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マドカ 〜 スポットライトよりも大きな光で。 〜
マドカ 〜 スポットライトよりも大きな光で。 〜
来る2014年2月1日(土)〜2日(日)にパシフィコ横浜で開催される伝説のダンスバトル 「POPLOCKBOX feat. NEWSCHOOLBOX 2014」。その発起人であるフォーマーアクションから、マドカ氏にこの日に対する想いとそこにかけられた使命感を聞かせてもらった。

ここ数年で細分化されているストリートダンスシーン、変わりつつあるストリートダンサーとしての生き方を感じている人は少なくないだろう。そんな流れの中で今、マドカ氏たちが強く深い熱意を奮いながらこの日をオーガナイズしてくれる。彼らのエネルギーをキャッチし、多くのダンサーがこの2日間を共有してもらえたら、そこに新しい光が生まれるはず。純粋にストリートダンスを楽しめる2日間になりそうだ。

マドカ●マドカ

日本を代表するポッピンダンスチーム、フォーマーアクションとして活動。相方のKITEとともに、日本国内の大会のみならず世界大会での優勝経験を持ち、その数50タイトル以上。シーンを牽引いていく存在であり、彼のダンススタイルは、他のジャンルからの評価も高い。また数多くバックアップダンサーやテレビ番組、DVD、雑誌、モデルなどの出演も多い。ビックイベントも行っており、彼の起こす活動には日本中のダンサーが注目している。

TOKYO DANCE DELIGHT 優勝
JAPAN DANCE DELIGHT vol.12 優勝
P-1 POP SIDE 2007 in KOREA 優勝
Dance Alive freestyle SIDE 2007 優勝
JAPAN DANCE DELIGHT vol.16 優勝
WORLD DANCE COLOSSEUM WORLD FINAL 2010 優勝
FUNKIN STYLEZ 2011IN GERMANY 優勝 等

東京で本物志向のイベントを。

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POPLOCKBOXをやることになったきっかけは何だったんですか?

マドカ

大阪と東京のシーンの違いを感じてからです。

でも、途中で期間が空いてしまったんで、今回復活させよう!となった時に、力を貸してくれたのがJTBさんでした。JTBさんがプロジェクトに参加してくださり、いろんな企業へ声をかけてくれ、こんなにビッグイベントになったんです。

2月1日(土)、2日(日)にパシフィコ横浜で、2日間8000人キャパです。本当に頑張らないといけないんです(笑)。ストリートダンスのバトル、ショーケース、ストリートダンスの文化に対する全てをここでやります。ダンスイベントの規模では、おそらく世界一だと思います。

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オールドスクールがメインなんですか?

マドカ

いや、ブレイクダンス以外の踊りのオールジャンルです。“POPLOCKBOX”というタイトルなんですけど、今回から“POPLOCKBOX feat. NEWSCHOOLBOX 2014”と言って、ニュースクールも今回から入ります。

というのも、ニュースクール畑の人間から「POPLOCKBOXに自分たちも参加できるようにしてくれないか?」という声がすごく上がって、それに応えたのが、今回の形です。

2日間ありますが、「初日が予選?」「初日がPOPLOCKBOXで、2日目がfeat. NEWSCHOOLBOX?」とか、結構誤解してる人が多いんですけど、初日も2日目も、どちらもメインイベントです。

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マドカくんはどういう形で参加するんですか?

マドカ

マドカオーガナイザーと、プレーヤーとして、フォーマーアクション、舞踏者とフィッシュボーイの5人で関東代表メンバーとして参加します。

2日間で8000人・・・大変です(苦笑)。まず、みんなもそこに食いつきます。「え!?パシフィコでやんの?」って。本当は「はい、そうです。」って胸はって言いたいんですけど、「そうですよね〜。俺も“え!?”って思います。」って不安になります(笑)。

でも、本当は8000人というか、普通にみんなが来てくれれば悩まなくていい数なんです。それくらいのメンバーが集まってくれているんで。だけど、そこにみんながどう求めるのかですね。

YouTubeに載るのを期待されますが、俺たちは絶対に載せないので。噂を聞いて「観に行きたかった!」と後悔してください(笑)。そういう意味でこだわりを貫いていますし、周りにも理解してもらっています。

“ストリートダンス=文化”として発信するために。


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マドカくんはプレーヤーとしていろんなものを見てきたからこそできるのかなと思います。

マドカ

やっぱりダンスはパフォーマンスとして捉えられることが多くて、ストリートダンスというカルチャーとして認められていない現状だと俺は思っているんです。

“ストリートダンスは認められている”と思う方々は、今の環境が居易い方々だと思うんです。でも、“ストリートダンス=パフォーマンス”となると弱いと思います。

俺は“ストリートダンス=文化”だと思っているので、アスリートの要素も絶対に持ってなきゃいけないと思っています。俺たちは、どちらかというとアスリートに、近いプレーヤーとして戦い続けて、勝利し続けなくちゃいけないダンサーなんです。

一般大衆が良いと言えるものではなくて、自分自身がいいと思えるものを追究して、それを常に向上させていくのが俺たちだと思うんです。

ただし、アスリートと言ってもスポーツ選手ではないので、そこは、ストリートダンスの”FUN”な部分もしなくちゃいけないと思っています。まだストリートダンスの歴史は短いですけど、俺はストリートダンスはひとつの新しいカルチャーだと思ってるので、それがいまだに根付いてないと感じています。

協賛がついているストリートダンスのイベントはいっぱいあると思いますが、協賛している企業の人はストリートダンスのことをあまり調べてないと思うんです。自分でお金を出すのに、ストリートダンスのことを掘らずに、イベントについている人が多いので、もっとストリートダンスの特性を知って応援してくれる人がいてくれたらなと思っています。それを理解して頂いたのが、今回のプロジェクトに参加している企業の方たち、本物志向の方々です。

昔、上の方から言われた「ダイヤモンドがあったら、ガラス玉いらないでしょ。」って言葉がすごく響いてて、今では自分の座右の銘になっているんですが、実は、そういう部分に共感してくれる企業の方は、今まであまりいなかったんです。つまり、ガラス玉だと見抜ける人が少ないんですよね。ストリートダンスは特に。だけど、それを理解してくれたという方々と今一緒にやってます。

そもそも、ブラック・カルチャーは、そういう反発心みたいなものから始まっているじゃないですか。ストリートダンスも、自分たちのフラストレーションやアンチテーゼから産まれているので、そういうところで、自分たちも日本でも似た環境にいるのかなと思います。

迷うこともダンスのいいところ。


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マドカくんは、今おいくつですか?

マドカ

30歳です。

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踊りをはじめたのは?

マドカ

16歳です。先輩がやっていて、「あ、かっけぇ!これやったらモテんじゃねぇか!?」と 。でも、ダンスをどっぷりやり過ぎて、全くモテなかったっていう(笑)。

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やっぱりメンズはみんなそこを通りますねー(笑)。

マドカ

はじめたきっかけはそこですが、はじめに観たものが良かったのかなとも思うんですが、ELECTRIC BOOGALOOS (エレクトリック・ブガルーズ)を観た時に、「あ、これがポップというものなんだ。」となりました。

それに付随してのロックやブレイキンも好きになって、映画の『ストリートダンス』には、すごくやばいダンスで、一流の人間が出演していたし、「こんなにすごい時代があったんだ!」と感じました。俺たちがはじめたのはそれからあとなので、そういう意味で衝撃でしたね。

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ダンスの何が1番魅力的でしたか?

マドカ

マドカそうですね。でも、その魅力がなかなか人には伝わらないっていうところですかね。自分も最初わからなかったです。最初はELECTRIC BOOGALOOSが3人踊っていても、“目に付くのはここ”とか“全員がすごい”とかさえもわからなくて、徐々に自分がいろんなものを吸収すればするほど、その方々の壁が高くなる感じがありました。“この方々はこんなにすごかったのか!今まで同じものを見ているとは思えない!”くらいの感覚でした。

人間って、他の動物にはない感性があるので、感じるってことがすごく大事だと思うんですけど、その感性がどんどん養われている感じは、ストリートダンスにしかないと思います。

しかも、目で見て、耳で聞いて、身体全部使って表現をして、言葉以外をほとんど使うので、この表現はすごいなと思います。

例えば、“愛してる”を伝えるなら、DJは曲をかけるし、MCはマイクで言えばいい。ダンサーは身体でしか表現できない。と言っても、感情表現ではなくて、音楽表現。それがわかってきた時に、なんというか、たまらない気持ちになりましたね。

踊りはじめた最初はそんなところに繋がるとは思ってなくて、ロジックはないですけどね。モテたいと思っていただけですから(笑)。

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マドカくんの20代はどういう時代でしたか?

マドカ

それは…バカばっかりやっていました(苦笑)。いい人ではなかったと思います。高校にいってないので、それは自分でも理解していて、自分がどんどん成長に繋がっているのがわかりました。働いたり、友達とダンスの練習をしたり、ダンスを辞めて、また戻ったり。

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ダンスを辞めてたことがあるんですね。

マドカ

でも、それはダンスをしたかったからです。ダンスのためにお金を貯めてから踊った方がいいんじゃないかと迷走して、辞めてた時期もあります。でも、ダンスって、答えがないんですよね。

結局、ここが100人の村だとして、過半数の人がいいと言ったら、それが正解になってしまうのが今のストリートダンスの現状。だけど、実は少数派の人が言っていることの方がカッコよかったりするのが、ダンスなんで、やっぱり迷走はします。その迷う感じも、ダンスの良いところだとも思ってます。

「KITEが見てきたものはこれか。」


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ダンスをはじめてから何か転機はありましたか?

マドカ

マドカはい、このPOPLOCKBOXをはじめたことですね。もう、これは、大きな転機だと思います。俺たちは東京で活動していて、音楽も全然知らなくて、日本のダンサーも全然知らなくて、ただ単に自分たちだけでやっていたんです。自分たちの知っている人間こそが一番上手い方々ってくらい思っていました。ちっちゃい世界でした。

ある日、大阪のダンス映像を観て、大阪という土地の素晴らしさ、ストイックさ、俺が思っている“本物”の部分を持っていたのが大阪の人間だと思いました。それで、KITEと大阪のバトルポップロックっていうバトルに出て、そこで、優勝できました。それで、優勝した時に、「あ、俺はずっとダンスをやっていこう。」と思いました。

優勝する少し前も仕事でダンスを辞めていて、KITEにすごく迷惑をかけたんです。自分がダンスに戻ってきたので、「じゃ、挑戦しよう。」となって出ました。それが19〜20歳くらいです。

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そんなに若かったんですね。

マドカ

いや、でも、それまで、大阪と沖縄以外で、予選を通ったことがなくて、注目されていませんでしたし、全国区のポッパーという意味ではCo-thkoo以降の人間って出て来てなかったです。

これは後日談なんですけど、Co-thkooのKEIくんが、「あの時にお前らが来た時に、“やっと出てきてくれたな”って思ったよ。」と言ってくれました。だから、本当にそこは大きなきっかけでした。

そういう現状を見て、東京はメディア志向で、それが悪いわけではなくて、ダンス以外のものが付随してることが多いなと思って、「こういうイベントが東京にないのが悩みです。」とDJ BATSUさんに相談したら「じゃ、お前がやればいいじゃん。お前がそれを変えればいいんじゃないの。」と言われた言葉で、POPLOCKBOXをはじめたんです。

それから、大きく変わりましたね。大阪の方々にも、ものすごく良くしてもらって、その時はお金がなくて、鈍行で10時間かけて大阪まで行っていました。それで多くのものを学んで帰ってきました。もちろん、いろんな迷いもいっぱいあったし、アーティストのバックダンスや振付など、東京ならではの仕事もやらせてもらって、いろんなものを見てきた上で、どっちも大事だと気づきました。

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なるほど。ということはPOPLOCKBOXを10年くらいやってることになりますか?

マドカ

そうです。だけど、先ほども言いましたが間は空いています。

自分たちがプレーヤーとしての力を蓄えていた時期というか、世界にKITEが挑むようになって、俺も出るようになって、その時期はやっぱりできなかったですね。

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なるほど。大阪に行って、優勝して、そこから世界に目を向けるようになったということになりますか?

マドカ

そうですね。何年かは空くんですけど、そこから世界に対して目を向けるようになりましたね。KITEは先にずっと世界に挑戦していて、自分はその時に低迷というか、日本が好きだという邪魔なプライドがあって、海外に行かなかったんです。

KITEは海外に自分で行って、そこから呼ばれるようにもなりました。でも、俺はなくて、とあるきっかけでドイツのFUNKIN STYLEZ 2011という世界大会に出て、優勝できたんです。その時はクルーバトルにも出て、そこでも優勝できました。

その時に、「KITEが見てきたものはこれか。」と気づいて、KITEの言ってたことがわかりました。世界も大事だと。でも、俺は全部を見てきた上で、改めて、やっぱり日本が好きだと思いました。自分って、体感主義というか、自分で感じないとわからない人なので、全部やってみたいんです。

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“世界”は、どんな感じでしたか?

マドカ

いや、スッゴイですよ。日本とまったく違います。バトルシーンもショーも。地域によってまったく違いますけどね。

ニューヨークはバトルの文化は少ないし、でも、ロスならバトルはするけど、レッスンの文化がなかったりとか。フランスも、レッスンの文化はないけど、バトルの文化は世界で1番って位すごいです。JUSTE DEBOUTの存在がデカイと思いますが。各地域で、世界大会はあるんですけど、その規模は変わってきます。

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今、大きいバトルというと?

マドカ

やっぱりJUSTE DEBOUTじゃないですかね。あとは、中国のKOD(Keep On Dancing)には、中国だからというのもあるかもしれませんが、1000人以上ポッパーが参加しますからね。

世界大会には、日本のポッパーも行っているんですけど、結果を残しているのは少ないかもしれないですね。

いい意味の不快感に魅せられて。


マドカ

ポッピンは音楽表現として、人間が1番小さく動く動きで、1番大きなビートを表現するので、「なんでこうなるの?」という、いい意味の不快感はありますよね。そういう意味で、人間が見ていて気持ちが良いんじゃないかなと思います。

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ポッピンで忘れられないのが、1995年に見たJUNGLE。あれは、衝撃的すぎてさっぱりわからなかったですね。

JUNGLE: 1990年代の東京のストリートダンスシーンを魅了した伝説のダンスチーム。CHIZUKO 、EIJI、GOTO、KENYU、KUROMA、OHJI、OZ、SAKUMA、TARO、TOSHIO、百太郎などが在籍。

マドカ

JUNGLEのメンバーだったOZさんは、今回のPOPLOCKBOXで、名古屋代表のリーダーで出てくれるんです。

あと、これは本当に個人的にすごいと思ってることなんですけど、POPLOCKBOXの中部・東海の代表のOZさん、九州の代表にGAZIROWさん、ジャッジにSEENさんがいるんです。その時代を知っている人にとっては、このメンツが揃うのは本当にすごいことです!

その時代のトッププレーヤーと今のトッププレーヤーも戦うのはあり得ないんですけど、それが現実に行われるのがこのPOPLOCKBOXなので、自分たちから言えば「有り難い」の一言です。背中も見せてもらえるし、胸も借りられるし。

TDM

両方借りれるんですね。どちらもいかついですね!(笑)。

マドカ

マドカホントに!でも、最高じゃないですか(笑)。確かに、ポップはそのいかつさはありますね。立っているだけで威嚇する感じが好きです。Bボーイもそうですど、立ち振る舞いがカッコイイ。

今回のPOPLOCKBOXのポップに関しては、世界大会なので、海外からも招くんですけど、ポップのアメリカ代表にポッピン・ピートがいます。アメリカ代表の5on5のメンバーにピートが入って世界大会に出ることは、絶対に今まであり得ないことです。しかも、そこに、HUGO(ヒューゴ)とJR BOOGALOO(ジュニア・ブガルー)が入っていて、そういうオリジネーターたちが、KID BOOGIE(キッド・ブーギー)、 SLIM BOOGIE(スリム・ブーギー)というアメリカで活躍している若手と一緒に出ます。

フランスもかなり最強軍団できますし、あと韓国は前回優勝していて、その優勝メンバーで来ます。それぐらい世界規模の各世代のスターがそろいます。

だから、今回のPOPLOCKBOXのポップを挙げただけでも、世界一の世界大会と自分たちが掲げてやっています。このメンバーは本当にすごいです。でも、POPLOCKBOXのすごいところは、世界の代表と、日本の各地域のグループが戦うんです。それって意味が深いと思うんですよね。

ダンサーがダンサーを応援しなくなっている時代。


マドカ

今、ダンサーがダンサーを応援しなくなっている時代にあると思うんです。なぜかと言うと、インターネットで動画を見れることとか、情報がどこに手を伸ばしても取れるので、自分が評論家になってしまうんですよね。ダンスに限らずなんでも。

だけど、サッカーや野球のサポーターって、評論せずに、地元だから好きなチームを応援したりする純粋な情熱がありますよね。あれはいい部分だと思うんです。

日本のダンサーでも、「ダンサーが世界大会に出て優勝した人を全員挙げてください。」と言われても、知らない人が多い。世界で活躍している日本人ダンサーはたくさんいるのに。それが、日本人の特性だと思います。

それを、地域代表vs各世界の代表にすることによって、自分の地域を応援する、つまり、ダンサーがダンサーを応援する形を作れる。それが元々のコンセプトでやっています。POPLOCKBOXの地域を決めた条件としては、出身地か今現在の活動拠点どちらかになります。

これを観に来なかったら、ダンサーとして終わってます!・・・って言いたいんですけど、さすがにそれは言いきれないんですけど(笑)。

TDM

あ、言っちゃいましたけどね(笑)。でも、それくらい胸はっていきましょう。

マドカ

あ〜(笑)。いや、言い切りたい部分もあるんですけど、その反面、今ダンスシーンがいろいろ派生する道ができてきている時だと思うので、一言で言い切ってしまって、それらを否定することもできないんです。ただ、「このアンダーグラウンドがあったからいろいろ派生できたんだよ。」ってことは言いたいです。

アンダーグラウンドのシーンがあるからこそ、オーバーグラウンドだったり、いろんな派生ができた。それにも関わらず、イベントを観たり、出演したりしなくて、こっちに戻ってこない。みんなアンダーグラウンドを忘れてしまいがちなので、俺たちは続けなくちゃいけない。こういうことを続けないと、俺は絶対に他のシーンも盛り上がらないと信じているので、東京でやる人が一人でもいなくなったら、たぶんここで終わってしまうだろうと。そういう気持ちを糧にしています。

プレーヤーが発信できること。


TDM

POPLOCKBOXのように、プレーヤーがこういう発信をしていけるのはいいことですね。

マドカ

マドカダンスは絶対プレーヤーが発信しないとダメだと思います。結局、誰かがやらないといけないので、多少の犠牲心も必要で、“楽しくてダンスをやってればいい”だけだったら、絶対シーンは盛り上がらないです。

だから、俺たちはPOPLOCKBOXにどんなに無理してでも、関東代表として出るんです。イベント中は忙しくて、インカム付けて走り回っているんですけど、舞台袖でインカム外して、踊って、またつけます(笑)。

ダンスは、音楽を聴いて、自由に踊るので、脳みそも体も同時に使います。それをイベントのスタッフをやりながらやるのは、無理をしていることになります。

POPLOCKBOXを誰かが「俺がイベントをやるよ。」と言ってもらったら、大いにお願いしたいです。僕たちは、運営することにトレンドを感じていなくて、POPLOCKBOXが存在していることに意味があると思っているので。

でも、誰かに任せたところでできないと思うんです。気持ちの部分やいろんな部分で。逆を言えば、だからこそ俺たちじゃないプロフェッショナルの方たちにサポートしてもらえないと、俺たちには見えないところがいっぱいあります。

今まで「これは俺のイベントです。」とは言ったことがなくて、「これはみんなで作っているものです。」と言います。だから、僕らもプレーヤーとして出れるんです。出ている間に誰かが支えてくれているので。

スタッフは若い子たちなんですが、「1on1も出たいです!」「おう、出てこい出てこい!」とか「俺、出ない方がいいですか?」と聞かれれば「いや、絶対出てこい。俺がなんとかするから。」と言います。それで、予選で落ちたら、「お疲れ様でした。じゃ、スタッフに徹して。」となりますが(笑)。でも、スタッフが勝ち上がったりすると、みんなで応援しますね。

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そういうダンサーでも、イベントを作り上げる側としての感覚がわかるわけですね。ダンサーが発信していくことが、いい意味でビジネスになって、ダンスのエネルギーを世の中に出す力を持っていれば、今後シーンを動かせると思います。

シーンを動かす人は、魂があるというか、「やるぞ!」と決める。そういう人に引き込まれないと、シーンは成り立たないと思います。そういうダンサーが今後活躍していけるような時代になるような気がして、私は楽しみです。

マドカ

はい。それに至るまでにはいろんな障害がありますけど、プレーヤーがプレーヤーで居続けなければいけないプレッシャーは大きいと思います。

俺とかは、変な話、ダンス馬鹿なんで、ダンスは辞めたいと思っても、辞められないです。でも、実際、辞めている人はいっぱいいます。今横にいる奴らよりも、後ろを見たら、辞めたやつの方が はるかに多いです。

そういう状況も、研磨されてはいるんでしょうけど、何か変えなきゃいけないなという部分ではあります。ダンサーの人口は多いんですけどね。

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そうですね。先ほどおっしゃっていたように、今はダンスが細分化されすぎて、それぞれにちゃんとサークルができている。

マドカ

コミュニティは強いですよね。人口分布で言うと、山型なんだけど、てっぺんだけ細長く尖がっている感じ。

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私は、円がたくさんある感じがします。


マドカ

あ、それは東京の特性だと思いますよ。全国区で見ると山型が多いと思います。

東京は、ひとつにならない。誰かが何かをやったら、それのアンチが出てきて、そのどちらにも属したくないから、また誰かが創る。そういうのがいっぱいありますね。しかも、それが全ジャンルにあるんじゃないですかね。

それらがひとつになる瞬間が、年に1回でもあれば、「じゃ、観にいこっか。」となったり、リツイートするだけでもいいし、それだけでも俺はひとつになったってことだと思うんです。

それがだんだん大きくなって、全員が普段つけている仮面を外して、楽しみに来るイベントがPOPLOCKBOXで、そこで本物を見て、「よし、また、俺たちもダンス人生を、自分たちの考えで頑張ろう。」と言ってまた1年を過ごすっていうスタイルができればな、と思いますし、それができつつあるなと思ってるんですけどね。

2割の生き方に大きな光を当ててあげたい。


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これからPOPLOCKBOXのビジョンは?

マドカ

ダンサーがダンサーであり続けるために何かできたらなと思っています。そのひとつがリーグ戦です。プロサッカー選手、プロ野球選手という言葉があるように、プロダンス選手がいていいと思っています。

1チームに1企業がついて、12チームでリーグ戦があって、ジャッジのための委員会があって、そこでジャッジ登録されてる人がジャッジをして、八百長もまったくなく、ただ純粋にダンスを競い合えるようなプロリーグができたら、最高ですよね。ダンサーが生きていく上でベストの状態じゃないかなと。

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ダンスの持つアスリートの要素を追求するベストな状態かもしれないですね。

マドカ

そうなんです。それはまだ誰もやってないことなんで。結局プロ野球選手がCMやニュースに出たりもしていますが、それが目的で野球をするわけじゃない。

ダンサーもスポットライトを浴びたい人もいると思うんですけど、そうじゃなくて、ただダンスをカッコ良く踊りたい方々がいるんです。

おそらく、8割のダンサーは「メジャーデビューしない?」って言ったら頷くと思います。でも、残り2割の生き方を俺たちが、作りたいと思っています。

別にメジャーデビューすることが悪いわけではなくて、そういうのが性に合わなくて、ダンスが純粋に好きな奴らっていっぱいいると思うんです。そのスポットライトに当たらないように走ってる奴ら。スポットライトに当たるためには立ち止まらないといけない時もあるんですけど、それさえも置き去りにして走り続ける、登り続ける人間たちのためにも、プロリーグの仕組みがあれば、その方々をさらに大きな光が当てられるかなと思っています。

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私もサッカーが世間に起こしたスペクタクルを、ダンスでも起こしたい、起こせる!と思ってやっています。

マドカ

それは思いますね。ダンスは点数になるものではないので、フィギュアスケートのような分野になると思うんですけど、じゃ、なぜ俺たちがこんなに熱狂しているかとなった時に、フィギュア、サッカー、野球、他のスポーツで熱狂してる方々と同じだと思うんです。

TDM

だから、プロリーグになれば、応援する方々も、その地域でサポートできて、そこにリンクしていくということですね。

マドカ

マドカそう、そういうことです。そこに共感してくれる人は少ないかもしれないんですけど、ダンサーの生き方はダンサーが決めるべきだと思うんです。

ある程度まで経験したら、ダンサーは踊るだけに専念して、悪い言い方かもしれませんが、その生き方を利用して、メイクマネーしてくれる人が現れたらベストだと思います。最近は、利用されるだけになっているので、ダンサーがニーズに応えようとしてしまう。テレビ番組を見ていても、世間が求めてるからダンサーがお笑いをやったりしているのを見ると残念です。だから、俺たちはただダンスをしていれば良くて、それを使っていい意味でメイクマネーしてくれる人が居たらいいなと思います。

TDM

そんな未来のためにも、頑張ってくれているマドカくんやスタッフの皆さん、そして2月のPOPLOCKBOXを応援しています。今日はありがとうございました!
interview & photo by AKIKO
'14/01/21 UPDATE
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