TDM - トウキョウダンスマガジン

基礎知識シリーズ第1弾
ミドルスクールってなに?〜ヒップホップダンサーのトレンド('89〜)
ヒップホップにはブレイキンからニュースクールまでたくさんのスタイルがある。その中でも日本のストリートダンスシーンで誰もが触れるスタイルの1つが「ミドルスクール」であろう。この言葉はどうやら日本のヒップホップシーン独自の造語らしく、いわゆる「OLD SCHOOL」と「NEW SCHOOL」の間にあるもの、というニュアンスの使われ方をする。この「ミドルスクール」をキーワードに、日本のヒップホップの流れを見てみたい。

Q「ミドルスクールって…?」
「ダウンの動き」(23歳 ダンサー)
「ニュージャックスイング、ホーシング」
「ニュースクールより古いけど、オールドスクール以降のモノ」(25歳 ネットダンサー?)
「シャキシャキした動き」(24歳 ロックダンサー)
「ノリノリ」(21歳 DJ)

いろいろと面白い意見が聞けたが、それぞれニュージャックスイングやホーシングと呼ばれる大きな動きのステップダンスを基本としていることがうかがわれる。

ミドルスクール以前???〜 NEW JACK SWING 〜
今(2001年現在)、20代半ば以上の世代なら必ずわかるであろう、MC HAMMERやBOBBY BROWNが一世を風靡した89〜91年。日本でもZOOやLL Brothersがニュージャック旋風を巻き起こした。ハネた打ち込みビート似合わせてノリノリに踊るステップダンス、それが「ミドルスクール」への道筋を作った。

音楽的に言えばヒップホップの中でも、MARLEY MARL*をはじめとするJUICE CREW一派(Nobody beats the Biz!!)や、厳密にはニュースクールのパイオニアとされるようなDE LA SOUL、A TRIBE CALLED QUESTの諸作などの王道モノを指す。

80年代終わりから92、3年あたりまでの時期のヒップホップ興隆期の雑多な猥雑さにあふれたアーティストたちの作品だ。音質も粗く太い、踊れる音が多い事が特徴だろう。

「ニュースクール…」
そして92年にアライブTV*1がNYのダンサーたちを紹介する。

それまでの日本のダンスシーンではRAMPAGE、FOOLISHといったチームに代表されるような、とにかく大きな動きでニュージャックスイングの軽快な動きをヒップホップの音や空気にはめていくパフォーマンスが主流だった。

しかしこの映像の流入からオールドスクールの再解釈(=ウェーブやポップの新解釈)を含んだ動きとして「ニュースクール」という言葉が意識されだした。EliteForceを意識したであろうオヤジェン、それにプラスしてMAR-QUEST等の影響が色濃いMENSOUL、そしてビバップ等の流れからいちはやくオールドスクールの再解釈を見せたSTRUTはその流れを先導したチームである。

「ミドルスクール」という言葉がはっきりと意識されだしたのは、この「ニュースクール」という流れが出来た頃ではないだろうか?
アライブTVに先導された=NYのスタイルの後を追うこととも言えた「ニュースクール」から、ニュージャックスイングのステップを新しいピッチの遅い音(95〜98年当時)に当てはめることで「重さ」の表現を突き進めたBABYNAILや、そしてミドル=定番という形を提示したJ.S.B.はある意味ミドルスクールの復活であり、日本独自のスタイルを作ろうとする動きだろう。

→ "アライブTV"について
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