。それが今一番の悩みですね。

PINO

俺も同じ日、マイケルのショーでイベントをはしごするんだよね。まだ何をやるか考え中なんだけど、95年のMTV Music Awardのショーをやろうかなって・・・

Kento

PINO×Kento Moriあ、かぶった! (笑) 。

俺はBilly Jean〜Dangerous〜MTVのショーをダイジェストでやろうと思っていて、最後に、マイケルではない曲でKento Moriスタイルで踊ろうと思ってます。

どうやら俺のことをマイケルのモノマネだと思ってる人が居るみたいで、マイケルの踊りをやっていることだけが先行しているので、マイケル追悼イベントで、自分のオリジナルの踊りを捧げたいと思いまして。

でも、リハーサルをして、お客さんが一番盛り上がるもの・喜ぶ状態を優先するので、それを確認してから決めます。前半のダイジェストは、おそらくみんなが見たいだろうから、お客さん目線で決めました。

PINO

俺は、アレをやりたいから、決めただけだけどね・・・ (笑) 。

やりたいことに飛び込めば、生活の中に大切なものが生まれる。

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先ほど話に出た、Kento君の本「Dream&Love」の紹介に移りたいのですが、マイケルの1周忌に合わせて発売したんだよね。この本には何が詰まってるの?

Kento

PINO×Kento Mori簡単に言うと・・・夢と愛ですね (笑) 。

今までただ好きなことをやってここまできたのですが、ダンスを始めてから今までの25年間を書いています。僕の地元にはダンスがあまり盛んではないし、ましてやダンスの教育が行き届いているわけではない環境の中で、マイケルに出会ってから大好きになり、のめりこんで、ずっと追いかけてきました。

そして、当時自分の中に設定した最も高い目標をマイケルジャクソンと仕事をすることにしました。設定した当時、それは雲をつかむような、宇宙にあるような夢でした。ただ、夢なんてどんな大きいものでもいいんだから、僕自身はその夢に向かって歩き出しました。

マイケルのオーディションがあり、受かったんですけど、マドンナとの契約でダメになり、そのとき俺は納得ができなかったし、まったく整理がつかなかった。

こんなに自分を駆り立ててきたものが手に入ったのに、失わなくてはいけない・・・理由は見つけられなかったし、これ以上に辛い経験があるのか、、、と思いましたが、前に進むしかないと思い、マドンナとの仕事に専念しました。

マドンナを選んだとはいえ、これだけやってきたんだから、神様はまたマイケルと仕事をするチャンスをくれると思っていました。それだけを信じて前を進んでいたんですが、マイケルが亡くなったというニュースが入り、コレで僕の夢がゼロなってしまった。

マイケルが亡くなって本当に悲しい気持ちでいっぱいだったし、自分がこの先どういう方向に進めばいいのか見失いそうになっていたときに、マドンナが「マイケルになって踊って欲しい」と言ってくれたんです。

そのとき、だから神様は僕をマイケルのツアーに行かせず、マドンナを選んだことによってこういう使命を持たせたんだなと思いました。

PINO×Kento Mori結局、ダンスだけではなくどんな世界でも、夢を追いかければ実現すると言いたいし、たとえ実現しなかったとしても、何らかの理由があるし、あとから大きな出来事になって自分に返ってくる。僕は実体験を通してそう思い、この本に書き記しました。

タイトルにある“Love”に関しては、僕の大好きなおじいちゃんのことを書きました。

マイケルのオーディションを受けるかどうかのとき、末期がんで余命2〜3ヶ月と言われていて、マイケルの亡くなる1週間前におじいちゃんも亡くなってしまいました。

そのおじいちゃんが亡くなる前に、僕に「けんちゃんがマイケルに行けなかったのには絶対に理由がある。それはいつになるかわからないけれど絶対わかるときが来る。」と言う言葉を言い残してくれました。

おじいちゃんの言葉を信じていたら、マイケルが亡くなって、マドンナでのパフォーマンスだったので、おじいちゃんが言った言葉はこういうことだったのかとわかりました。

自分が夢を追いかけたときに、ダンサー同士だったり、家族だったり、マイケルと自分だったり。。。自分の周りにあるいろんな支えや愛にたくさん気付くことができました。

「Dream」と「Love」は切っても切り離せないもの。夢を追いかけたことで、それまで普通に過ごしているような時間の中に、ものすごく大切なものに気付けたし、夢への愛があるからこそこうして駆り立てられてきたんだと思います。

PINO×Kento Mori辛いことと幸せなことが一緒に起きたりもしますが、それによって僕の人生はより豊かなものになっています。この本には僕の実体験を書いていますが、それを通じて、ダンサーではなく、どんな職業の人でも、たとえ「いまさら夢なんて・・・」って思ってる人でも、何かやりたいことがあって、それに飛び込んでみれば、今までの生活の中に大切なものが生まれるという僕なりのメッセージが伝わればいいなと思います。

エンターテイメント=人生をより豊かにするもの。


TDM

Kento君の中で、エンターテイメントをどう捉えてる?

Kento

人生をより豊かにするもの。観てくれる人を楽しませる、というシンプルなものですね。同じことの繰り返す毎日も、そういうものに触れると違った角度で時間を刻める。

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エンターテイナーとして心がけていることは?

Kento

PINO×Kento Moriただ素直であることだけですね。自分が感動したことをそのまま伝える。だから相手もそのまま感じててくれる。そこに不純物を入れないことですね。

自分が素晴らしいと思ったり、伝えたいことがあったら、そのまま何も変えずに伝える。だから、伝わると思います。

ダンスは、身体を使った唯一の世界の共通言語だと思います。文化が違っても、言葉が違っても、人が歩く姿、人が飛ぶ姿、人が走る姿、人が泣く・笑うといった感情表現、全部一緒なんです。それを音楽と一緒にやるのがダンス。

僕の中での最大のダンスの魅力は、世界をひとつにできること。それは僕やPINOさん、マイケルも成しえたこと。それは観客にとってもそれが一番の醍醐味。黒人のダンスを観ようが、白人のダンスを観ようが、素晴らしいものは素晴らしい。ダンスは誰もが理解できる、誰もが感じ取れるもの。

僕はダンス・エンターテイナーとして、国境、文化、宗教、人種、年代を超えられる唯一の手段であって、世界を、人生をより豊かにする手段だと思っています。

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なるほど。PINOはどう?

PINO

俺は分析したことがないからわからないけど・・・ダンスってなんですか?って聞かれるときに、最大の自己表現って答えてる。それと同じことだから、ダンサーとして感じるところは皆一緒なんだろうね。

Kento

そうですね。自己表現だからこそ、踊りを観るとその人がわかる。

雑な踊りをする人は大雑把なところがあったり、細かい踊りをする人は細かいことが気になる性格なんだろうな、アグレッシブな踊りの人はすごく感情豊かな性格なんだろうな、ってその人が見えてきますよね。

言葉をしゃべらなくてもその人がどういう人間かわかる、そこが国境を越える術としてのダンスのいいところ。お互いに自己表現しているから、分かり合える。

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自分の表現の仕方として大事にしていることは?

Kento

自分らしくいることだけですね。今まで出会った偉大なアーティストやダンサーから学んだことは、結局自分であることの大切さ。

たとえどんなに流行っている洋服でも、自分に似合わなければ着ない。ファッションだけでなく音楽へのアプローチもそうだし、誰かがこうしているからとか、流行どうこうではなく、自分がいいと思ったらそれを突き詰めたいし、いくらでも吸収したい。この領域だったら絶対世界一だということを大事にしたい。いいと思うものを伝える側にいるなら伝えたいし、そこに何も不純物は入れたくないですね。

PINO

PINO×Kento Moriストリートダンスを始めた頃から、日本ってモノマネ文化って言われてる所があって、例えばニューヨークなんかのオリジネイターがいて、彼らに近い人達が一線でやってる感じだった。

俺は名古屋にいながら、その環境のおかげかもしれないけど、マネるだけっていうのもどうなんだろうって思ってた。ニューヨークから、かっこいいストリートダンスをもらって、でも、彼ら一人ひとり全く違うスタイルだから、要素をもらいながら、俺はこうだ!っていう風に踊ってた俺と、また同じ考えのケンジがいた。マネは上手くなる上で大事だし凄くいいこと。ただそこからの自分なりの何かが作り出せれば素晴らしいよね!

俺たちは異色ハウスって言われたり、ある時はあんなのハウスじゃないっていう意見とかもあったんだけど、あのオリジナルスタイルはやばいって言ってくれる人もいたし、自分たちもそこを信じて突き詰めていった。

さっきKentoも言ったように、自分に合わないものは嫌だよね。自分がいいって感じるものはもうわかるし、それを全く一緒にやらないで、自分なりにミックスさせて完成させたときに気持ちいいなって感じる。

自分の感性をずれない様に保つというよりは、意識しないで自然体でいる方が保てる。いいなって思う感覚はそういうものだし、好きな物を好きなときに好きなだけ食う、みたいな。そのいい感覚を持った状態で、新しく何かのダンスにするときに、自分で「あ、パワーアップしてるな」ってのがわかる。その感覚をすごく大事に見つめなおしたりするかな。

今までもこれからも自然発生的な心のままで。


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今度のWORLD WIDEで「PINO×三浦大知」っていうコンテンツがあるんだけど、この「×」を見てPINOが喜んでくれたんだよね。

PINO

PINO×Kento Mori普段からKentoも言ってるけど、ダンサーがアーティストとしてやっていくための条件として、アーティストとダンサーその他大勢って感じではなく、いちアーティスト同士の扱いにこそダンサーとしての意味があるって言うけど、それを「×」っていう見出しから感じて、それが嬉しかったんだよね。

Kento

いちダンサーが個人としてアーティストと同じ立ち位置に立つってことですよね。僕も、最近の言動のすべてはそこなんです。

僕自身アーティストだと思ってやっていますが、それを実現させている人、そういう意識で動いている人はほとんどいないと思います。ダンサーはそういうもんだといってあきらめるのではなくて、それもウソがない行動だと言いたいし、変えていけるものは変えていきたい。ダンサーというアーティストを認知させていきたい。自分自身は認知させられるレベルのところにまで持っていきたいし、その上で人をエンターテインさせられたら嬉しいですね。

以前、加藤ミリヤちゃんの楽曲にソロで参加して欲しいと言われ、自分の名前を同じ扱いで出してもらうことと、ソロは僕だけで躍らせて欲しいと言ったら、「そこに私は何も手をつけないから、音楽も含めて好きなようにやってもらってかまわない」と言ってくれて仕事をしたことがあります。

今までアーティストと同じ位置でクレジットされてるダンサーや楽曲はアメリカにもないと思うし、僕は今までなかったことが逆におかしいんじゃないかなって思ってるくらいです。ないならこれから作って生きたいし、それがこれからのダンサーのステップのひとつだと思うし、ネクストレベルだと思います。

だから、やりたいようにやらせてくれた彼女にはすごく感謝しています。彼女とは地元も隣町だし、何かの縁を感じたので、チャレンジしてみて良かったです。

いちダンサーとしてなら存在できるけれども、僕らのやれる可能性はまだまだ小さいフィールドで活動することがほとんどだと思います。シンガーは声をインストゥルメンタルにして、ミュージシャンも楽器をインストゥルメンタルにしていて、僕らは体をインストゥルメンタルにして人を楽しませる。ただ、あまり一般の人の目にそれを届ける手段が少ない。

いちダンサーで最大限の可能性を試していきたいと思っていきています。

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これまでにないものを打ち出すときに、相手からしてみるとそれは当たり前ではないもの。わかってもらいたいけど、押し付けたいわけではない。ただ、いいと思っているものだからこそ伝えたいんだけど、前例がないとパターンがないから相手が困ることもあると思う。どういう形で提示していけばわかってもらいやすくなるのかな?

Kento

PINO×Kento Mori結局こちらは過去にやったことがないことをやるから楽しくてしょうがないし、皆が悩んでようが僕は僕の道を行くだけですね。

アーティストに所属するのではなく、いちダンサーというアーティストになって、動くしかない。なしえていきたい。マネージャーもつけていることすら、もっと他に例としてあってもいいと思ってるくらいなんです。

最初に道を作ることで、次に繋がる人たちが「あ、そういうやり方もあるんだ。」って思ってもらえる。しかも、フィルター純度100%の状態で俺が思ったものをそのまま発信していけば、俺が作った道は本当に純粋なものだと思います。本を書きたいと思ったからこそ実現できたし、ダンスのムーブひとつでも、心をこめて踊っています。

心は自然発生的に生まれるもの。込めなきゃ!といって込められるものはない。感じるからこそ込めるもの。プレゼントは贈りたいと思うから心がこもって贈れるものだし、ダンスもお客さんへのプレゼントだと思えば、自然に心がこもると思います。

今までも自然発生的に生まれた心のまま踊ってきたし、これからもそのまま踊っていきたいですね。

形になってきたことへの自信と、そのおかげで今の自分があることへの感謝。


TDM

PINOがHARLEMのスタッフブログの企画で「天国と地獄 〜聖地巡礼〜」っていう密着取材を受けてたけど、あの取材もPINOの人柄があったからなんだろうね。そもそもどういうきっかけだったの?

PINO

PINO×Kento Moriはっきりした理由は俺にもわからない (笑) 。もっとHARLEMのお客さんが反応 するようなDJやラッパーはいると思ったし「何で俺なの?」って聞いたら、「PINOさんのその人間性を皆に伝えたいんですよ」って言ってた。

飲むとき飲んで、踊るとき踊って、ダンスのシーンは最後に少しあるだけ。取材を受 けながら皆の愛を感じた。その気持ちだけで動い たね。スタッフは単純に俺を人に伝えたかったんだという所。そこに凄く胸が熱くなった。

俺は、今、具体的な将来のビジョンがあるかないかと聞かれたら、ない。というか分からない。今までやっ てきたことがある程度形になってきたことへの自信と、そのおかげで今の自分がある ことへの感謝と、ひとつのものを極め続けて、精神的なところまで大人にしてもらえ た。

ストリートダンスにしろ、料理にしろ、何事も、ひとつのことを突き詰めると、深い ところまで見えてくる。それがあるからこそ、具体的なビジョンがなくても安心して やっていられる理由。

自分の強い気持ちがあれば目先のあれやりたい、こうしたいという気持ちだけで、間 違った方向に行かず、できちゃうんだよね。それが20年間のダンス人生の中で学んだ こと。だから、今やりたいことは「6月25日のマイケルトリビュートイベントをちゃ んとやる」ってことだけだし (笑) 。あとは、2〜3年後くらいに、今以上にダンスを 楽しんだ上で、もう少し一般へメッセージを伝えられるような高みにまでいけたらい いなって思ってるかな。

Kentoもそうじゃない?将来具体的なビジョンを持つというよりは今を一生懸命にっ て感じだよね。

Kento

極端に言えば、1年後ダンスをやってないかもしれない。それくらい何ヵ月後先のことすら、自分がどうなってるかわからないけど、でも近い未来を考えたら、いつもやりたいことはダンスにまつわることだけ。

ただ、常にダンスのポテンシャルを引き出したいし引き上げたい。日本のダンス界、エンターテイメント界を変えていきたいというビジョンは持って、日本での活動を始めていきたいと考えています。

PINO

PINO×Kento Moriそれを信じてやってるだけだよね。それが最終的な自分のエネルギーなんだよね。将来のことを考えて病んじゃう人もいると思うけど、そういう人たちに伝えてあげたいね。自分で人生は幸福にできるし、自分はそれがダンスなだけであって、人それぞれの手段がある。

そんな幸せなものに中学生のときにめぐり合って、それが楽しいからやってきて、今はそれで親孝行もできてるから、良かったですね、チャンチャン、みたいな (笑) 。ま、これからも続いていくと思うけどね。

※音が出ます。
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'10/07/21 UPDATE
interview & photo by AKIKO & imu
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