TDM BBSでも話題を呼んだ前回のYANAGI/KAZU/SEIJIに行ったインタビューに続く「RIZE」特集第2弾!TDM取材班がなんと現地LAへ飛び、本作に出演していたKRUMPER・ドラゴンスレイヤー(Dragon Slayer)へ行った独占取材の模様をお送りしよう。映画公開から既に3年という月日が流れている今、即興に見えたクランプにはある程度の基礎が必要なダンスということは前回のインタビューでもお伝えした通り。普段から現地でダンサーとして活動していた彼らが「RIZE」という映画に出演することになったというリアル。現地LAでは今のクランプがどういう風に認知されているのか?新しい一面に触れた。
僕も含めて出演したダンサーはそれまで全く無名だったから、あらゆるドアが閉ざされていたけれど、映画「RIZE」によって、いくつかのチャンスのドアが開かれたんだ。特にそのチャンスを感じるのは、オーディエンスに対して自分のメッセージが届くようになったことだね。俺は下を向くことなく、戦っていく気持ち、悔しい気持ちを持ったことによって、 広い世界に、アグレッシブに行動していく、そういう前向きなバイタリティーを持つことができたんだ。
ダンスを教えたり、教会に連れて行ったり、オーディションを紹介したり、映画に出演させたりして、つながっているよ。
基本的にはクランプは気持ち、スピリット的なものだから、そう言う意味で認識して欲しいと思うよ。オレのレッスン2時間のうち、最初の1時間で精神を、次の1時間でダンスを教えているしね。今、踊りというものがショウビズの中でコマーシャライズされているけれど、そう言う商品としての儲けに関わらず、クランプの精神の部分を捉えていってもらいたいんだ。
もちろんまだまだホットだよ。クランプは基本的に心情的なものだから心の変化も多少踊りに取り入れられていくけれど、ダンスのベースとなる精神として持ち続けているものなんだ。自分の中で鍛え上げていくものなんだよ。体の動かし方には個人の差があるものだから、日本人の「文化」と言う価値観を通して見ると、それはスタイルになるのかもしれないね。でも基本的にクランプは即興(フリースタイル)だから。もちろん必要な基礎はあるよ。胸の弾ませかた、腕の振り、足の踏み方や、攻撃的な表現の仕方などそれをミックスして、クランプになるからね。
ダンスとは進化していくもの。スタイルは変わっていくけれど、ベーシックは変わらないんだ。クランプをできない人もいるのは事実。もしジャズをやってる人が踊れば「ジャズクランプ」という、ジャズを介した精神的なものとしてクランプがスタイルに取り入れられていくべきなんじゃないかな。
神に対してゴスペルを歌う人たちがいるのと同じように、我々の年代は、神に対してクランプを踊ることで神を敬うんだ。神に近づく行為なんだよ。
いろんな面をふまえ「RIZE」の与えた影響は大きいと気付く。映画に登場する「BATTLE ZONE」(LAで開催されているクランプの大会)は現在でも健在で、クランプは今でも進化し、洗練され続けていた。一人の写真家が彼らの踊りに感銘を受け、撮り始めた写真や映像によって、名の知られていないダンサーが、自分の表現する環境をつかさどることができた…。いろんな見解はあれど、そこまでこのダンスシーンに影響を与えるきっかけになったこの映画「RIZE」が、時間が経つにつれて存在感のある映画になっているのは言うまでもない。ドラゴン本人の活躍は日本のダンスシーンに伝わり切れてないかもしれないけれど、今回の取材を通して「RIZE」の延長線上にある、LAの現在のダンスシーンが少しでも伝えられたら、嬉しい。