

歴史あるダンススタジオ・ブロードウェイダンスセンター(BDC)のショーケースが今年も行われる。BDC SHOWCASE 2018「represent」にて演出を手掛けるメンバーの一人、本間智彩がTDMに初登場。彼女の生み出す構成と世界観の不可思議さには、中毒性とサプライズがあり、“普通なんて面白くない”を堂々とやってのけてくれる。幼少期からのダンス人生、そして出産を経て今なお「生徒愛」「先生愛」を大切にしている彼女に、今の想いを語ってもらった。
- 本間智彩
小学生からダンスを始め、ミュージカル「アニー」に2年連続出演。その後少年隊ディナーショウ、TRFアシスタント、海外留学、L.A・マカオ・上海・韓国などの海外公演に多数出演。ブロードウェイダンスセンター講師。
■タップ、ジャズダンスとの出会い。
TDM:
ダンスを始めたきっかけを教えてください。
本間智彩:
母がダンスをやっていたので、子供の頃からダンスを見る機会がありました。小学4年生の時にタップダンスを見て、やってみたいと思い、習い始めました。
小学6年生の時、タップを一緒に習っていた友達に「ミュージカルのアニーのオーディションがあるから受けようよ!」と誘われて、気楽な気持ちで受けました。タップができる女の子が珍しかったのか、合格することができました。その翌年も受かって、2年連続アニーの友達役として出演しました。
その翌年に、母がBDCのショーケースに出演するので、私もBDCのオーディションを受けました。私はHIDEBOHさんのタップがやりたくて行ったんですが、オーディションでは、ダブルターンもできないのにジャズも見せなくてはいけなくて、できなくて悔しかったのを覚えています。
結果、ショーケースにはタップだけで出演したんですが、オーディションでの悔しさで、「なにくそスイッチ」が入ったんでしょうね(笑)。それから本腰を入れてジャズを習い始めました。ただ、中学3年生の時に、受験のためダンスから離れることに。
一度離れたらすぐにはダンスに戻らず、高校2年生までは遊びましたね~。遊びの内容は、ここでは言えないのでご想像にお任せしますが…(笑)。結構やんちゃしてました。
高校3年生の時には遊び飽きて、「こんなことをずっとやっていて、本当にいいのかな。」と思うようになりました。それから、「やっぱり踊ろう!」と思い、バイトを掛け持ちしてレッスン代を自分で払い、踊り一本の生活になりました。当時は、BDCとターンズにほぼ毎日通っていましたが、なかなか芽は出ませんでした。
転機になったのは、19歳くらいの時。BDCの公演のオーディションを受けたのですが、自分的にはテクニックもできたし、受かる自信があったのに不合格でした。そこでまた「ちくしょう!」と思って、次の日からバレエを週5、ジャズは毎日受けるようになりました。
翌年にKAZUMI-BOY主宰の「ガーリーボム」初演のオーディションに合格でき、それから変わりましたね。21歳からレッスンを持つようになりました。
■小さくてもいいから、必ず踊りの中にサプライズを。
本間智彩:
最近、海外のダンサーのSNSなどを見ていると、若くて、センスもよくて、独特な世界観を持っている人がたくさんいますよね。身体能力も高いし、ストリートダンスも踊れるのにターンを3回も楽々と回れるし、ジャンル関係なく何でも踊れる。全ジャンルを極めるとダンサーは無敵だと思うので、もし日本にいたらぜひ習いに行きたいですね。
TDM:
昔から智彩さんの作品を拝見していますが、一貫して独特な世界観で、構成も面白く、振付もタイトかつクリア。あの世界観は何かの影響を受けているのでしょうか?
本間智彩:
いろんな作品に出させて頂いた中で強いて言えば、
あとは、映画やドラマを見るようにしています。よく見るのはサスペンスドラマですね。連続殺人とか、グロいのも見ますよ。ただ、ダンスでそういう作品を作っているわけではありません。見ている人をゾクゾクさせる感覚とかは影響されているかな。
TDM:
作品を作る上で、大切にしていることはありますか?
本間智彩:
小さくてもいいから、必ず踊りの中にサプライズを入れるようにしています。見ている人にボーっと見られたくないですからね。
■少しでも引き出しの多いダンサーになってほしい。
TDM:
構成に関しても、同じような構成の作品を他で見ることはないくらい、緻密に展開されていますが、何か作品を見て参考にしているんですか?
本間智彩:
いえ、舞台やダンスショーはあまり見に行かないので、構成に関しては、ほとんど感覚ですね。オリジナリティが必要だと思うし、常に普通じゃないものを考えていくと、脳内に降りてきます。
あとはBDCで外国人のクラスを受けるようになって、彼らのオリジナリティの面白さに影響を受けました。彼らの振付には、ありきたりな動きがないし、音の取り方もカウントじゃないから、それを感じたときには「ハッ!」としましたね。そう考えると、HIDEBOHさんに習っていたタップも、リズムをイーブンに取らない感じがかっこいいと思っていたので、そこからも影響を受けていると思います。
TDM:
現在教えているレッスンで大切にしていることは?
本間智彩:
こんな私のスタイルでも習いたいと思ってくれている方がいるので、そこに応えたい気持ちがあります。特に、子供を産んでからの復帰が不安でしたが、復帰してからも生徒さんが戻ってきてくれたり、増えたのは本当に有り難かったです。
あとは、自分の振付には絶対にオリジナルを突き通している自負があるし、踊りのスタイルも定めていません。レッスンでのコンビネーションの中では、「ここは自由で」とフリーで踊ってもらうようにしています。「2回目は1回目と違うことをしてね」と言ったときに、生徒さんの変化を見るのが嬉しくて、そこがモチベーションにつながっています。
例えば、ポージングが必要な場面で、「はい、そこは自由にポーズ!」と言われてパッとできる子と、ずっと悩んでできない子がいますが、それは動きの引き出しの違いだと思うので、レッスンを通して、少しでも引き出しの多いダンサーになってもらいたいです。
■教えをやっているならレッスンを受け続けてほしい。
TDM:
智彩さんのスタイルを踊るために必要な要素は?
本間智彩:
ストリートとバレエだと思います。ストリートは習っていただけで、しっかりと踊れるかは別ですが、アイソレーションやボディコントロールに通ずる動きを大切にしているので、ストリートをかじった上で私のスタイルを踊ると理解しやすいと思います。
もちろんジャズの基礎でもあるバレエは当然必要で、今でも習っています。学ぶことを辞めちゃうと、そこで成長が止まってしまうから。これはぜひ声を大にして言いたいんですが、教えをやっている人でも、教わる側の気持ちを常に忘れないために、レッスンを受け続けてほしいですね。
海外のダンサーからは学ぶことも大きいです。海外のダンサーの持つ感性は国内のダンサーとはレッスンの空気がまず違う。動画だけでは伝わってこないし、絶対自分のオリジナルのスタイルを作るために必要だと思うから。
自分が受けて安心するクラスを受けて満足感を得るのもいいけど、自分の苦手なこと、足りない要素のあるクラスを受けないと幅が広がらないし、成長はないと思います。
■生徒愛と先生愛。
TDM:
今回のBDCショーケースの演出をされますが、智彩さんのアクトはどんな内容ですか?
本間智彩:
主人公の男の子がいて、その子が時間との釣り合いがとれなくなったときに、主人公はあるトラブルを起こしてしまうのですが、果たしてどういうことになっていくのか…というお話です。
主役を務める若干17歳のTAISUKE君はBDCの特待生でもあり、粗削りなところもありますが、人を惹きつける何かを持っていると思って抜擢しました。これから注目のダンサーですね。振付の先生方はみなさん昔から気心の知れた方ばかりなので、とても安心しています。演出として最低限のオーダーをさせてもらっていますが、先生方のカラーが出る作品で物語がつながっていくので、そのあたりもぜひ注目して頂きたいです。
TDM:
ショーケースに出る生徒さんにはどんな気持ちで臨んでもらいたいですか?
本間智彩:
基本的には振付をくれた先生の言うことを信じて、ひたむきにやってもらいたいです。生徒は好きな先生のナンバーで踊ることが第一。それが、先生愛ですね。ついていこうって思ってもらわないとナンバーは成立しない。そこまで持っていくのは先生です。先生もその分、熱い気持ちで答えなきゃいけない。それが生徒愛です。
生徒の皆さんには先生愛を常に持って踊ってほしいですね。ただ踊るだけでは、意味がない。絶対踊りにはメッセージがあるので、それを消化して本番を迎えてほしいです。
TDM:
最後にショーケースを見に来るお客様にメッセージをお願いします!
本間智彩:
気負わずに、楽しんで観てもらいたいと思っています。何も考えず、心を空っぽにして。楽しい気持ちをお持ち帰りしてもらえると思います!
TDM:
今日はありがとうございました!
interview & photo by imu
’18/06/15 UPDATE
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