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Johnny 〜Dance, it’s my tool.〜
Johnny 〜Dance, it’s my tool.〜
2008年最初に登場するのは、近日来日する予定のJohnny from L.A.。世界的に有名なダンサー、アンドレ (Andre Fuentes) と共にL.A.で活躍するダンサーであり、ウェブデザイナーやThe Black Eyed Peasのスタイリストでもある。様々な表現ツールを結ぶ彼自身の感覚が大切にしているものとは…。昨年夏L,A.で行ったインタビューの模様をお届けしよう。
JohnnyJohnny

本名John Goodson。ヒップホップ、ジャズ、モダン、バレエ、タップなど、あらゆるジャンルのダンスを経験し、現在、Andreと共にL.A.で活躍するダンサー。また、高いファッションセンスを持ち合わせており、The Black Eyed Peasなどのスタイリストとしての顔も持っている。MTV“The Grind”、NBA“Phoenix Mercury Hip-Hop Squad”出演。Jeremy Miller『The Beat Performing Arts Company』、Carrie Miller『Grounding Point Dance Company』に所属。
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ダンスを始めたきっかけは?

Johnny

僕はアイダホ州出身で、6人兄弟の長男。すごく田舎で何もやることがなかったから、兄弟みんなでTVやミュージックビデオを見て、歌やダンスのマネをして遊んでいたんだ。妹はバレエをやっていたし、皆で一緒に踊ってたよ。高校生の時、バスケットボールの試合を見に行ったことがあって、その時のハーフタイムのショーで、男のチアリーダーたちが踊ってたんだ。アリーナを埋め尽くしている大勢の観衆の前で踊っている彼らに憧れて、僕もああいう風になりたいって思った。それまで、弟たちとは自分の好き勝手に踊ることはできていたけど、基本的なテクニックを持っていなかったし、皆と合わせて踊ったことがなかったから、そのトレーニングをするために、ちゃんとスタジオに通い始めたよ。それが21歳の時だね。それからは毎日ピルエット () や、カウントで踊ることを学んだよ。特に、ピルエットは相当やった! (笑) 。それから、その1ヵ月後にあのバスケのハーフタイムショーのオーディションがあって受けに行ったら、合格したんだ。それが僕の初オーディション、初仕事の始まりだよ。

ピルエット‥バレエ・ジャズの基礎となるターン。片脚で全身のバランスをとりながら (この状態を“軸をとる”“軸に乗る”とも言う) 、その場で素早く回る。

To be the artist, you have to struggle.

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今までにダンスの道を選ぶか、他の道を選ぶかで悩んだことはある?

Johnny

Johnny毎日だよ (笑) 。リスクのある夢をとるか、リスクのない現実をとるか、その選択の葛藤には毎日のように駆られてる。アーティストになるためには努力をしなければならないし、怠れば評価ももらえない。だから毎日僕はそれを決めてるんだ。自分の気持ちや夢をとるのか、仕事をとるのか。でも、今は、クラスに来てくれる生徒たちに教えることで返ってくるものが出てきはじめて、自分のダンスやアートのベースが見えてきたかな。アートは僕にとってとても大事な要素なんだ。もともとグラフィックデザイナーの大学を出ているから、もし、ダンスをやっていなかったらグラフィックデザイナーとして、スーツ着て会社に行ってPCに向き合う日々だろうね (笑) 。でも、アートに関わる仕事には携わっていたと思うよ。

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ダンスで一番印象に残っている経験は?

Johnny

一番最初のコンベンション () だね。「LADF」っていう大きな団体のコンベンションがあって、“ディー・キャスパリー”っていう先生のレッスンを受けていた時に最後にピックアップされて、何百人もの生徒の前で踊ったんだ。その時初めて、振付ではなく、自分のフィーリングやエナジーを感じて、“表現している”っていう感覚になれた。初めて経験する嬉しさだったし、やっぱりダンスやってて良かったって思ったね。コンベンションの最後に賞の発表があって、最高位はダンススタジオでの3ヶ月の奨学生制度だったんだけど、僕は50ドルをもらった。その賞の意味が僕もわからなかったんだけど、実は賞の中でも一番下のもので“monetary” (=お金) っていうただ賞金だけのものだったらしい (笑) 。でも、とても嬉しかったよ。

コンベンション‥昨今のアメリカでは、有名な振付師によるワークショップとオーディションが合わさった“コンベンション”と呼ばれるプログラムが、一般的に行われている。合格者は地方都市を回るような、大きなステージに出演できるチャンスがある。

ファッションは自由。ゼロから生み出すクリエィティブな作業。
ダンスは僕のツール。パーツを組み立てていくパズルのようなもの。

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これからの目標は?

Johnny

今、自分の中では、ファッションとダンスを融合したい気持ちが強いんだ。どっちも僕は好きだから、切り離さずに一緒に形にしていきたいね。あとは、いつかカンパニーを作って、将来的にはスタジオが持てたらいいかなぁ。親父が「いつお前のスタジオができるんだ?」ってよく言ってくるからね (笑) 。

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尊敬している人は?

Johnny

Johnnyウェス・ベルディングかな。NYのBDCで教えていたんだけど、彼のスタイルはモダンとジャズをミックスされていて、すごく影響を受けたね。あとは、ミヤ・マイケル。彼女はセリーヌ・ディオンの振付や、いろんなジャッジなどもしているんだけど、新しいことをするにも何をするにも恐怖心がない。チャンスというチャンスをすべて受け入れていく姿勢を持っていて、すごく刺激を受けたんだ。あとはやはり、母親だね。今までダンスを続けて来れたのも母がいたから。すごく尊敬しているよ。

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ファッションやウェブデザインなども手がけていますが、ダンスをクリエイトする感覚との違いはありますか?

Johnny

ファッションはとても自由で、ゼロから生み出すとてもクリエィティブな作業だね。ダンスは僕のツール。もともと他のダンサーから学んできた知識や技術があって、そこに自分の感性と混ぜて創っていくもの。パーツを組み立てていくパズルのようなものだね。そこが自分にとっての大きな違いかもしれない。どちらもアーティストとして吸収していきたいと思っていることだけど、こういう質問をされたことがなかったから改めて実感したよ。Thank you (笑) 。

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日本のダンサーにメッセージをお願いします。

Johnny

自分がどこに行っても、どんなシチュエーションになっても、どこのクラスやレッスンで、どんな注意を受けたとしても、自分がどうしてダンスをやっているのか、それはダンスが好きだからやっているんだ、っていうその気持ちをいつも忘れずに。壁にぶつかったとしても、その原点の心にもどって問いかけてみてほしい。

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今日は興味深い感覚の話が聞けました。どうもありがとう!
'08/01/11 UPDATE
interview and photo by AKIKO
translated by SAKURA
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