TDM - トウキョウダンスマガジン

TDM SPECIAL ZEAL STUDIOS発表会2007
演出・SHUN 〜人は何かを“残す”為に生まれてきた〜
 
TDM SPECIAL ZEAL STUDIOS発表会2007 演出・SHUN 〜人は何かを“残す”為に生まれてきた〜
ダンススタジオ発表会特集第2弾、今回はZEAL STUDIOSの発表会にクローズアップした。今回でZEALでの演出を手がけるのは3回目となるSHUNが、想い描く世界とは…。発表会という舞台上でダンスを介して具現化されようとしている奥深いテーマを語ってくれた。
公演名 8th ZEAL STUDIOS 発表会
おどっちゃいます2007〜3elements〜
日程 1) 2007年5月5日 (土) 開場17:30 開演18:00
2) 2007年5月6日 (日) 開場12:30 開演13:00
3) 2007年5月6日 (日) 開場17:00 開演17:30
2日間3回公演
会場 文京シビック大ホール
最寄駅 東京メトロ 丸ノ内線/南北線「後楽園駅」徒歩0分
都営地下鉄 大江戸線/三田線「春日駅」徒歩1分
JR「水道橋駅」徒歩8分
演出構成 SHUN
振付 HIP HOP
CHITO / GOTO / KENTO / MICCHAN / NOB / O-SHIMA / YO-SIN

HIP HOP JAZZ
KANA / CHIHIRO / NAOTO

JAZZ
aqui / 加藤りえ / まろ / MICHI / RYOSUKE / SHUN

LOCK
SEIJI / HICKY & SORI

HOUSE
SARA / ATSUSHI & SHOGO

BREAKIN
KATSU

KIDS
GOTO & KEIGO
お問合わせ ZEAL STUDIOS
[TEL] 03-5476-8762
[Mail] event@zeal-ww.com
[WEB] http://www.zeal-studios.com/event/
参加概要 ・募集締切 (第1次締切) : 2007年2月16日 (金) まで
・参加資格 : ビジターでも会員でも参加可能

詳しくは下記ページをご覧ください。
http://www.zeal-studios.com/event/

テーマは「Roots (起源) 、History (歴史) 、Seed (種) 」

TDM:
今回の発表会で思い描いている目標のようなものはありますか?


SHUN:
去年、色々なことがあって「なぜ人は生きているのだろう」と考える時間がすごくあったんです。そして考えた結果、人が生きているのはたぶん、本能的に何かを残さなきゃいけないと考えているのではないかと思いました。

この「残す」というのは、例えば子孫とか、そういうものだと思うんですが、この、人が「残す」という本当の意味が深いところにあるのではないか、というところから考えつつ、自分はダンサーとして、アーティストとして何が残せるんだろう、と考えた時に、例えば世の中に絵を残している画家さんや、バレエなどでいえば、振付師の方の残した振付だけで今でも舞台ができるとか、そういうことも「残す」っていうことのひとつですし、ダンサーとしてはそういうことができることが一番幸せだと僕は思っています。一人のダンサーとして、スタジオの発表会としてもそういうことができたらいいなというのが今回目標として描いていることです。

自分がどこから来て、どういう道を歩んできたのか…。“残す”前にはまずそれがわからないとダメだと思い、今回のテーマとして「Roots (起源) 」と「History (歴史) 」、そして“残す”という意味で「Seed (種) 」の3つを基本に、振付する先生たちに「自分の歴史を辿ったナンバーを作ってください」とオーダーしました。きっとそういうナンバーが集まったら、ダンサーとして残したい何かが見えるのではないか、じゃぁ、それを見にいってみよう…というのが今回のコンセプトです。

TDM:
なるほど。作品を作る手段・方法のオーダーですね。誰がどのテーマを選んでもいいんですか?


SHUN :
3つのうちどれをどう組み合わせてもいいんですが、誰にでもダンスを始めたきっかけってありますよね。何かを見た、何かを感じた。それを今の自分の解釈で作ってもいいし、今まで自分が好きでずっと聴いてきた曲をつなげて踊るだけでもいいし、結局その作品は振付の先生の個性・パーソナルが見えるものになると思うので考え方は深くても浅くてもよいと思います。生徒さんも何らかの引力があってその先生に習いにいっていると思うので、それもひとつの歴史・ルーツが発生していますよね。

TDM:
確かに。そういう過程を経て、今回関わる人たちにどういう姿勢で向き合って欲しいですか?


SHUNSHUN :
人の多さや場所に関係なく、発表会に取り組む中で、人とぶつかったり、伝わらなかったりして、わからなくなることがあると思います。でも、それはおそらく、自分がやるべきことを、その手前でやめてしまっているからだと思うんです。できなくても、できないなりに今自分がやりたいことを全部誰かにどんどんぶつけてしまえば、相手は反応できます。逆に自分は演出をやっていて多くの人をまとめる時があるけれど、困ったことは一度もないです。もちろん大変ですけど、こっちが一生懸命ぶつければ、皆返してくれるから、全然大変だと思わないし、むしろ楽です。だから3回も演出をやっちゃうんでしょうね (笑) 。

自分のエゴに人を巻き込むこと。

TDM:
演出をしていてどういう時が楽しいですか?


SHUN:
演出って、ある意味自分のカテゴリーやエゴにいろんな人を引き込まなきゃいけないと思うんです。納得してやってくれている子も入れば、「ん〜?」って思う子もいるかもしれないけど、その全員が同じ笑顔をした時が一番嬉しいですね。「オレがやりたかったのはこういうことだよ」っていうのが、最初はわからなかったとしても、だんだんやっているうちにわかってきて、「あぁ〜!」って理解してくれた時の顔を見るのは、ひとつになった感じがするし、とても嬉しいです。「あ〜、やってよかった。伝わってよかった。」って思います。

いろんな人に支えられているから今自分はそこにいる。

TDM:
演出以外の面から、舞台に立つ上で心がけて欲しいことはありますか?


SHUN:
SHUNいっぱいありすぎですね〜 (笑) 。簡単にいえば、舞台に立てること、踊りができることさえ自分一人の力だけではないということですね。例えば挨拶にしてもそうですし、舞台で照明を浴びるのも、照明の担当をしている方がいるからであって、そこに照明が当たらなければ自分は見えないです。「一人じゃないんだよ。いろんな人に支えられているから今自分はそこにいるんだよ。」っていうことですね。ダンサーとしてというより、人間としての話にもなると思いますが。

TDM:
今回のオープニングやエンディングのイメージはありますか?


SHUN:
それはあります!オレ、エンディングのイメージがないと作れない人なんです。頭から作る人もいると思いますが、オレは“オチから派”です (笑) 。最初のきっかけとオチでこういう画が欲しい、こういう状況にしたいっていうのがあるので、あとはそのオチをよくするには最初からの間をどうするかを考えます。最初にオチが決まっていても、だんだん変わってきたりすることもありますけどね。

TDM:
ちなみにSHUNさんはどのテーマで作るんですか?


SHUN:
僕は「残す」です。

TDM:
そのイメージは?


SHUN:
ダンスで伝えたいメッセージと、今回使う曲のメッセージが近かったので、それでやろうと思っています。よく聴いたらどこかアフリカっぽい音だったりもして、何だか踊りのルーツだなって感じる部分もあるんですよ。でも結局、人の魂や時間ってその3つでぐるぐる回っているものだと思いますね。

TDM:
では最後に、今歴史を紡ぎ続けている若いダンサーの皆さんにメッセージをお願いします。


SHUNSHUN:
月並みですけど、自分だけを信じてやるしかない、っていうのと、この間TVを見ていて、元プロ野球選手の新庄さんが後輩に対して「いつも笑っていろ」と言っていたという言葉が、僕は結構大きく残っています。“いつも笑う”って簡単なことかもしれないけど、そうする為には何をするのかを考えた時に、その言葉の深さを感じて、すごいなぁと思いました。だから今、結構自分がそうするようにしています。ダンスに対してもそういうことを考えながらやっていくことが大事なんじゃないかと思います。

TDM:
ありがとうございます。本番を楽しみにしています。

Interview & Photo by AKIKO


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